9月11日(土) 2004 J2リーグ戦 第33節
川崎F 0 - 3 大宮 (19:04/等々力/20,043人)
得点者:'20 奥野誠一郎(大宮)、'28 トニーニョ(大宮)、'87 安藤正裕(大宮)
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J1昇格(条件の2位以内確定)をかけた大宮戦を前に、中村憲剛は「前に出て行くことで、金澤選手のところにプレッシャーをかけたいですね」と述べていた。この言葉は、ボランチの攻撃参加の重要性を端的に言い表していた。今季の川崎Fの好調さは、中村のボランチ起用とリンクする部分があった。元来持っていた攻撃的ミッドフィルダーとしての攻撃的センスを殺さずに、ボランチとして必要な働きを身につけて中村が川崎Fの中盤を活性化。2.5列目からの攻撃参加は、相手の守備陣形をかき乱し、局面を大きく打開して川崎Fの得点を演出した。典型的な例で言えば、16節での大宮戦では、中村の攻撃参加からの同点ゴールが、ロスタイムの町田忠道の劇的な逆転ゴールへとつながっていた。
ところがこの日の大宮は、こうした中村のタテ方向の動きに代表される川崎Fの選手の前線へのポジションチェンジの動きをほぼ封じ込めていた。長橋康弘はその大宮の印象を次のように語っている。「大宮は研究してました。(ボールを奪われると)一度下がってくさびが入らないようにDFの4人の間を均等にしていて、ボールの当てどころがなかった」
大宮は中盤をコンパクトに保ち、川崎Fの中盤でのボールキープを厳しく制限した。これにより、川崎Fはもっぱら最終ラインでボールを回さざるを得なくなる。横パスでボールを動かしながらタイミングを見計らってフォワードへとパスが供給されたが、ボールが空中を移動する距離が長くなれば、それだけ守備陣の対応に余裕が出てくる。結果的にトップに入った我那覇和樹、マルクスに対して厳しいチェックが繰り返され、彼らにポイントを作ることを許さなかった。
トップでボールキープできなければ、中盤より後ろの選手たちの押し上げが難しくなる。それがさらにトップの選手へのフォローを難しくし、結果的に川崎Fの選手たちの、ポジションをタテに変える動きが制限されたのである。これによって川崎Fの攻撃能力は大きく削り取られてしまった。
川崎Fは最終ラインでのボールキープだけは許されており、そこから攻撃の糸口を探し出す作業を続けた。しかし、強力な守備ブロックを作っていた大宮に対し、なかなか穴が作れない。強豪チーム同士の対戦にありがちなジリジリとする試合展開の中、大宮がチャンスを生み出したのが前半19分だった。
中村が意識していた金澤慎が「空いていた」という3バックのサイドのスペースへと飛び出すと、そこへパスが供給された。対応した中村を振り切って上げようとしたクロスから、CKを得た。安藤正裕が蹴ったそのCKは、川崎Fのいくつかのミスを誘ってファーサイドの奥野誠一郎の頭をとらえた。前半20分。大宮が先制する。
この先制点がこの試合の本質を端的に示していた。川崎Fが封じられたタテ方向のポジションチェンジ。その一方で、そのタテの動きをきっかけとして、最終的にゴールへと結びつけた大宮。結果的に3ゴールを畳みかけた大宮だったが、もし仮に90分間を1ゴールのみで過ごしたとしても、結果的に勝ち点3を手にしていたはずだ。それほどまでにこの日の大宮は、完璧だった。
昇格を待ちわびたサポーターを前に喫した惨敗。川崎Fの選手の口からは異口同音に「申し訳ないです」という言葉が出ていた。うなだれる彼らを見ながら、大宮・金澤の言葉が頭に浮かんだ。「自分が出て、2年連続で目の前で(J1昇格を)決められてきたので、3年連続はイヤだという気持ちでやりました」
2年連続で見せつけられた昇格劇。その屈辱を闘志に変えた大宮には「なんとしても勝ちたい」という気持ちがみなぎっていたのだろう。それが、ホームでの連勝記録を更新中の川崎Fを下す要因の一つになっていたはずだ。
強敵を下し、勝ち点3を加えた大宮が2位をキープ。川崎Fはこの敗戦で次節での自力によるJ1昇格内定の可能性がなくなった。
以上
2004.9.12 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
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