8月14日（土） 2004 J1リーグ戦 2ndステージ 第1節
Ｃ大阪 4 - 3 Ｆ東京　（18:59／長居／16,520人）
得点者：'6 馬場憂太（Ｆ東京）、'11 古橋達弥（Ｃ大阪）、'41 ケリー（Ｆ東京）、'63 濱田武（Ｃ大阪）、'70 阿部吉朗（Ｆ東京）、'76 西澤明訓（Ｃ大阪）、'79 森島寛晃（Ｃ大阪）
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スコアは4-3。いかにもC大阪らしい派手な点の取り合いになった。得点経過は、6分のF東京に始まり、その後はC大阪、F東京…と交互にゴールを上げるまさにシーソーゲーム。最後はどんな結末が待っているのか?　激しく攻守が入れ替わる熱戦を、サポーターは十分楽しんだことだろう。

1stステージ後のインターバルに、徹底して守備のてこ入れを行ったC大阪。「かなり意識は高まってきた」と、試合前には手ごたえを口にしていた小林監督だが、早くも6分に失点を喫してしまった。CKの流れから相手FW馬場をフリーにし、こぼれ球を決められたのだ。最も警戒し、ケアしていたはずのセットプレーからの失点。1stステージで負け癖のついたチームにとって、大きな痛手になるかと思われた。

しかし、むしろこの失点で選手たちは目覚め、奮起したようだ。前線からの積極的なプレスが効きはじめ、徐々にリズムを自分たちのものにしていった。11分の同点ゴールもそんな前向きな姿勢から生まれたもの。相手選手からボールをカットした徳重が思い切ったロングシュートを放つ。GKはいったん手に当てたがボールをこぼしてしまい、そこへ古橋が猛然と走りこんでプッシュ。あっさり同点に追いついたのだ。

JFLホンダFCから移籍したばかりの古橋。先日のナビスコカップでは、チャンスにシュートを打ち切れなかった。「どんな形でもいいから早く1点を取りたい」と話していた新戦力のゴールで、C大阪が波に乗るかと思われた。が、その後F東京はサイド攻撃を徹底、前半終了間際の42分には、左サイドからのクロスをケリーがヘディングで押し込んで再び1-2とリードした。

　後半に入って、小林監督は早めに選手交代に動いた。53分に徳重に代えて苔口を投入して、左サイドの攻撃を強化。さらに59分には左サイドバックの齋藤を下げて布部を入れ、同サイドの守備を固める作戦をとった。試合が動いたのは直後のこと。63分、中盤でダイレクトパスがテンポよくつながり、最後は濱田。鮮やかなミドルシュートが決まって2-2としたのだ。これを受けて、F東京の原監督も動いた。「まだ本来の動きではない」（原監督）としたケリーに代えて阿部を送り込んだ。その阿部が、70分にまたもやC大阪を突き放すゴールを挙げたのだ。

　2-3。何度追いついてもリードされる苦しい展開にも、C大阪は根を上げなかった。76分、森島が倒されて得たPKをキャプテンの西澤が決めて追いすがった。そして、79分にはついに逆転――この日中盤で抜群の存在感を見せていた濱田を起点に、久藤、西澤とつないで最後は森島。完璧な形で決勝ゴールを奪い、C大阪が勝ちをもぎ取った。5月9日（1stステージ第9節　清水戦）以来、実に3ヵ月ぶりの勝利になった。

　C大阪監督就任以来、リーグ戦初采配での初勝利。しかし、小林監督は手放しで喜ばなかった。トレーニングの中で重点的に行ってきたことができなかったからだ。「気をつけていた試合の入り方に失敗したし、サイドからのクロスに気をつけるつもりが失点してしまった。勝ったことで前に進んではいると思うが、1stステージで悪かった点を修正しなければならない。しかし、負けゲームに近い形をメンタルで勝ちに変えたことは大きかった」。冷静に分析しつつ、選手たちの姿勢をほめた。

　一方の原監督は、会見でしきりにC大阪をたたえた。「相手はもっと引いてくるかと思ったが、前からのプレーができてまとまっていた」「ボール際のがんばりはC大阪の方が上回っていた」「C大阪の方がみんなでプレーしようという意識が出ていた」「今日はC大阪の必死さにやられた」。自チームについては、「全体的に運動量が少なく、守備面の見直しも必要」と、次節に向けて課題を挙げた。

　戦術面の未熟さ、ミスの多さを気持ちでカバーしたC大阪。何が何でもほしかった勝ち点3を得た。勝つことでチーム内に信頼感も生まれつつある。巻き返しへの確かな一歩を踏み出したといえよう。

以上

2004.08.15 Reported by 横井素子