11月28日(日) 2004 J1リーグ戦 2ndステージ 第15節
大分 2 - 2 柏 (13:04/大分ス/29,435人)
得点者:'8 明神智和(柏)、'22 サンドロ(大分)、'72 宇野沢祐次(柏)、'75 マグノアウベス(大分)
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有終の美を飾りたい大分。ここ4試合勝ち星から遠ざかっている。すでにJ1残留を決めているとは言え、ハン ベルガー監督の目指すアグレッシブなサッカーができているとは言い難い。アウェー戦2試合では引き分け。ホーム戦2試合では大敗(0−4・0−3)といいところなく敗れている。ホームで最終戦を迎える選手たちは、有終の美を飾るためにピッチに立つ。
対戦相手の柏は、年間順位15位と後がない立場で今節を迎えた。今節の結果如何では、J1・J2入れ替え戦に臨まなければならない。勝てば残留、引き分け以下ならC大阪の結果次第。おのずとモチベーションは高くなる。
この両者の試合前の気持ちが大きく試合結果を大きく左右すると思われた。
試合開始直後こそ、大分にコーナーキックのチャンスが訪れたが、その後は柏の気迫が勝っていた。中盤で大野敏隆が積極的にボールに絡んで流れをつかみ、FWではスピードを身上とする玉田圭司があらゆる所に顔を出してはボールを受けて積極的に仕掛ける。5分にはDFの波戸康広が正面から40mのロングシュートを放った。この日の柏は『勝つ』という意識が前面に出ていた。
その結果、8分に大分陣内でボールを左右に散らしながら大分DFの隙を見つけ、大野が中央から強烈なシュートを放った。強い意識は運をも味方につける。このシュートのこぼれ球が、走り込んでいた明神智和の足元へ流れて来た。先制点が柏によって挙げられたのである。
この先制点は、単なるシーズン中の1点ではない。試合の主導権を握り、1勝へと近づく得点だけでもでもない。『J1残留』という大きな結果が伴う得点なのだ。『勝つ』という意識を強く持っておくことで、残留をもっと確実なものにすることが出来ると、選手をはじめサポータも十分にそれを知っている。スタジアムの一画を占めた柏ファンのボルテージは一気にヒートアップして行った。
しかし、ハン ベルガー監督は冷静に柏の『勝つ』という強い意識のほころびを見つけて手を打ってきた。
それまで、2ボランチとして配置していた、小森田友明と瀬戸春樹をワンボランチ的に縦に並ぶように指示したのである。
この作戦は、勝ちたい余りに前がかりになる柏の中盤と前線で顔を出し続けていた玉田との間に境界線を引いてしまった。面白いようにボールに絡んでいた明神と大野が、逆に小森田と瀬戸の対応に追われるようになった。こうなると孤立していたマグノ アウベスの元に嘘のようにボールが集まりだす。積極的に仕掛けていき、ペナルティエリア外25m付近で倒されてフリーキックを得た。キッカーはパトリック。短い助走でフワリとファーポストで待っていたサンドロの頭に合わせたのである。強烈なキックを予想して構えていた柏DF陣は虚を突かれた。GK南雄太の足が一瞬止まった。ボールはサンドロの頭からゆっくりと南の手の上を通過してネットを揺らした。サンドロの今季初ゴールが、柏サポーターとイレブンの淡い想いを吹き飛ばしてしまった。戦力外通告を受けたサンドロがチームへの在籍期間の恩返しをしてくれたようにも見えた。スタジアムを埋めた30,000人弱のサポーターのボルテージが最高潮に達した瞬間であった。
後半に入るとハン ベルガー監督は次の手を打ってきた。より攻撃的なシステムに変えて柏の攻撃の芽を摘もうと、トップに高松大樹を据えてマグノ アウベス、松橋章太、吉田孝行が自由に動くことが出来るシステムに変更してきた。これで、完全に流れは大分に傾いて行った。後半開始から立て続けに3本のコーナーキックが続く。10分には有村光史のロングシュート。17分には梅田高志、20分にはマグノ アウベスの技ありシュートが容赦なく柏を襲う。
どのシュートも南のファインセーブによって阻止されたが、今シーズンの目指すサッカーを見せてくれた。と同時に苦戦した原因である『決定機での得点力』不足を露呈してしまった。
「決めるべき時に決めないとゲームでは勝てない」(ハン ベルガー監督談)大分は、後半27分に柏にカウンターを食らってしまう。左サイドでDFのボールをカットした玉田がそのまま高速ドリブルで駆け上がる。大分DFを振り切ると中央で待つ宇野沢祐次にパス。宇野沢は落ちつて右足でゴールを決めた。再び『残留決定』の想いが柏サポーターを包んだ。この時点では、新潟スタジアムで戦っているC大阪は1−1の同点であった。
『(C大阪の)経過は知らなかった』(早野監督談)かもしれないが、勝ち越した段階で冷静にゲームを落ち着かせる必要があった。この日の柏は攻守ともにバランスが悪かったが、勝ち越すことが出来た。結果論かもしれないが、ここで何かの手を打っておけば、結果は変わっていたかもしれない。交代枠をまだ2枚も残していたことを考えると残念な気がする。
ベンチには、最近先発で使っているパラシオスと途中から守備固めに使われることが多い小林祐三が控えていた。が、策を講じる間もなく3分後にDFの不用意なヘディングボールをマグノ アウベスが拾い、再び同点としてしまった。
残りは15分、悲痛な柏サポーターの応援を受けて必死にイレブンはボールを追うが、勝ち越すことが出来ない。残り2分となったところで、早野監督が2枚目の交代枠を使う。『絶好調ではない』(早野監督談)山下芳輝をDF薩川了洋に代えて使ってきた。が、ロスタイムを含めて4分ほどでは、結果は出せなかった。この時点で、同時進行のC大阪は2−1で勝ち越していた。『勝つ』しかない柏にしては後手を踏んでいたことになる。
来季のJ1は、2チーム増えて18チーム1シーズンで行われる。そのため、今シーズンはJ1からの自動降格はなくなった。「J1・J2入れ替え戦』にまわるのは、16チーム中1チーム。最悪でも入れ替え戦に勝てば、J1に残留できる。考え方を変えると、来シーズンに向けた思い切ったチーム強化を今年度に行うこともできたとは言えないだろうか。
シーズン途中で監督が交代しないといけない状況に見舞われたことは不幸なことかもしれない。が、柏はもともと守備には定評があり、新旧の日本代表を多く抱えるチームである。それにしては、今節の戦い方を見ていると入れ替え戦にまわっても仕方がないような試合運びであった。
一方、よりアグレッシブに戦う集団に変貌しつつある大分。昨年のこの時期には降格を意識して戦っていたことを考えると、少しずつではあるが確実にステップアップしているのかもしれない。
以上
2004.11.28 Reported by サカクラ ゲン
J’s GOALニュース
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