試合を終えた後の、何かしら釈然としない感覚の理由はいくつかあるだろう。
後半開始直後46分に記録した4点目を最後に、日本はゴールを畳み掛けることができなかった。3点を取った前半を終えて「もっと取れるはず」という期待は膨らんだが、それとは裏腹の結果が気分を重くさせた。
得点の形を作る、という課題でも日本は満足いくレベルではそれを達成することができなかった。前半15本だったシュートは、後半に入ると6本に激減した。
これらの事実がこの試合の印象を悪くしたのは間違いない。ところが、代表に対する失望感を呼び起こしたこれらの事実について、ジーコにはいくつかのエクスキューズ(理由)が与えられている。
そのひとつは、キャンプ生活が続き選手たちには疲労が蓄積されているというものだ。
たとえば本山雅志は「体が張ってるということはありますね。今日は普通に打てば入るところが踏み込みが甘くて浮いたところとかありました」と述べている。また、中澤佑二も「だいぶよくなってきました。二部練が続く時は疲れはありましたが、試合前に少し量が落ちたのでだいぶ体はよくなりました。ただ、まだまだです」と完全なコンディションではないということを口にしていた。
実際のところ、コンディションのピークはワールドカップ予選が始まる18日に持ってくればいいわけで、このタイミングでトップフォームである必要はない。コンディショニングという面で言えば、この日の日本代表に落ち度はない。
またこの試合のレギュレーションも、後半を大味にさせる原因のひとつになっていた。交代の回数が前後半二回ずつと決められ、その代わりに交代する人数は問わないというレギュレーションだったのだ。
このルールにしたがってジーコは、63分にディフェンスラインの4人を。さらに75分にはGKを含めて4人の交代を行っている。普段から練習している仲間である以上、コンビネーションの問題が深刻に存在していたとは思えない。しかし、試合の波に乗るためには、どうしても多少の時間が必要になってくる。そしてそれが後半に対して大味な印象を与える結果の一因となってしまった。
つまりコンディションとレギュレーションの二つの原因があって、試合自体は大味になってしまったともいえるのだ。もちろん「もっと根深い問題があるじゃないか」という声も出てくるだろう。しかしそれは仮定の範疇を超えない。
ただ、この試合でのジーコの采配に対していくつかの注文をつけることは可能だろう。
たとえば同じ4人ずつの交代をするのであれば、ディフェンスラインを一気に代えるのではなく、ディフェンスの2人と中盤の2人という代え方もできたはずだ。そうすれば、たとえば宮本と中澤を同時に起用して試してみることも可能になる。実際、そうした趣旨の質問が会見の場で記者の中から出ていた。ケガや出場停止といったアクシデントは不意に襲ってくる。用心するに越したことはない。
時計の針は着々と進み、ワールドカップ予選に向けて残された時間は少なくなりつつある。そうした状況の中、このマレーシア戦はいくつかの希望を提示してくれた。それはたとえば山田卓也のロングレンジの正確なパスや、石川直宏のドリブル突破。加地亮の激しい上下動と、正確なクロスというようなものだ。こうした地味な発見や進歩を積み重ねること以外に代表を強化する方法はない、という意味において、マレーシア戦は成功だったといえるだろう。
2004.2.8 Reported by 江藤高志













