今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2第42節 川崎Fvs福岡レポート】昇格への自覚と自信。川崎Fを支えたもの。(03.11.09)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
川崎F 5 - 2 福岡(14:04:等々力) 入場者数 8,932人


 「後半戦絶好調の福岡」と「昇格争い真っ只中の川崎」。

 しかし、福岡は3人のレギュラーメンバーを欠き、川崎も通常のスタメンから3人を代えた。

 そこにあったのは、両監督の苦渋の決断か、それとも勝利への確信か。

 前半は多少押し気味の川崎と、ミドルシュートからの得点を狙う福岡の比較的均衡した戦いであったが、前半ロスタイム、ベンチーニョのヘディングでの得点により、均衡は崩れた。

 いや、崩れたように思えた。

 「前半、リードされていても、選手たちの目は死んでいなかった。その選手たちを見て、いける、と確信した。」と石崎監督が述べたように、通常なら一番嫌なパターンであるはずの前半終了間際のロスタイムの失点によっても、川崎の選手たちの自信は揺らいでいなかったのだ。

 「ハーフタイムには皆で声を掛けあったりして、(選手たちは)盛り上がっていました。(同点となる)一点が、いつ入るかが、問題で、それが入るのが早かった。」(鬼木)

 後半開始直後、みなぎる闘志を前面に出し、後半・怒涛の反撃のきっかけを作ったのは、やはり、2試合出場停止明けで戻ってきた、アウグストだった。左サイドを猛烈なスピードで駆け上がり、ゴール間際まで果敢に攻め込んだその気迫が、ファールによって止めざるを得ないような場面を作り出したのだ。
 そして、そのファールはPKとなり、それをジュニーニョがきっちりと決めた。

 後は、川崎の独壇場だった。

 両サイドへの柔軟な展開、そして、縦へのスルーパスがことごとく成功していく。
 58分、GKのこぼれ球を我那覇が右足で決めた。そして、62分、鬼木からのスルーパスがジュニーニョに通り、また得点。さらに75分、我那覇へのファールにより、さらにPKのチャンスを得た川崎は、またもやジュニーニョが、川崎初のシーズン三度目のハットトリック達成となる得点をあげた。そして、得点はなおも続く。その直後の77分に我那覇がまたGKのこぼれ球をヘディ ングで決め、後半だけで怒涛の5得点。

 ハーフタイム中には重苦しい空気が漂っていた青いスタンドは、大いに湧き上がり、得点の度にサポーターの元へと駆け込む選手たちと共に、その喜びを十二分に分かち合った。


 しかし、なぜ、山形・甲府とアウェーで二戦連続でいいゲームができなかったチームが、先制されて、なお、それを跳ね返して余りある活躍をするほどに、立ち直ることができたのだろうか 。

 「(甲府戦後、)選手だけでも何度かミーティングを行いました。一年間、やってきたことを無駄にしないようにしよう、と。そういうことを話しました。そして、それが実って本当に良かった。」
と語ったのは、実は、今シーズン、ほとんど出場機会のなかった、鬼木だった。

 川崎は、今節、3人のスタメン変更を行った。
 一人は、前述の鬼木。そして、怪我でここ数年、ほとんど公式戦の出場機会がなかった、寺田。そして、出場試合数こそ多いが、基本的にはサブにまわることが多かった我那覇だ。

 昇格のかかった、シーズン最後の三試合、チーム状況を鑑み、賭けに出た、という石崎監督。
 そして、石崎監督は賭けに勝った。自分が育て、信じたチームに、賭けて、勝った。
 鬼木も寺田も我那覇もおそらくは監督の期待以上の活躍だったに違いない。監督が感じる以上に、選手たちは「川崎フロンターレのサッカー」を理解し、チーム全員が一丸となって昇格に向けて戦うんだ、という自覚を持っていた。出場機会の少なかった選手であろうとも、昇格に向け、自分ができることをやるんだ、と。そういう自覚が、今、川崎の選手たちを支えている 。
 好調・福岡を倒した自信も、また、選手たちを支えるだろう。しかし、むしろ、自分たちのサッカーを、この崖っぷちの試合でできたこと。そのことが選手たちにとっては大きいようだ。

 このまま5-1で終わると思われた終了間際の後半86分に、福岡も途中出場の江口が意地の一点を決め、5-2としたが、その与えてしまった失点すら、自分たちのサッカーをするための糧にするだけの逞しさが、今の川崎にはあるように思う。

 対して福岡だが、後半、特にGK・水谷の集中力がきれていたことも気がかりだが、全体的に、精神面での弱さを感じた。

 松田監督は、川崎・新潟という昇格争いを続けるチームに対しては、やはりベストメンバーで望みたかった、と語っていたが、やはり、チームの完成が遅かった分、チーム全体という意味 では、脆さが露呈してしまったのではないだろうか。
 しかし、次節の新潟戦でも、やはり主力が抜けてしまう状況に変わりはない。この一週間で、どれだけチーム全体の意識向上が図れるのか。来期に向け、この新潟戦までの一週間は、福岡というチームにとって、大変重要な一週間となるかもしれない。

 昇格争いは、いまだ決着がつかないまま、ついに43節を迎える。

 試合後、石崎監督は、選手バスを待つ大勢のサポーターに向かって、言った。
 「湘南戦に勝って、最後に広島に勝って、昇格を決めます。ですから、湘南戦も是非応援に来て下さい。」
 そして、深々と頭を下げた。

 石崎監督は、この試合で、自分の育ててきた選手、そして、チームが、どれほど信じられる存在になったのかを、改めて知ったのだと思う。そして、その確信をサポーターにも伝えてくれた。選手たちも、自分たちが昇格に向けて何をすべきなのかという自覚と、自信とを、はっきりとその手につかむことができた。あとは、サポーターが「川崎フロンターレ」というチームを信じて、応援すること。

 それらが一つとなったとき、川崎は、階段を一つ、登る。


2003.11.9 Reported by 原恵里

以上
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着