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【J2:第28節 甲府 vs 京都 レポート】甲府の新外国人カレカがデビュー。崔のスーパーゴールで京都が引分に持ち込む(04.08.15)

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8月14日(土) 2004 J2リーグ戦 第28節
甲府 1 - 1 京都 (18:34/小瀬/8,131人)
得点者:'42 小倉隆史(甲府)、'89 崔龍洙(京都)
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2位から7位までが勝ち点4差にひしめくJ2の昇格争い。8月14日に甲府で行われた一戦は勝ち点1差の2位(甲府)対5位(京都)の試合で、勝つと負けるでは順位は大きく変動する可能性のある試合だ。試合前に京都の松永成立GKコーチにそのことを問うと「J2は毎試合だから(笑)」と慣れた様子。しかし、京都はここまで甲府にリーグ戦2連敗中で、第4クールを見据えると3連敗は絶対に避けなければならない。また、甲府は甲府で別の事情がある。この日からJ1昇格に向けて小瀬スポーツ公園陸上競技場をJ1規格の収容人員に改修するための署名活動を開始しており、署名活動初日に負けて盛り上がりに水を差すわけにいかない。8,131人のサポーターの前で勝利して、改修のスポンサーである行政(山梨県)を本気にさせなければならない。
その立ち上がりは、お互いにリスクを冒さないサッカーに徹していた。くさびのパスを入れては戻し、サイドチェンジもほとんどが自陣内のみ。4枚のディフェンスが残っているので少々のミスでは決定的なチャンスにならない。また、お互い4−4−2のフラットでマッチアップに変則もなく、選手の力にも極端な優劣はない。選手の名前やクラブ規模を見れば京都が有利であるが、柱谷幸一監督が「甲府はこの時期この順位にいるチーム」と言うだけあってチーム力は均衡している。この前半に刺激を与えたのは、甲府の右サイドハーフ・水越潤のドリブル。0−0で折り返しそうな雰囲気が強くなった42分にドリブルで右サイドからゴール方向に切り込み、ゴール前の狭いところで土橋宏由樹に短いパス。土橋がダイレクトでフリーの小倉に落として、小倉が左足でグラウンダーのシュートを京都ゴールに流しこんで先制。京都はディフェンスが崩されたわけではなかったが、人数をかけて守っていながらもトップの位置から引いてポジショニングしていた小倉をフリーにしたことが原因となった失点だった。

後半、京都はボランチの金 徒均に代えて石丸清隆を起用してきた。金が機能していただけに不可解だったが柱谷監督によると「体調不良」がその理由。金を失った京都は、立ち上がりから両サイドバックを積極的に上げ、リスクを冒した。そして約20分間に渡ってパワープレーを見せた。甲府も必死に跳ね返すが、藤田健を前線に残しただけではボールを奪っても攻撃につなげることができずにほとんどの時間を守備に費やした。しかし、73分に救世主が登場した。新外国人FWのカレカだ。得点源のバロン(鹿島に移籍)を失った甲府にとってJ1昇格への鍵となりうる新外国人は、大歓声に迎えられてピッチに入った。しかし、甲府サポーターは大歓声を送りながらも冷静だった。Jリーグデビューとなったカレカの能力を無条件に期待していたわけではない。カレカのボールタッチが増えるにつれて、「使える」「速いじゃん」という声が混じり始め、ようやく現実的な期待を込めた歓声に変わった。カレカの投入でカウンター攻撃の威力が増した甲府は、78分に小倉のパスからPKを得る。このPKが決まれば試合も決まる時間帯・流れだったが小倉のシュートはGK平井直人が左に飛んでセーブ。京都は柱谷監督になってからレギュラーポジションを取り戻した平井の勝負強さで試合を決めさせなかった。しかし、フィジカル的にいちばん厳しい残り時間に得点を挙げなければ勝ち点を積み重ねることはできない。京都は最後の10分間も攻勢に出るが、決定的なシュートを打てないまま3分間のロスタイムに突入。会場の雰囲気は「このまま甲府の勝利」というものだったが、まったく諦めてない男が一人いた。それが崔 龍洙。ロスタイムが残り1分になろうかという時間にもらったFKのチャンス。崔は誰かに合わせることは考えていなかったようだ。甲府ゴールを背に、ボールを挟んで中山博貴と向かい合った崔は、中山にささやいた。そして、中山がちょんと出してコースを変えたボールを、振り向きざまに甲府ゴールにダイレクトに蹴った。そして、そのボールはバーの下部に当たって甲府ゴール内にバウンド。甲府の選手を呆然とさせるスーパーゴールだった。

この引き分けでJ2の昇格争いは更にヒートアップすることになるが、豊富なタレントを有する京都は脆さを露呈した。それは、韓国人選手と日本人選手の意識レベルの差だ。京都の日本人選手はファールなどでプレーが途切れると気持ちも途切れてしまい、崔や金が間を置かず出すパスに反応できない場面が少なくなかった。この甘さがある限り、J2最強といわれる京都は今後も厳しい試合を続けることになるだろう。対して、甲府は小倉以外にビッグネームはいないが、チーム力は高く、カレカという新戦力の加入でJ1昇格はただの夢ではなく現実的な夢であることをサポーターに証明している。ただ、カレカの保有権(パス)は甲府にはなく、カレカが活躍すればするほど、資金力が豊富なチームの目に付いてしまうというジレンマもある。

以上

2004.08.15 Reported by 松尾潤
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