8月11日（水）18：00（日本時間11日24：00）キックオフ/ボロス
アテネ五輪　グループリーグEグループ第1戦　日本 vs スウェーデン
-- アテネ五輪特集コーナーはこちら --
---------

いよいよ本番を24時間後に控えたなでしこジャパンは、試合会場であるスタジアムに隣接するサブグラウンドでおよそ1時間10分の練習を行った。午後5時50分から7時までの練習は冒頭の30分が公開され、あとの40分は非公開。集中して練習が行われた。主にフォーメーションの練習が中心。

「アテネオリンピック」ここを目的にチームがひとつとなって戦い抜いてきた。いよいよこれからが本番の始まりだ。日本はスウェーデン、ナイジェリアと同じEグループでの予選グループを戦う。
初戦の対戦相手は強豪スウェーデン。組み合わせが決まってから「スウェーデン戦に勝利するため」この言葉を何度も何度も口にしてきた上田監督と選手たち。一つ一つ目標をクリアしてきている「なでしこジャパン」にとっての次なる目標は「スウェーデンに勝利すること」だ。その先のメダルに向けて…。

試合を控えた選手たちの表情は、一様に引き締まっている。「選手たちは落ち着いています。試合に向けては平常心でベストを尽くせ、そういうふうにやれと言いたい。チームとして相手を上回らなければならない。しっかりとした組織の中で、個人を生かしたプレーを…」と語った上田監督。「勝てない相手ではない」としたスウェーデンを相手にどうしても勝つため、前日練習のでは大きな怒鳴り声がピッチから聞こえてくる。

日本のスターティングメンバーはGK山郷、DF川上、磯崎、下小鶴、山岸、MFはボランチの宮本に右の酒井と左の小林、トップ下の澤にFW荒川と大谷といった顔ぶれが予想される。左サイドでスタメン濃厚な小林選手は、セットプレーのキッカーも務める。ここのところの表情の輝きはそのプレーの充実ぶりとも比例している。アテネオリンピック出場を決めてからメンバー18名の選出までの間に、特に彼女の様子に変化が見られた。「自分のなかでいろいろ考えた結果、自分らしくプレーすることがいちばんなんだって思うんです」と何かを見つけ充実した表情を見せる。

そして、前日練習終了後も最後まで一人でダッシュをし続けていた右サイドバックの川上選手。「自分のやってきたことを迷うことなくやりたい」と試合に向けての決意を語る。人一倍走るプレースタイルの彼女は、暑いアテネの地で自分がどれだけいつもと同じか、もしくはそれ以上の走りを90分通してできるかを考えて、ここまでのトレーニングを意識してきた。最後の最後まで時間のある限りを費やしてダッシュした。彼女の走りが勝利の鍵を握ることは間違いない。対戦相手のスウェーデンのリフォルシュ監督も要注意人物として彼女の名前をあげる。

その対戦相手のスウェーデン、昨年アメリカで行われたワールドカップではドイツに敗れて準優勝となり悔し涙を飲んでいる。特徴はやはりスピードも技術もある2トップの攻撃力だろう。その強力な2トップの一角、ユングベリは2003年11月に右ヒザの手術を受けていたが、既に復帰し「オリンピック出場のために6ヶ月のプログラムをこなしてきた。だんだん調子は良くなっています」と初戦に向けて臨戦態勢。スタメンでの出場が予想されている。

上田監督はスウェーデンの長所をはっきりさせた上で、さらにウィークポイントを指摘。それが選手たちにも徹底されている。ウィークポイントとして上田監督があげたのはDFと左サイド、そしてGKの特徴など…なでしこジャパンは全員が同じ認識を持ってそのウィークポイントを突いていく。

「初戦が大事」と両チームともが重要視するこの試合。グループを1位で通過するというポイントがメダル獲得の鍵を握ることもあり、絶対にお互い譲れない。2位で通過の場合、ワールドカップ優勝国のドイツとの対戦が予想される。そこをなんとか避けてメダルに近づきたい両者の戦いとなる。

すべての競技の先頭を切ってアテネオリンピックをスタートさせる「なでしこジャパン」。日本のすべての競技に勢いをつける戦いを見せてくれることだろう。そして何より自分たちの目標であるメダルを手にするために…。
なでしこたちは夢の舞台に今足を一歩踏み出そうとしている。美しい花を世界の舞台で咲かせるために…。戦いがいよいよ始まる。

以上

2004.08.10 Reported by 日々野真理