試合を決めたのは、マリヤンサッカーの申し子とも言える若干19歳の若者2人だった。
口火を切ったのは金森健志。11分、坂田からのダイレクトパスを受けると、迷うことなくドリブルで仕掛ける。そして、ペナルティエリア内に走り込んできたプノセバッチにボールを預けると、スピードに乗ったままペナルティエリア内へ。「試合前からプ二(プノセバッチ)と、ワンツーをしようと話していた」(金森)と話した通り、プノセバッチからのリターンパスが戻ってきたところで勝負あり。左足で捕えたボールがゴールネットを揺らした。
さらに17分、今度は三島勇太が金森に続く。最終ライン・堤俊輔からのフィードを受けると、対峙する田所諒に対して積極果敢にドリブル勝負を挑む。そして、右サイド深くに入ったところでゴール前へ。鮮やかな軌跡を描いたボールは、GK真子秀徳が伸ばした右手の上を越えて、そのままゴールへと吸い込まれた。イメージはシュートというよりもクロス。しかし、「積極的にゴール前にボールを送ることで、ああいうゴールにつながることもある。それを意識してプレーしていた」(三島)という積極性が産んだゴールだった。
そして、福岡の将来を担う若者のゴールをチームメイトが守る。リードを奪った後に前へのパワーが薄れるという課題は、この日も顔を出した。しかし、いつもと違っていたのは決して慌てなかったということ。無謀なチャレンジは控え、最終ラインてを中心に少ないタッチでボールを回して岡山のプレッシャーをかわしていく。そして、後半になって岡山の動きに陰りが見えるとカウンター気味に攻撃を仕掛けて、試合の主導権を相手に渡さない。やがて後半のアディショナルタイム4分が経過。今シーズンの終わりを告げるホイッスルが鳴る。その瞬間にレベルファイブスタジアムに今シーズン一番の歓声が沸き上がる。それは、福岡の未来に対するエールでもあった。
小さな変化を積み重ねながら、自分たちの新しいスタイルを作ってきた福岡は、リーグ最終戦で、その土台が出来上がったこと、そして、この日の金森、三島を始め、将来を担うことになるであろう若い選手たちが確実に育っていることを示した。来シーズンは更なる飛躍を目指すシーズンになる。
一方、敗れた岡山もまた、自分たちのサッカーにこだわり、岡山らしさを表現してみせた。プレーオフ進出をかけて戦った第40節の徳島戦に敗れ、ホームのサポーターのために勝利を目指して戦った前節のホーム最終戦でも敗戦。メンタル的には難しい状況にあったことは容易に想像ができる。しかし「選手たちは苦しかったと思うが、1週間準備をしてくれた」と影山雅永監督が話した通り、選手たちはリーグ最終戦を勝利で飾るにふさわしい状態でレベルファイブスタジアムに乗り込んできた。立ち上がりのアグレッシブさは福岡を上回るもの。ボールホルダーに対して2人、3人が素早く囲い込んで相手の自由を奪う守備は岡山のストロングポイント。奪ったボールは千明聖典を中心に展開し、1トップの押谷祐樹に妹尾隆佑、石原崇兆が絡んで作り出す攻撃は迫力があった。
岡山の敗戦の理由を探すとすれば、それは、福岡に鮮やかな展開から先制点を奪われたこと。だが福岡の1点目は自分たちの問題というよりも、鮮やかな攻撃を繰り出した福岡が奪ったゴール。ともにアグレッシブな試合の入り方を見せていただけに、先制点が違った形で生まれていたら、勝負の行方は違ったものになっていたかも知れない。0−2の敗戦も紙一重のものだったと言えるだろう。
しかし、その紙一重が岡山の今シーズンの課題でもある。「団子状態になっている塊をオーバーするような力を持っていないと、必ずとか、絶対とかは、このリーグにはないと思う。私がいま思うのは、何かひとつをやればいいということではないということ。サッカーとは、いろんな要素がつながって出来上がる、本当に難しいスポーツなので、全体的にチーム力をアップさせることが必要かなと思う」とは影山監督の言葉。それが来シーズンのチャレンジ目標になる。
課題もあれば、収穫もあった1年間。喜びも、悲しみも感じた1年間。様々な想いを抱いて、福岡も、岡山も、シーズンを終えた。その様々な想いは、彼らをどのように変えるのか。4カ月後の再開が楽しみだ。
以上
2013.11.25 Reported by 中倉一志















