東京ヴェルディ1969、グアムキャンプ8日目。
このキャンプ中、最高の天気となったこの日。
選手たちにとっては地獄とも言えるようなハードなトレーニングが待っていた。
立っているだけでも汗が吹き出てくるほどの暑さ、空には青空が広がっていた。
急遽決まった前日のオフ。アルディレス監督はこのオフの条件として「残りの日程は相当ハードなものになることとの引き換えだ」として、選手たちに一日の休息日を与えた。
ゴルフをしたり、ビーチに行ったり、ショッピングを楽しんだりと、選手たちはグアム入りして初めて自由な時間をゆっくり過ごした。「明日がこわい」と言いながら・・・。
冒頭に「約束だからな。どんなに辛くてもあきらめるな。シーズンを戦いぬくために。」とアルディレス監督の言葉があり、練習がスタート。アップをし終わったら早速300メートル(1分で走る)を10本。1周目からすでに悲鳴が上がる。ベテランの林選手、平野選手が先頭を走る様子は練習のムードを引き締めた。若手もそれに負けじとスピードを上げる。
暑さのため半分以上の選手が上のTシャツを脱ぎ捨てて走る。監督もだ。時に監督がその列に加わり、競争を挑む。負けじと選手たちもスピードを上げる。氷のボックスに体ごと入る選手も出てくるほどの暑さ。悲鳴があちらこちらから響いてくる。
ちなみにこの日、一番元気だったのはアルディレス監督。オフは一日寝て体を休めたため、すっかり元気になった。フィールドプレーヤーの走り姿を横目に、GKのトレーニングに混じり、GKとの一対一では見事な突破をして見せていた。どうすればシュートを打ちにくいか、どうすればコースが塞がりやすくなるか、そのやり取りの中で伝える。
その後も距離を変えおよそ1時間半、ひたすら走り続けて練習が終了した。
「もしかして、陸上部だったのかな?俺たち。って思ってたよ」と、米山選手は冗談ぽく話した。「できれば、やりたくないよ。だけど、やっとかなきゃいけないトレーニングなんだよね。だから、やっちゃいました(笑)あの辛さはね・・やってみた者にしかわからないね。なんとも言い表しようがないんだよね。」と。それほどひたすら走り続けた。疲れもピークに来ていたところにこのトレーニングだ。
「ベテランの選手がすごくがんばるので、我々中堅とか、若手もがんばらなくちゃと思うじゃないですか、自然と。いい具合に刺激しあって、かなり走りこんでます。」と米山選手はチームのバランスの良さを話してくれた。その通り、ベテラン選手たちは言葉で表すというより、その練習に対する姿勢が何かを伝えている。そして一方の若手選手たちからは「負けない」という負けん気の強さ、その気迫が伝わってくる。
昨シーズン、多くの人が優勝候補としてあげたが、惜しくも優勝を逃したヴェルディ。その理由を「残り5試合の時点までは良かった。その後が良くなかった。その要因のひとつにはフィジカルコンディションが良くなかったので、けが人が多くでたということ。」とアルディレス監督。「このプレシーズンで作った体でシーズンを戦うわけで、このキャンプで一番重要なポイントです」
終わったあとにはプールで体を水に浮かべ、青空を見上げてリラックス。プールの中を歩きながら体をほぐす選手、そして何人かでわいわい話しをしたりと、それぞれにリラックスをして午前の練習が終了した。これだけきついトレーニングの後でも選手たちの表情は明るい。
キャンプ8日目にして本格的に天気も良くなり、きついトレーニングもここから更にその厳しさを増していく。そして・・2日後にも同じメニューが待っているということを耳にした。アルディレス監督・・有言実行の男である。
2004.2.16 Reported by 日々野真理
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