9月11日(土) 2004 J1リーグ戦 2ndステージ 第4節
清水 3 - 0 広島 (19:02/日本平/11,480人)
得点者:'70 チョジェジン(清水)、'89 アラウージョ(清水)、'89 北嶋秀朗(清水)
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「災い転じて福と成す」という言葉があるが、清水にとってまさにその通りの試合となった。開始直後は広島がワンタッチパスで清水のディフェンスラインを中央から崩しにかかる。清水は斉藤、森岡、鶴見が最後の最後で持ちこたえていたが、失点の危険が高い時間帯だった。ボランチの戸田が積極的にボールの出所を潰しに走り回り、後ろがディフェンスをしやすくしようとするが、ワンタッチパスを2本、3本と連続で繋がれると後手を踏んで追いつかない。ただ、清水は一方的に攻め込まれていたわけではなく、右の太田、左の高木が速いドリブルからクロスを入れるなど広島のサイドを切り裂き、広島の両サイドが上がりにくい状態を作りつつあった。23分にはチョ・ジェジンが高木からの決定的なクロスをシュート(シュートミスで得点にならなかった)するなど、広島に充分な脅威を与えていた。しかし、試合の流れがまだどちらにも大きく振れていなかった27分に、戸田が2枚目のイエローで退場となり、清水は10人で戦うことになってしまう。清水は13分にボランチの杉山が左鎖骨骨折で澤登と交代しており、先発の両ボランチは開始27分でピッチからいなくなってしまった。
清水が10人になったことで広島は楽になるはずだったが、数的有利という状況がまったくといっていいほど見られなかった。34分にはチョがスルーしたボールから決定的なチャンスが生まれるなど清水の攻撃は危険なまま。このシーンはアラウージョが外したが、両サイドを破られる広島は3バックから4バックに変更してワントップ気味の清水に対して、効率よく守り、攻撃の枚数を増やそうとした。前半の残り時間がほとんどなかったためにシステム変更の効果は出なかったが、後半は広島の時間になることが予想された。
後半は、お互いにカウンターの応酬で始まった。清水は運動量で数的不利を補い、広島はベットが下がり気味のポジションから正確なロングパスを出して大木、盛田のFWを活かす。広島はセンターバックのリカルドを右サイドに持って行き、攻撃力を増そうとしたがこれが誤算だった。リカルドはディフェンスラインで決定的なミスを繰り返し、清水に付け入る隙を何度か与えた。そして、69分に自らのミスを取り戻そうとしてアラウージョを倒して一発レッドでPKを献上。このPKをチョが決めて清水が流れを引き寄せた。89分には北嶋→澤登と繋いでアラウージョが駄目押しゴールを決める。そして、1分も経たないうちに北嶋が3点目となるゴールを決めて清水が一気に広島を押し切った。広島は鬼門である日本平でまたしても勝利することができなかった。これで9年間、日本平で勝利がないことになった。立ち上がりに素晴らしいサッカーを見せていた広島。知将・小野剛監督の手腕と脱帽したが、結果的には流れを引き寄せられなかった。小野監督は「相手が10人になって甘さが出た」とメンタル的な部分を一番悔やんだ。立ち上がりのサッカーを見れば、広島が素晴らしいサッカーができるチームであることは明らか。結果に対する批判を甘んじて受け、あとは開き直って自分達のサッカーを追及するしかないだろう。
清水はこの試合で今季最高といえるようなサッカーを見せたが、それ以上に大きなヒントを得たのではないだろうか。石崎監督は前線からのプレッシングサッカーを推し進めているが、なかなか結果が出てこなかった。しかし、10人になったことで「前からスコスコ(プレスに)行くとやられる。中盤にボールが入ったら奪いなさいと指示した」と記者会見で話した。この軌道修正がよかったということは、前線からのプレッシングサッカーよりも、ある程度エリアを限定してボールを奪うほうが清水には合っているのかも知れないというヒントになったはずだ。前線からのプレッシングサッカーを90分間続けるには相当な体力が必要であるが、エリアを限定すれば効率よくボールを追うことができ、体力面の消耗も少なくて済む。1試合で判断することはできないが、この日のチームディフェンスがたまたま上手く行ったのか、清水に合っているのか、検証してみる価値はあるのではないだろうか。
以上
2004.09.12 Reported by 松尾潤
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