8月25日(水) 2004 J2リーグ戦 第30節
仙台 4 - 1 湘南 (19:04/仙台/13,135人)
得点者:'42 ファビオヌネス(仙台)、'59 大柴克友(仙台)、'60 財前宣之(仙台)、'62 柿本倫明(湘南)、'83 佐藤寿人(仙台)
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この試合で仙台は、シーズン途中から採用した1トップ2シャドーの3-4-2-1でもなく、まして前節90分を通じて敷いた3-3-3-1でもない、最前線に佐藤とファビオ ヌネスを残し、その後方に大柴一人を配した3-4-1-2のシステムで臨んだ。確かに、3バックを採用している湘南相手に、相手SBのケアも目的としている1トップ2シャドーを採る必要はないし、「攻撃では今までどおり、どんどんポジションチェンジをしても構わなかった」と佐藤が語るように、攻撃に関しては3トップは慣れたものである。
佐藤の言葉どおりポジションチェンジを繰り返す仙台の前線。中でも湘南DFライン中央の浮氣とボランチ吉野の2人の受け渡しによって、中央部では厳重にマークされていたはずのトップ下の大柴が、左右サイドのスペースに流れることでそのマークを外し、局面における数的有利を仙台に生み出していた。
しかし湘南はこの苦しい時間をやり過ごすと、徐々に流れを取り戻し始める。きっかけはスピード溢れるカウンターだ。
湘南のシステムはメンバー表では3-5-2。しかし実際はトップの一角に入った鈴木良和がシルビーニョに対してのマークの役割を担うこともあり、ほぼオフェンシブハーフの位置へ引いているため、柿本の1トップにかなり近い。よって攻撃の際、最終ラインにストッパーを2人残す必要のない仙台は、小原か森川のどちらか1枚が、積極的に攻撃に参加する。
この攻め上がりによって生まれるまさにこのスペースを湘南は突き、狙いすましたカウンターで仙台ゴールを襲う。仙台がここ数節の悪癖である中盤でのまずいボールの失い方を繰り返したことこそ、カウンターの回数を増やした要因であるが、その切れ味までも鋭い要因はあくまで湘南の選手の奮闘にあった。坂本、高田、鈴木良和と、元々スピードを持っている彼らが次々と空いたスペースに飛び込み、ゴール前に張る柿本に合わせる、あるいは柿本をおとりに使いゴール前に侵入するなど多彩な動きを見せ、仙台を脅かす。勝ち点3が是が非でも必要なことから、必然的に前がかりになる危険性をはらむ仙台が相手である以上、湘南の戦いぶりは仙台の脅威となるに十分だった。
だが湘南にとっての不運が、ハーフタイムの前後に立て続けに発生したことで、ゲームの流れは一気に仙台へ傾き、それは止められないものとなっていった。
一つは前半40分に、攻め手を欠いていた仙台に与えられたPK。ファーサイドに流れていった仙台のFKのボールが、エリア内にいた高田の腕に当たるというものだった。このPKを、来日してからの3ゴールが全てPKというファビオ ヌネスが4たび決めて、仙台はかろうじて前半中にリードを奪う。
湘南のゲーム展開を困難にしたもう一つの要因が、後半5分の城定退場である。先ほどのPK裁定の際に異議で警告を受けていた城定が、良い形で抜け出しかけた佐藤を後ろから引っ掛けてしまい、2枚目の警告を受けて退場。これにより湘南は布陣の変更を余儀なくされる。復帰戦をベンチで迎えていたパラシオスが後半7分に慌てて送り出され、代わりに左サイドの坂本が退く。空いた左サイドは金が埋めた。
とはいえ湘南にとってこの日最大の不運は実は、仙台の右サイドに財前がいたことかもしれない。自分のサイドで発生した布陣の変更による混乱を、財前は見逃さなかった。元々動きにキレを見せていた財前は、外だけでなく中に積極的に切れ込むなど変幻自在の動きで湘南の守備を翻弄。後半14分には右サイドで粘った後に上げたセンタリングで、オーバーヘッド気味で放った大柴のビューティフルゴールをアシストすれば、圧巻はその1分後の後半15分だった。中央、梁からのパスをペナルティエリア外右側のスペースで受けた財前は、ベナルティエリアのラインに沿う形で中央に向かってドリブル開始。緩急をつけたドリブルで複数のマーカーを引きつけながらもシュートコースを見つけた財前は、右45度を越えた辺りでシュートを放つ。低い弾道でファーを突いたシュートがネットを揺らして3-0。この時点で勝負は事実上決まった。
湘南も直後の後半17分、意思統一を欠いた仙台守備陣の乱れを突いて柿本が、高桑との1対1を決めて2点差まで追い上げ、なおも修正の遅れる仙台から決定的なチャンスを作るものの、ゴールはこの1点止まり。逆に仙台は後半38分、カウンターから最後は佐藤がヘッドで決めて再び3点差としてゲームを終えた。
仙台はひとまず、最低限のノルマである勝ち点3をしっかりと得た。この節の他チームの結果を受けて、2位チームとの勝ち点差は6へと縮まっている。最近は得点力不足に悩んでいたが、この結果で得点感覚を思い出すことができただろうか。
一方の湘南は、終盤こそ押し込まれるだけの展開となってしまったが、前線のスピードを活かしたカウンターの切れ味は相当なもの。パラシオスの完全復帰も間近なだけに、カウンターを出す前に相手の攻撃を受け止める守備がもう少し磐石になれば、昇格争いの渦中にあるチームにとって、第4クールでは厄介な存在になるかもしれない。そんな予感を持たせる内容だった。
以上
2004.08.26 Reported by 佐々木聡
J’s GOALニュース
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