キリンチャレンジカップ2004
7月30日（金）16：30キックオフ/国立
なでしこジャパン（日本女子代表）3-0 カナダ女子代表
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なでしこジャパンのアテネオリンピック壮行試合が国立競技場で午後4時半にキックオフされた。平日の夕方であるにもかかわらず27,262人のサポーターが駆けつけアテネに向けての応援の声を送った。一人一人の名前がサポーターからコールされ、限定で売られたレプリカユニフォームと「なでしこジャパン」Tシャツはあっという間に売り切れ、彼女たちの人気の高さをうかがわせた。

この日のスターティングメンバーはGK山郷、DF川上、磯崎、下小鶴、山岸、MF酒井、宮本、小林、トップ下に安藤、FW荒川と大谷といった顔ぶれ。澤と山本は内転筋を痛めていることから出場は見送られた。そして前日の練習で捻挫をした矢野はベンチ入りすらも避けられた。

ワールドカップのリベンジと仮想スウェーデンを目的に試合に臨んだカナダ戦。対戦カナダはベテランのフーパー、W杯で苦しめられたシンクレアなど、昨年のワールドカップに出場したメンバーも何人かいるものの、全体的にはかなり若返りをはかったメンバー。

試合は立ち上がりから右サイドバックの川上選手が果敢に駆け上がりチャンスを作る。安藤選手がファウルを受け、日本は開始8分でPKを得る。「蹴りなよ！」酒井選手の声もあり、迷わず自分が蹴ると意思表示をした大谷選手。「何も考えず直感で蹴りました」見事にその右足から先制点（9分）がうまれた。

「大谷の得点に期待。がんばってね！　by　ホマ」

カナダとの対戦の日の朝、大谷選手のサッカーノートに、この日出場を見送ることとなった澤穂稀選手がこっそりこう書き込んだ。「なんか今日決める気がすごくしたから。何か私のそういう予感って当たるんだよね」と試合後に笑顔をみせた澤選手。

先制点の2分後、酒井選手から右サイドを駆け上がる川上選手にボールが渡り、ゴールラインギリギリのところまで走りこんだ川上選手がゴール前にクロスを上げると、ゴール前の大谷選手がヘディングでしっかり合わせ2点目が決まった。大谷選手は澤選手からのメッセージに見事に応える。スタンドで声援を送った大谷選手の母は喜びをあらわにし「W杯から、みんな本当に強くなりましたね」と目を細めた。

2-0で迎えた後半、磯崎選手に代わり大部選手が投入され、続いて大谷選手に代わり丸山選手が、後半22分には足を痛めた山岸選手に代わり柳田選手が投入される。そしてGK山郷選手に代わり小野寺選手が…と、試合前に監督から「全員出場」が宣言されていたこともあり、その後続々と故障の山本選手と澤選手以外はベンチスタートのメンバー全員が投入された。すべての交代が行われた後の後半38分小林選手が足を痛め（攣っていた）ピッチの外に出る。するとコンディションを一番に考えピッチに戻すこともなく10人で戦うこととなった日本。そこで「私！私！」と自分を指差しアピールした山本選手、しかしこちらもコンディションを考え「ダメ!」とコーチ陣から一蹴された。「がっかり」と試合後に笑った山本選手。その様子からは次のオランダで行われる試合には間に合うのでは？という期待が高まる。

後半33分にオウンゴールにより追加点をあげた日本は3-0で昨年のW杯で破れたカナダに勝利し、「借りを返したし、本当に強くなったな…みんな。って後ろから見ていて本当に強く感じました」と山郷選手は試合後に顔をほころばせた。あの「アテネに向けて絶対に…」と涙ながらに話したW杯グループリーグ敗退からおよそ10ヶ月。「振り返ればあっという間だったけど、色々な思いでここまできました」と言うキャプテンの大部選手。

「今日久しぶりにみんなと一緒に90分を戦って、コミュニケーションもとれ、戦いはこれから始まるっていう気持ちが強くなりましたね」と磯崎選手が話すように、3-0で勝利し全員でアテネに向けて気持ちの良いスタートを切った。試合後は男子の試合後に合同の壮行会が行われ、割れんばかりの声援で彼女たちはアテネへと送り出された。

「アテネでなでしこの花をしっかり咲かせてきたいと思います。行ってきます！」と声援に応えた上田監督。彼女たちにとって特別な場所「国立競技場」からアテネに向けて旅立った。アテネに咲き誇る「なでしこ」の花が見られるその日を楽しみにしていたい。

「いってらっしゃい！！」

以上

2004.07.30 Reported by 日々野真理