2003年12月27日開催
天皇杯準決勝(15:00KICKOFF:長居スタジアム)
C大阪 2-1 鹿島(延長Vゴール)
「ドン!」。大久保の右足がうなりを挙げた。ゴールまで20メートルはあっただろうか。その右足から解き放たれたボールが鋭い弾道を描いてゴールマウスを襲う。身体を精一杯伸ばしてボールに飛びつくGK曽ケ端。しかし、ボールは伸ばした両手の先を通ってゴールネットを揺らした。歓声に包まれる長居スタジアム。ユニフォームを脱いで走り出す大久保。その大久保の上に何人もの仲間が重なった。3度目の天皇杯決勝進出が決まった瞬間だった。
「(足は)つっていました」 大久保の足は限界に近づいていた。だが、目の前にシュートコースがぽっかりと空いている。「前が空いていたんで。踏み込んだときは左足はつってました」。ゴールハンターの選択はシュートしかなかった。「2年前、決勝で途中から出てやられてしまった。今年は是非優勝して、喜びたい。ここまできたのもファンの皆さんのお陰。最後は皆で盛り上がりたい」。若きストライカーは天皇杯のタイトルを確実に視野に捕らえていた。
試合はC大阪の素晴らしい攻撃で幕を開けた。キレのある動きで前線でボールを引き出す大久保。サイドをスピードに乗って突破する原と酒本。ゴール前ではバロンが待ち構え、大久保が裏へ走りこんでくる。そんなC大阪の動きに鹿島は翻弄される。「ボランチの背後にボールが出たときのケアと、サイドにボールが出たときに2列目からの飛び出しに対するケアが甘かった」(トニーニョ・セレーゾ監督・鹿島)。そして8分、右サイドをドリブル突破した酒本からのクロスに大久保が頭であわせてゴールネットを揺らした。
あっという間の先制ゴール。「王者」鹿島を圧倒する予感さえ漂わせる勢い。だが、先制点と引き換えにチームは勢いを失う。「そこからが相手のリズムになってしまった」(塚田監督・C大阪)。守ろうという意識が働いたのだろうか。全体が後ろに下がった。それに乗じて反撃を開始する鹿島。ボールを広く動かしてC大阪の隙を探す。前半のシュート数はC大阪の5に対して鹿島の9。試合の主導権は鹿島の手に渡った。
後半に入っても鹿島が一方的にボールをキープしてC大阪を攻め立てる。48分、56分、58分、鹿島は決定的なチャンスを作る。しかし、その都度、C大阪は高い集中力を発揮してゴールを守る。C大阪の試合の運び方は決して上手いとは言えなかった。だが、強い気持ちがチームを支える。ピンチには身体を張り、1対1のシーンでは必死に喰らいついて鹿島にゴールを与えない。だが、鹿島も勝負強さを発揮する。84分、フェルナンドのクロスに野沢が右足であわせた。1−1、試合は振り出しに戻った。
「ちょっとヒビリました。嫌な時間帯だったんで」(大久保)。そして試合は延長戦へ。しかし、C大阪は鹿島の猛攻の前に決して屈しない。そして鹿島の決定的なチャンスを、それまでと同じように凌ぎきると、ジワジワと前に出始めた。試合のリズムを作ったのは途中出場の徳重。左サイドを突破して何度も鹿島ゴールに迫る。先制点以降、C大阪が初めて掴む試合のリズム。そして114分、その徳重のパスからサポーターが待ち望んだVゴールが生まれた。
試合を通じて試合の流れを掴んでいたのは鹿島。C大阪のチャンスは試合を通して、それほど多くはなかった。「後半は危なげなく出来た。攻撃に関しても自分たちのサッカー、パスワークを披露することができた。攻撃についても守備についても悪くない試合」。トニーニョ・セレーゾ監督は試合を振り返ったが、その言葉に偽りはない。しかし、ゴールが遠かった。放ったシュートは24本。だが、ゴールを捕らえたのはわずかに1本だった。秋田とともに戦う天皇杯は準決勝で幕を閉じた。
この日のC大阪の勝因は、強い意志とチームとしてひとつになって戦ったことだった。この日の先発メンバーのうち5人は戦力外通知を受けた選手たち。塚田監督も今大会が指揮官としての最後の仕事になる。みんなで戦う最後の天皇杯。鹿島は秋田を中心にひとつにまとまっていたが、C大阪も強い絆で11人が結ばれていた。「次もみんなの力で一緒に戦いましょう」(大久保)。元旦の国立でC大阪は初の頂点を目指す。
2003.12.28 Reported by 中倉一志
以上
J’s GOALニュース
一覧へ【天皇杯準決勝 C大阪vs鹿島戦レポート】うなる大久保の右足。C大阪が3度目の天皇杯決勝へ。(03.12.28)















