8月14日(土) 2004 J2リーグ戦 第28節
鳥栖 0 - 1 札幌 (19:01/鳥栖/2,808人)
得点者:'81 清野智秋(札幌)
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気温30.7度、湿度66%。過密日程で戦う両チームには過酷な条件と言える。しかし、この日の鳥栖スタジアムは、体感よりも熱いものを感じた。今季の対戦成績は鳥栖の2戦2勝。しかも、DF佐藤陽彦がJ2リーグ戦通算200試合出場というメモリアルゲームだった。また、23節から6連敗中の鳥栖にしてみれば、現在最下位と苦しむ札幌との対戦のため、ここで勝ち点3を上げて今までの流れにケリをつけたい所だ。一方の札幌も勝利こそないものの、最近のゲームでは調子は上向きになりつつある。
両監督の想いがどこまで選手に浸透しているか、またどこまで持続するのかが、この日のゲームの明暗を分けるポイントとなった。
フォーメーションはどちらも3−5−2。中盤を厚くしてボールを多く支配しようとの作戦に出た。鳥栖は、前線から早いプレッシャーをかけ、ボールを奪うとFWに預ける作戦だった。そのためにDFは相手FWにマンマークとなる今シーズン当初のシステムに変更していた。前節の京都戦ではマンマークとゾーンディフェンスの併用を試みていたが、高さとスピードに対応できなかった反省からマンマークに切り替えていた。
前半20分まではこの作戦が功を奏し、札幌ディフェンス陣も自陣深くに引かされてしまい、鳥栖のペースでゲームは行われていた。MF小石龍臣も積極的に飛び出しを試み、幾度となくシュートチャンスを演出できそうだった。
しかし、この日のピッチは運動量を求める作戦には過酷であった。試合開始から全力で縦横無尽に走り回っていたFW竹村栄哉・田代有三の動きがペースダウンして来ると、後方からのパスコースが減り徐々にMFやDFでのパス交換が多く見られるようになった。ロングパスがつながらなくなり、横パスや後方へのフィードが多く見られるようになった。悪循環は重なるもので、パスがつながらなくなると局面での勝負を避けるようになり、全体的に消極的な展開を行うようになってきた。
こうなると札幌のDF陣が前線へ飛び出す機会が増え、ボールを多く支配するようになる。鳥栖の生命線ともいえる前線へのボールの供給が行われなくなると、一気に流れは札幌へと傾きそうだった。
この流れを断ち切ろうと松本監督が先に手を打った。前半40分にMF小石に代えてMF小井出翔太をピッチに送り込んだのである。札幌の左サイドを積極的に狙い、相手の上がりを押さえ込むと共に前線でのパスの受け手を増やす作戦だった。この作戦は前半の残り数分と後半の20分までは功を奏し、傾きかけていた流れを鳥栖に引き戻し、一進一退の攻防を展開していた。
札幌の柳下監督も手を打った。後半18分にMF権東勇介をボランチに据えると、中盤でボールが落ち着くようになった。細かな展開が図れるようになると、23分にはサイドからのチャンスメイクを狙ってMF市村篤司を投入した。すでに1枚の交代カードを切っている松本監督は、残り時間と選手の疲労度合いを測りながらの采配となってしまった。柳下監督の試合巧者ぶりが発揮された瞬間だった。
遅れて松本監督も疲れの見え始めたMF伊藤彰に代えて運動量のある村主博正を投入したが、ここでは傾きかけた流れを取り戻すには至らなかった。前半の途中からと同じようにロングパスがつながらなくなると、局面での勝負を避け消極的とも言える後方へのパスが目立ち始めた。
この日の気候では選手の疲労は相当のものであろうが、戦う条件は両チーム同じである。監督の思惑を選手がどこまで理解し持続できるのか、明暗を分けるシーンが後半35分に訪れる。
札幌のプレッシャーに押された鳥栖が不用意なバックパスを行い、FW堀井岳也に奪われてセンタリング。中央に走りこんだFW相川進也のヘディングシュートは決まられなかったが、詰めてきていたFW清野智秋に右足で押し込まれ先取点を献上してしまった。
流れの良い時間帯に得点することが出来ず、極めて不利な時間帯での失点。この日の鳥栖には、取り返すだけの体力と気力は残っていなかった。
松本監督は試合後のインタビューで『これが今の鳥栖の実力』と言っていたが、本当にそうであろうか。シーズン当初のあの『元気さ』は出来すぎだったのだろうか。川崎F戦で見せたあの『ひたむきさ』は夢だったのだろうか。選手がゲームに専念できない『何か』が、微妙に影響を与えてはないだろうか…。
試合後に朝比奈伸選手が重い口を開いて『ここは選手全員で考えます』と答えてくれた。松本監督は『起きている問題は、現場で解決しないといけない』と言っていた。結果がすべてを解決してくれることは選手・スタッフはもちろんのこと、サポータも分かっている。
もう一度、原点に立ち戻り奮起してくれることを望みたい。
以上
2004.08.15 Reported by サカクラ ゲン
J’s GOALニュース
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