12月19日(日)第84回天皇杯全日本サッカー選手権 準々決勝
札幌 0 - 1 磐田(15:00KICK OFF/丸亀)
得点者:94分 川口信男(磐田)
-----------------
格上との実戦の中で、プレイのレベルがどんどん研ぎ澄まされていく。そんな驚異的な姿を、この試合での札幌に見た。そして、延長まで時間はかかったものの、勝負どころをつかんで、相手を揺さぶって決める磐田のここ一番の強さも、依然健在だった。お互い、安易なミスをしたらそこで終わり。そんな緊迫感ある時間が、丸亀競技場に長く流れていた。
磐田は、3日前の日本代表対ドイツ代表にフル出場した藤田を控えに。空いた2列目には福西が3列目からせり上がった。そして肉離れから鈴木が復帰し3バックに入って山西、田中とユニットを組み、前の試合まで3バックにいた菊地は3列目で服部とコンビを組むという布陣。試合はそうした磐田のペースから始まった。早いパス回しを続け、3バックも積極的に中盤のパスワークに参加。左サイドに目をやると、西を中心に山西や福西、グラウなど様々な選手が絡み合い、札幌右サイド岡田1人に対し人数優位の状勢を作る。しかし磐田は、札幌が堅い守りから奪い取ったボールに対してのプレッシャーが薄い。これにより札幌もドリブルで押し上げることができた。岡田も、どんなに押されていても攻めにまわると強く、競り合いの末に相手を引きはがすように振り払い、何度もペナルティエリアめがけて突破していく。他の選手も、ボールを奪われないよう必死に身体を張る。こうして札幌は流れを均衡に近づけて、前半27分に福西のシュートがバーを直撃というヒヤリとするシーンをくぐり抜け、0対0のスコアが長く続いた。
磐田・山本監督は、五分五分の空気を早めにかき回し、試合の行方を我が物にしようと、札幌に先んじて交代起用に踏み込んだ。後半開始時、FW前田に代えて早々に中山投入。後半26分には、川口を左サイドに投入し山西が退き、3バックは鈴木、田中に菊地が中盤の底からもう一段下がって加わり、西が左から右サイドに移動、右サイドの河村が中盤の底に移るという大幅な配置換えを行なった。それでもなお札幌は、「皆よくまとまっていた」と藤ヶ谷が振り返ったように、マークの受け渡し、はっきりとしたクリア、相手を複数で挟み込むという堅守は緩まなかった。ただ、札幌は中盤の底で、権東と田畑をサポートするように2列目の砂川も献身的に走り回って守備に加わり、最終ラインの一段前から反撃の組み立てを始める。それは守備ではもちろん大きく効いたのだが、引き換えに2列目の位置が薄くなり、ゴール前への最後の仕掛けは長めのクロスということの多さにつながった。同じ攻めるにしてもペナルティエリア前の分厚さにおいては、パスワークでじりじり押すことができる磐田を下回っていくことになった。
後半も半ばを過ぎると、お互いにファウルでプレイを止めて、いい位置でのFK献上というシーンが増えた。タイトな戦いが続いた証だ。それでも両チームともゴールネットは揺れないまま、丸亀の日はどんどん暮れ、延長戦に突入。延長開始時、山本監督が3人目のカード、藤田を投入し、なおも試合の空気を引き寄せようと挑んだ。そしてこれが実った。延長前半4分、左サイドの川口からパスをもらった藤田が粘っこいドリブルで左横からゴール前へじわじわ侵入し、巧みなボールタッチで目前に立ちはだかる札幌の選手2人を崩す。そして右横のグラウにパスを出し、シュート、一度は札幌が防いだが、このこぼれ球をさっきまで左側にいた川口が右側に回りこんで、とどめの右足シュート、Vゴール。
堅守を破られた札幌の選手がピッチ上に次々と崩れ落ち、磐田は何人もの笑顔が川口の周りに集まった。苦戦が続きながらもベスト4進出。磐田のしぶとさは一戦ごとに増し、25日の国立競技場、対浦和戦へと続く。そして札幌は、「来季、ボールを持ってない時の判断をもっと早くしないと、シーズン通して勝つのは難しいし、いいチームと対戦した時でもいいゲームができない」と課題を出した柳下監督のもと、今季J2最下位の汚名返上のため、しばしのオフに入る。
以上
2004.12.19 Reported by 永井謙一郎
J’s GOALニュース
一覧へ【天皇杯準々決勝:札幌 vs 磐田 レポート】延長突入後に勝負強さが表れた磐田。札幌の堅守が藤田、川口によって破られた(04.12.19)















