Vodafone Cup　トーナメント・オブ・チャンピオンズ
8月5日（木）21：00キックオフ [英国現地時間/日本時間6日（金）5:00]
会場:オールドトラフォード
浦和 vs マンチェスター・ユナイテッド
雷雨により試合中止
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ここ数日間曇り空が続くマンチェスターだが、この日の天気予報では夕方から夜にかけて雷雨と言われていたが、朝から気持ちよい青空が広がっていた。

17時からは、同時期マンチェスターで行われていたUー15のクラブチームが戦うｎｉｋｅプレミアカップの決勝戦マンチェスターユナイテッド対マンチェスターシティ戦が行われ、マンチェスターシティが勝利。日本を代表し参加していた柏レイソルユースチームは７位に。

　17時半を過ぎた頃から雨が降り出すが、降ったりやんだりという状態だった。そして18時45分PSV対ボカジュニアーズ戦がキックオフ。６分にボカが先制する。途中雨が強くなり、１度雷の音も響いたが、雨足はそう強いものでもなく試合は後半を迎える。

　しかし後半30分あたりから、雨足が強くなり、一転雷雨となった。そして後半35分、試合が中止され、観客に雷雨を避けるために、スタンドからはなれるようにという放送がある。この段階ではボカ、PSVともに試合の続行を望んでいた。雨も一旦は収まり、すでにスターティングメンバーが発表されていた第２試合、マンチェスターユナイテッド対浦和レッズ戦の開催についての協議が始まる。8時50分ごろ、場内では「10分後に試合を行うかどうかについて発表する」というアナウンスが流れる。キックオフ予定の９時を回ったころ「審判の判断で試合を中止することにした」と発表される。

　8月3日のボカ戦以上に多くのサポーターが日本から駆けつけていたにもかかわらず、突然の中止に浦和のサポーターたちは呆然といった様子でその場に立ち尽くしている。何度も何度も中止のアナウンスが流れているが、席を立つ日本人はなく、アナウンスをかき消すようなブーイングが響き渡る。その頃選手たちはすでにバスへと誘導されており、試合を出来ない悔しさをかみ締めるしかなかった。

　サポーターの中には涙を流す人もおり、20分が過ぎてもその場から動かない。「サポーターがかわいそう」だと浦和のブッフバルト監督がスタンドに足を運び事情説明を行った。
「私たちも試合をしたかったが、審判がこの雨は2時間以上続く可能性があるし、人命にかかわることであり、責任がとれないと判断し、僕たちは何もすることができなかった。この試合は単なる親善試合ではなく、セカンドステージに向けた準備として大切な試合だった。しかしこういう結果になってしまった。セカンドステージではファーストステージ以上の結果を残す。今日お見せできなかったものは、第１節の神戸戦ですべてお見せする」という、約５分間のスピーチにサポーターからはギドコールが沸き起こったが、だからといってサポーターの気持ちが治まるものでもなく、その後も1時間あまりその場に残っていたサポーターもいた。

　しかしもっとも悔しい思いをしたのは選手だ。

特にファーストステージは控えに甘んじていたGKの山岸範宏は「相手が攻めてくれば、それだけ自分の見せ場がある。自分の準備は万全に出来ている」と試合先日明るく語り、セカンドステージへ向けたアピールの場を心待ちにしていたはずだ。ボカ戦に出場しなかった永井雄一郎、鈴木啓太もしかり。ホテルに戻り食事を終えても落胆の色は隠せなかったという。
　そんな選手を代表してキャプテンの山田暢久のコメントがチーム広報から発表された。
「どうしてもやりたい１戦だった。雷雨で中止ということでとても残念に思う。遠く日本から応援にかけつけてくれた皆さんには、選手同様残念に結果になったけれど、第2ステージに向けての準備は出来ているので、気持ちを切り替えて頑張りたい」
　過去サッカーの試合中に雷雨で命を落とす事故もある。しかも一昨日、マンチェスター郊外で少年が雷に打たれ命を落としたばかりでもあった。
「今回のインテル戦、そしてマンチェスターの2戦は俺らにとってのオリンピックだと、山瀬と話したんですよ」と鈴木啓太の言葉を思い出すと、その無念さははかりしれない。

　それでももう時間は戻せない。ピッチの上で、そしてピッチ外で体感したことすべてを貴重な経験として、今後に生かすしか術は残されていない。

以上

2004.8.06 Reported by 寺野典子