今日の試合速報

開幕招待
開幕招待

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【U23日本代表-U23UAE代表戦レポート】最後まで落ちなかった気力と体力。高松・田中の一撃でUAEを沈めた山本ジャパン(04.03.06)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
アテネ五輪アジア地区最終予選
グループB UAEラウンド
3月5日22:35KICKOFF(日本時間:al Jazziraスタジアム)
U23日本代表 2-0 U23 UAE代表
得点者:
後半39分 高松大樹
後半41分 田中達也
-------

 「ここで引き分けたら絶対に取り返せない。日本に帰ってからじゃ遅い。首位以外にありえない」というキャプテン・鈴木啓太(浦和)の言葉が、全ての選手の「勝利への強い思い」を代弁していた。90分間気力・体力が落ちることなく、ラスト10分で勝負を決めた日本。ようやく待望のグループトップに立つと同時に、アテネへ大きな前進をしてみせた。

 アテネ五輪アジア最終予選・UAEラウンドを戦っているU-23日本代表。5日は夕方17時35分(日本時間22時35分)から、アブダビのアルジャジーラ・スタジアムで、最終戦のUAE戦に挑んだ。ここまで2戦2勝とグループ首位のUAE相手に、日本は大苦戦。それでも粘り強い守りをベースに、終盤になってリズムを引き寄せ、高松大樹(大分)と田中達也(浦和)が待望のゴール。2-0で勝利し、勝ち点を7に。勝ち点6のUAEをついに上回った。

 1勝1分の勝ち点4で3戦目を迎えた日本。ここで負けたら自力での予選突破が消えるだけに、絶対に落とせないゲームである。この日のアブダビは非常に蒸し暑く、キックオフ時の気温は25度近い高さ。疲れのたまった選手たちには極めて過酷な状況だ。白装束をまとったUAEサポーターも次々と駆けつけ、日本は完全なアウェー状態を強いられた。

 このUAE戦を「最終予選一番のヤマ場」と位置づける山本昌邦監督は、思い切って先発を3人入れ替えた。スタメンはGK林卓人(広島)、DF田中マルクス闘莉王(浦和=中)、茂庭照幸(F東京=右)、那須大亮(横浜FM=左)、ボランチ・鈴木啓太(浦和)、今野泰幸(F東京)、右サイド・徳永悠平(早稲田大)、左サイド・森崎浩司(広島)、トップ下・山瀬功治(浦和)FW田中達也、平山相太(国見高)。最悪でも「勝ち点1」を確保したい指揮官は、右サイドの切り札・石川直宏(F東京)を外して守備的布陣を採ったのだ。

 対するUAEは、普段の4-4-2から4-3-3にシステムを変更した。前日、「日本はこのトーナメントを甘く見ていた。初戦を引き分けたことでかなり難しい戦いになったのではないか」と挑発気味な発言をしたフランス人のジョダール監督は、あえて日本を霍乱する作戦に出たのかもしれない。エースのイスマイル・マタルももちろん健在だ。

 スタートから2連勝し、勢いに乗るUAEは、キックオフ直後から激しい攻撃をしかけてきた。疲労の色濃い日本に、球際の強さ、プレスの厳しさ、ゴールへの執着心を見せつける。日本は持ち味の速いボール回しをさせてもらえず、前線でタメも作れない。体が重い平山はヘディングで思うように競り勝てず、田中達也も3人のDFに囲まれつぶされた。

 前半唯一のチャンスは31分、右サイド・徳永がコーナー付近をえぐって上げたクロスが、中央でフリーになっていた田中達也に渡った場面くらい。だが田中はボールをコントロールしきれず、シュートもワクを超えた。前半の日本はシュートゼロに終わってしまう。

 押せ押せのUAEは、30〜40分にかけて3〜4度の決定的チャンスを作った。39分には、ペナルティエリアのすぐ外側からマタルが蹴ったFKがクロスバーに当たったほど。いつ得点が入ってもおかしくない迫力と勢いに、バックスタンドとメインスタンド半分を埋めたUAEサポーターは沸き返った。

 怒涛の攻撃を何とかしのぎ、前半を0-0で折り返した日本。しかし日本サッカー協会の田嶋幸三技術委員長が「覚悟した時もあった」というように、勝てそうな様子はほとんど感じられない。ロッカールームも苦しい展開にピリピリした空気が漂っていたという。

山本監督は流れを変えるため、頼みの平山を諦め、レバノン戦でゴールを挙げている高松を後半開始と同時に投入した。が、後半開始早々、茂庭のミスパスからFWハリルにフリーでシュートを打たれるなど、相変わらずのUAEペース。日本はじっと耐えて自分たちのリズムをつかむしかなかった。

後半18分、山瀬に代わって松井大輔(京都)がピッチに入った頃から、少しずつ試合が動き始める。「日本は相手の速いサッカーに合わせすぎ。まずは自分がボールをキープして、ゆっくりドリブルで前に進もう」と考えた松井のプレーも功を奏し、ボールポゼッションが徐々に改善されていった。そして残り時間10分を切った頃、激しく攻め立てていたUAEの体力が信じられないほどガクッと落ちた。宮崎、オーストラリア、大阪、UAEと厳しい合宿を積み、気力・体力を充実させてきた日本の選手たちは、この時が来るのをしたたかに待っていた。

迎えた後半39分、均衡がついに破れる。松井からパスを受けた今野が田中達也に絶妙のスルーパス。田中は強引なドリブルでゴール前を突進し、右足でシュートを放った。これはGKラビーに弾かれたが、ここに走り込んだ高松が見事に押し込んだ。山本監督も思わずガッツポーズ。ノドから手が出るほどほしかった1点を手にいれた。短時間で点を取れる高松の勝負強さに日本は助けられたのだ。

さらに3分後、相手DFがヘッドで落としたボールを田中達也が25mくらいの距離から思い切ってシュート。これがDFとGKに当たって、そのままゴールイン。畳み掛ける攻撃で、日本は2点をリードした。

この瞬間、UAEの選手たちは闘争心を失った。鐘やサイレンを鳴らし、大騒ぎしていたUAEの人たちもゾロゾロと帰り出す。そして試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、殊勲の高松と田中達也が高々と両手を挙げた。闘莉王と途中出場の菊地直哉(磐田)が抱き合う一方で、緊張の糸が切れた那須は疲労困憊のあまり足をフラつかせる。歓喜と安堵、計り知れない疲れが入り混じった状況の中、日本はようやくグループトップに躍り出た。

バーレーン戦の引き分け以降、チームは危機感を募らせていたのだ。しかもこの日は選手のほとんどが下痢を訴えた。闘莉王も左肩が完全に治っていない。それでも彼らは泣き言1つ言わず、粘りに粘って戦い抜いた。「勝負の鬼」になれたからこそ、貴重な勝利を呼び込むことができたのだろう。

終わってみれば、日本は勝ち点7、得失点差+6。UAEは勝ち点6、得失点差+3。第2試合でレバノンを5-3で下したバーレーンが勝ち点4、得失点差-1。数字的に見ても、日本は間違いなく優位に立った。地元日本に戻っての最終決戦に向け、山本ジャパンには大きな弾みがついた。


2004.3.6 Reported by 元川悦子


以上
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着