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【U-23日本代表−U-23イラン代表戦レポート】チーム戦術と個人能力の融合(04.02.09)

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 同じFWとしてポジションを争う高松大樹が「怪物君はすごいですよ」と舌を巻いた。飛び級の末に五輪代表に名を連ねた平山相太が大器の片鱗を見せてくれた。

 この日スタジアムが度肝を抜かれる場面が、前半18分に訪れた。

 日本が左サイドでボールを奪うと山瀬、田中達とつないで最後は平山が「あわせるだけでした」と語ったヘディングシュートを叩き込む。衝撃的な平山の五輪代表初ゴールとなった。

 平山のゴールシーンにばかり目が奪われてしまう場面ではあるが、この得点からは日本代表の持ついくつかの重要な可能性が感じられた。

 ひとつは、相手のボールに対してプレスをかけるポジションが高いという点だ。高い場所でボールを奪えばもちろんチャンスは広がるが、五輪代表が自分たちが持つサッカーの方向性として「ゴールを奪うために積極的に高いポジションでボールを奪いに行く」という意思を見せてくれたことを素直に評価したい。さらに言うと、この試合が五輪代表初登場となった闘莉王がディフェンスラインを統率する中でのプレスだった点を明記しておきたい。

 平山のゴールをお膳立てした田中達も、ボールを受ける際に重要ではあるがごくシンプルな動きを見せていた。自身もイランの選手に対する囲い込みに加わりながら、日本がボールを奪った瞬間に、自らの前方に広がるスペースへと走り出していたのだ。「今そこにあるスペース」は、そこに走り込む田中達自身をトップスピードにしてくれるが、田中達の意思を感じてパスが出てこなければ、自らスペースをつぶすことになってしまう。

 この田中達のフリーランニングに対して山瀬は、プレスによって奪ったボールが足元に転がってきた瞬間に、ダイレクトでのパスを選択した。このパスがすばやい攻守の切り替えにつながり、イランの守備陣を混乱に陥れた。すなわち、イランはスピード感のある日本の攻撃を前にボールサイドに意識を集中せざるを得なかった。さらに言えば、田中達がスピードを緩めることなく強引にタテに勝負を挑み、体を半分だけ前に出したことも意味があった。イラン代表は、田中達から視線をはずすことができなかった。

 これらの一連の流れの結果としてファーサイドの平山がフリーでボールを受けられたのだ。

 このゴールを整理すると、相手の陣地内でのプレスと、それに伴ったすばやい攻守の切り替えが、五輪代表のチーム戦術を語るキーワードになる。そしてこれらの戦術を実現させるために、山瀬のパスセンスや田中達のスピード、そしてフィニッシャーとしての平山の能力が組み合わさるのである。

 1ゴールを決めた場面はもちろんだが、前半を通して日本はすばらしかった。しかしさすがにイランは後半に立て直してくる。後半に入ると、守備に意識を集中させてきたイランを前に日本はチャンスの糸口をなかなか作れなくなってしまった。

 マンマークというわけではなかったが、イラン代表はそれに近い形で前線の選手をタイトにマークしていた。守備に入った相手をいかに崩すのか。それはすべてのサッカーチームに突きつけられた普遍的な命題でもあるが、そうした拮抗したチームのパワーバランスを崩すきっかけとして、個人能力は有効に機能する。ロスタイムに平山が見せた強烈なシュートにその可能性を見てみたい。

 根本裕一は後半の日本代表の失速についてついてこんな話を聞かせてくれた。

「キャンプが続いてきた中で、コンディションの問題もあったと思います。ただ、最終予選は日程がタイトになってくるので、2試合目、3試合目が今日の後半のような内容になる可能性はあると思います」

 五輪予選において、日本は組み合わせに恵まれた。しかし、その時々のチームの状態は、その時点にならなければわからない。現に前半を終えた時点で、後半の苦戦を予想するのは困難だった。決して楽な戦いにはならないだろう、という警鐘を鳴らしてくれたという意味でこのイラン戦は見るべきものがあったといえるだろう。

2004.2.9 Reported by 江藤高志
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