先制点を奪いながらも、掴めない勝利――。今季繰り返される光景に試合後、ホームゴール裏からは厳しいブーイングが飛んだ。
磐田は八田直樹に代わり川口能活が5試合ぶりのスタメン。センターバックにはけが明けの伊野波雅彦が先発に復帰し、菅沼駿哉とコンビを組んだ。ダブルボランチを藤田義明とカルリーニョスとし、小林裕紀を中盤の2列目右サイドに置く布陣で臨んだ。対する甲府は出場停止の青山直晃に代わり津田琢磨を先発で起用。ボランチには前節同様、保坂一成、伊東輝悦という組み合わせで臨んだ。
序盤からじりじりとメンタルを削り合うような膠着した展開となった。前半のシュート数は磐田『1』、甲府『2』。互いにタイトな守備ブロックを敷き、相手の攻撃にしっかりと対応。前半、両チームを通じて一番のチャンスは42分、駒野友一のクロスに山田大記が飛び込んだシーン。それ以外は互いに決定的なチャンスを作ることができなかった。
試合後、「お互いの立ち位置を考えると、この立場を守るためにも少なくとも相手に勝点3を与えないことを絶対条件として試合に臨んだ」とゲームプランを明かしたのは甲府・城福浩監督。磐田にボールを持たれる時間帯もけして焦れず、コンパクトな守りを徹底。ボールを奪ってからはパトリック、ジウシーニョらによるカウンターを仕掛けた。ホームゴール裏に『シュート打て』という横断幕が掲げられた磐田だったが、相手の守備ブロックを崩しきれず、関塚隆監督も「“5-4”のブロックが非常に堅かった」と相手を褒めるほかなかった。
ゲームのテンションがようやく上がってきたのは終盤に入ってから。75分、辛抱強く戦い続けていた磐田に待望の先制ゴールが生まれる。敵陣左サイドを突き、最後はコーナーアーク付近からの小林裕のクロス。これをゴール前の山本康裕が頭でおとし、このこぼれ球に反応した山田が反転しながら右足でゴールネットを揺らした。「(山本)康裕が粘ってくれ、いいところにこぼれてくれた。押し込むだけだった」と山田。背番号10の今季8点目でヤマハスタジアムは一気にヒートアップ。久々の勝利が見えた瞬間だった。
しかし、終盤にドラマが待っていた。86分、敵陣右サイドからの佐々木 翔の縦パスを平本一樹がフリック。このパスをゴール前のパトリックが受けた。同時にパトリックの前を保坂がオーバーラン。「DFが近かったけど、反転した時に離れたので上手くシュートに持ち込めた」(パトリック)。マッチアップした菅沼が保坂をケアし、一歩後ろへ下がった瞬間を見逃さなかった。右足で放たれたライナー性のシュートは川口の伸ばした手の先を通過し、ゴールに突き刺さった。
スタジアムにこだまする歓声と悲鳴――。
痛恨の引き分けとなったのは17位・磐田。関塚監督は「大一番で勝ちきれなかったことは非常に残念。サポーター、選手に申し訳ない」と唇をかみ締め、藤田は「勝つしかなかったし、悔しい…」と言葉を詰まらせた。
対する甲府・城福監督は「同点にしてからは2点目を取りに行くリスクを背負うより、相手に勝点3を与えないことをチームとして共有できた。今日の目的に対しては全員が意識を持ってやってくれた」とゲームを総括。古巣との対戦となったジウシーニョも「勝点3を狙いたい試合でしたが、勝点1は最低限の結果」と試合を振り返った。
先制しながら勝てなかった試合は関塚体制(11試合)となってから5試合目。この試合も負のパターンを繰り返すことになり、15位・甲府との勝点差は『9』のまま。磐田にとって後味の悪いドローとなった。
以上
2013.09.01 Reported by 南間健治
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