2003年1月1日には初の天皇杯制覇で沸いた京都だったが、シーズンを終わってみればJ2降格。京都にとっては01年に続き、屈辱的な2度目のJ2シーズンを迎える。前回の降格時に比べて、選手個々の能力が高まっていること、そして何より2度目の降格ということもあり、日本代表FW黒部光昭、U-23日本代表MF松井大輔ら、主力選手の移籍が懸念されたが、結果的には名古屋へ移籍したDF角田誠、レンタル元へ戻ったMF鈴木慎吾以外はチームにとどまることに。いや、むしろ、ジェフ市原からFW崔龍洙、韓国・蔚山より韓国代表MF金徒均、柏レイソルからMF荻村滋則、名古屋グランパスからFW原竜太など、大型補強に成功。J1クラブにも見劣りしない、J2クラブの中では屈指の顔ぶれを揃えたチームとなった。
指揮をとるのは、過去にセレッソ大阪をJ2からJ1に昇格させた実績を誇る西村昭宏氏。以下、ユースチーム監督としての手腕が評価され元サンガ選手でもある美濃部直彦氏をトップチームコーチに昇格させるなど、スタッフ陣も一新し、「1年でのJ1復帰」を合い言葉に戦いに挑む。目指すのは「どんな形であれ、勝点3をとれるサッカーを」とは西村監督。「どんなに苦しい試合も、
勝利につなげることができるチームを作らなければ復帰はできない。理想もあるが、理想ばかりでは結果にたどりつけない部分もある。だからこそ勝点にこだわりたい」と言葉を続ける。
さて、これだけの豪華メンバーを揃えれば「怖いものなし」と言いたいところだが、唯一心配されるのが代表選手のシーズン途中の離脱。U-23日本代表のMF松井大輔、日本代表のFW黒部光昭、韓国代表のFW崔龍洙など、現時点でメンバー入りは定かではないが、可能性が高いことは言うまでもない。特に司令塔MF松井大輔は長期離脱が予想されるだけに、その穴をどう埋めるかが課題となる。もちろん、松井が今季の契約をするにあたり「オリンピック優先」の約束をかわしていることから、クラブ側もそれへの対策を練ってはいる様子。U-18日本代表でも注目を浴び、鳴り物入りで鹿児島城西高校から入団したルーキー、中山博貴の起用もその“対策”として考えられる1つ。ボランチ、攻撃的MFの両方をこなす彼は、そのユーティリティさはもちろん得点力や頭の良さ、フィジカルの強さを兼ね備えており、高校時には各Jクラブの強化担当者が争奪戦を繰り広げたと聞く。あとは経験さえ積み重ねれば、松井の代役というよりは、彼とポジションを争うことになるはずだ。というより、経験を積む中でそこまで成長が見られれば、長丁場のJ2リーグだけに必ずや“計算できる戦力”となってくるだろう。いや、彼のみならず、前回のJ2での戦いからも分かるように、年間44試合という長丁場を戦い抜くには、層の厚さは必要不可欠。全員が戦い方を理解し、誰が出てもある程度同じ力で戦えるチーム力こそが、J1への近道となる。西村監督の手腕に期待したい。
【新戦力・注目のキープレーヤー】
FW崔龍洙の加入には正直、驚いた。2001年の来日以後、在籍したジェフ市原では3年間で73試合出場54得点。加えて昨年のJ1リーグ戦1stステージ優秀選手に輝くなど、数々の実績を誇る彼が、まさか、J2のクラブを選択するとは思わなかったからだ。だが、本人はと言えば「J2で優勝し、1年でのJ1復帰を果たすためにここに来た。厳しく辛さの伴うシーズンになるかもしれないが、それは覚悟を決めているので問題ない。全員がチームのために気持ちを一つにして戦うことが大事だと思っている」と、新たな挑戦を楽しみにしている様子。期待されるFW黒部とのツートップについても「誰とコンビを組むか私がきめることではないが、黒部にしても、松井にしても、彼らは日本代表に名を連ねる能力の高い選手。そんな彼らとプレーできることを嬉しく思うし、だからこそ互いを尊重し、助け合いながら素晴らしいプレーをお見せしたいと思う」と頼もしいコメントを聞かせてくれた。
そんな彼への期待は打点の高いヘッドや、パンチ力のあるシュートに裏づけされた得点力だけではない。本人も「昨年の戦いにおいては、若さがいい方向に出ていた試合もあった反面、ゴールが決まらない、先制される、という状況になると自信をなくす選手が多かったように見えた。そういったメンタルの部分で力になれれば」と自覚しているように、また、今季のキャプテンに指名されたことからも分かるように、その経験、メンタルの強さこそが最大の武器。それによって、昨年に見られた、サンガが若いチームであることのマイナス要素ーー例えば、負けが混んで落ち込んだ時などに、状況を打破すべくチームを鼓舞できる経験ある選手の不在ーーを補ってくれれば、チームはより逞しさを増す。J1リーグの得点王争いを繰り広げた彼が、J2の舞台でどんな活躍を見せるのか。01年のJ2リーグでは日本人最高の30得点を挙げたチームメイトFW黒部とのチーム内での得点王争い、という贅沢な競争も楽しみにしたい。
【開幕時の布陣予想】
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基本的に昨年同様3バックが基本。GKは平井直人。DFは真ん中を既存のDF手島和希が務め、その両脇を右にDF萩村滋則、左にDF鈴木悟という新しい顔ぶれが固める。新潟に戻った左サイド、MF鈴木慎吾の抜けた穴が心配されたが、そこは経験豊富なユーティリティプレーヤー、MF中払大介が預かることになりそう。右サイドは過去にも何度かそのポジションを務めたMF冨田晋矢をはじめ、MF森勇介、MF熱田眞らがレギュラーを争う。MF松井大輔が五輪代表で離脱するとなればMF冨田がトップ下を務める可能性もあることから、試合によって使い分けることも考えられる。ボランチは、MFビジュと斉藤大介、金徒均のうち2人。金がケガのため合流が多少遅れたことを考えれば、開幕戦は斉藤とビジュのコンビが有力だが、金が完全復活となればボランチのポジション争いはより熾烈を極めることになるだろう。最後に前線は、FW崔龍洙、黒部光昭のJ2最強ツートップ、プラス松井大輔で間違いなし。松井の離脱中は先に述べた冨田をはじめ、移籍組のFW原竜太らにも出場チャンスがまわってきそう。
2004.3.1 Reported by 高村美砂
以上
京都、鹿児島キャンプレポート
2004シーズン 開幕直前・クラブ別戦力分析レポート
















