2003年にヤマザキナビスコカップを制し、今年は大型補強で開幕前より注目を集める浦和レッズ(以下、浦和)。現在はオーストラリアでの合宿を前に、地元・さいたまの大原グラウンドにて調整を行っている。昨日5日には今年初めてとなる練習試合も弟分の浦和レッズユース(以下、浦和ユース)を相手に実施された。
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試合どころか11対11でやるのが今年初めてという浦和。
A代表・五輪代表の各選手と来日の遅れたJリーグMVPのエメルソンを欠いており、必然的に昨年のレギュラーメンバーからは大きく違った顔ぶれとなった。GKには山岸、DFは中央に内舘、右にニキフォロフ、左に室井の3バック。中盤は右サイドに昨年は主に本職でない左サイドでプレーしていた平川、左に三上を配置。Wボランチには堀之内と名古屋から新加入の酒井友之。トップ下にU−20代表候補だった期待の長谷部を配し、永井と岡野という懐かしい匂いのする2トップを前線に置いた。対する浦和ユースのスタメンはGK杉尾、DF右から山田、堤、小尾、星野、Wボランチに川嶋と渡部、右MFに大山、左MFに鈴木、2トップが市川と沢口という4−4−2の布陣。エース格の中村はコンディション不良で残念ながら欠場となった。
30分×3本という形式で行われた1本目。浦和の動きはかなり鈍かった。ブッフバルト監督も「初めての試合ということで不安定な部分があった」と振り返り、同時に「戦術的に非常に悪かった」と嘆いたこのゲームの先制点にして唯一の得点を挙げたのは浦和ユース。立ち上がりに両サイドのスペースへ選手を走らせチャンスを掴んだ浦和の攻撃を凌ぐと、迎えた17分。中央での細かい繋ぎから抜け出したFW沢口が寄せてきたDF室井を鮮やかにかわし、飛び出してきたGK山岸の横を冷静に抜くシュートを決め、1−0と先制。以降の時間帯もコンディション不良のプロ選手を相手に各局面でほぼ互角に渡り合う奮闘振りを見せて、そのままのスコアで1本目終了を迎えてみせた。
続く2本目。浦和が採用した布陣は独特だった。数字で表すなら3−4−3か3−3−3−1ということになるだろう。GKは山岸に代わって徳重。3バックは右にニキフォロフ、中央に2年目の中川、左に3年目の南を配置。中盤は底に内舘、右に酒井、左に西村、トップ下に長谷部を置くダイヤモンド型、ないし3枚ボランチとでも言うべき布陣。前線は中央に長身の梅田を置き、右ウイングに永井、左ウイングに千島を張らせる3トップを採用した。このフォーメーション、とりあえず「試してみた」(ブッフバルト監督)ということのようだが、途中出場となりそうな梅田の「使い方」として一つのオプションを提示することになったとも言えるだろう。左右に田中とエメルソンを置いても機能したはずだからだ。
2本目は開始早々から相手のフォーメーション変更に対応できない浦和ユースをトップチームが一挙に押し込む形となる。開始1分を経ずして、右サイドを抜け出した永井のクロスを梅田がヘッドで叩く狙い通りの形から同点とすると、10分にもニキフォロフの強烈なFKが浦和ユースGK大橋を直撃。こぼれたボールをすかさず梅田が押し込み、早くも逆転。この後も西村のCKから梅田がヘッドで決めて3−1とし、「ユースの子の運動量が落ちてきた」(酒井友之)この2本目はほぼ一方的な試合となった。終了間際にも長谷部とのワンツーリターンで抜け出した千島が決めて、加点。さらにワールドユースの同僚・永井との「息が合った」パス交換から抜け出した酒井のシュートを浦和ユースDFが手で止めてPK。これを「ワールドユースのポルトガル戦以来」という酒井が自ら決めて、5−1として2本目終了。
3本目の浦和は再び3−5−2の布陣へ回帰。GKに加藤、DF右から室井、中川、南。MFが右に平川、左に三上、Wボランチが堀之内と西村。トップ下に千島を置き、梅田と岡野で2トップを組んだ。3本目になると、浦和ユースも控え組が目立つ布陣となっており、この3本目も主導権はトップチームが握ることとなる。早くも3分には岡野が自慢の俊足をサポーターへ誇示するかのように右サイドを突破して折り返し。これを中盤から走りこんで来た西村がヘッドで叩き込み、6−1。さらに、三上の左からのクロスを岡野が合わせて、7−1。16分に浦和ユースも西川のパスから大山がGKニアサイドを破る右足シュートを決めて、2点目を奪取したが、反撃もここまで。直後にゴール前で梅田のシュートがこぼれた所を千島が決めて、トータルスコア8−2。そのままゲーム終了となった。
試合を通して目立ったのは浦和の戦術面の変化である。ディフェンスは昨年と同じ3バックだが、中身はかなり違う。マンツーマン+リベロという形が明確だった昨年に対して、今年は受け渡していくゾーンの要素も色濃くなっている。まだ戸惑いもあるようだが、これは時間が解決していく問題だろう。むしろ、問題は人選の方で、この日は内舘が入った3バックのセンターを誰が務めるのかというのは重要な要素となりそうである。
他方、オフェンスに関して監督が事前に指示していたことは次の3つのようである。
・自由にやれ
・後ろが飛び出して前の選手を追い越していけ
・ただし、上がって行った選手のカバーリングはキッチリやれ
1番目の項目は最初の練習試合ということだったのか、それともこれからもこの方針なのかは何とも言えないので、とりあえずここでは触れない。3番目は当たり前のことである。問題にしたいのは2番目の項目だ。
これは昨年の浦和を知る者にとっては目を引く事項ではないだろうか。前任のオフト監督は各選手が自分のポジションを守ることを非常に重要視していた。これに対し、新任のブッフバルト監督は「選手に前へ上がることを禁ずるのはありえない」と明言。実際この試合でも西村などがゴール前まで一気に飛び出していくシーンを何度も見ることができた。彼のゴールがそうだし、酒井がPKを奪ったプレーもそうである。田中・エメルソンの2トップだけで何とかなりそうなのだが、今年は両翼と山瀬に加えて、ボランチの攻撃参加という場面も数多く見ることができそうだ。もっとも、このような変更がリスクを伴うのは言うまでもなく、この「変革」に際しては新監督の手腕が大いに問われることになるだろう。
何にしても、今年の浦和が楽しみなチームであることは間違いない。夜の大原グラウンドは大いに寒かったが、収穫も多い夜であった。
2004.2.6 Reported by 川端 暁彦
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