【準決勝第一試合】鹿島アントラーズユース vs 浦和レッズユース
2004年12月23日(木・祝)11:00 Kick Off/長居第二陸上競技場
浦 和 1-1(PK 4-5) 鹿 島
■得点者:68分野島康宏(浦和)、76分後藤圭太(鹿島)
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優勝候補の磐田を破って勢いに乗る浦和と接戦を制して勝ち上がってきた鹿島の一戦。絶好調の「10番」エスクデロ(1年)を中心にしたスピーディーなサッカーの浦和に対して、鹿島は徹底した対策を施して迎え撃った。
浦和は二回戦と同じ布陣の「普段着」でこの試合に臨んだが、対する鹿島がまとったのは「戦闘服」。自らの長所が消えることを承知で、浦和の長所を消しにいったのである。リアクションの「早さ」という浦和の持つスペシャリティーを潰すべく、鹿島はトップ下のエスクデロに対し、忠実なプレーに定評のある田嶋慎吾(3年)をマンツーマンでぶつける。田嶋がエスクデロに引っ張られることで生じるスペースはもう1枚のボランチである吉澤佑哉(3年)に加えて、トップ下の山本拓弥(3年)が下がってきてカバー。
通常の4バックから浦和に合わせて3バックへと切り替えた最終ラインは、2トップに対応する2枚のストッパーには高さのある畑中亮人(1年)とスピードのある鈴木寿毅(3年)が起用され、その後方に後藤圭太(3年)が余る形をとった。加えて特徴的だったのは両サイドである。徹底的に縦をケアし、サイドに蓋をする。
特に大抜擢を受けた左サイドの郡司祐太(2年)は、浦和のキープレーヤーである西澤代志也(2年)の強烈な突破力を徹底的に封じ込んだ。「あれだけガチガチに守られると厳しい」と浦和・村松浩監督(代行)を嘆かせた重厚な布陣。それは押し上げの遅れ、2トップへのサポート不足という形で鹿島側の攻撃力も減退させることになるのだが、「ほぼ狙い通り」(鹿島・河崎淳一監督)のものだった。守備の要であるDF野本泰崇(3年)を出場停止で、攻撃の要であるFW大道広幸(2年)を負傷でそれぞれ欠く中、鹿島はこの試合の「勝利のために」最大限の智恵を絞ってきた。
鹿島が守備を固める策を採ったことにより、試合は序盤から膠着する。ハードマークに苦しむエスクデロは攻撃の起点として機能せず、両サイドも縦のスペースを潰されて思うようなプレーができない。2トップへの単純なボールはこぼれ球を含めて完全にケアされていた。対する鹿島も、両サイドを含めたプッシュアップが遅れる中で両FWが前線で孤立。唯一の3年生であるリベロの川嶋正之を中心に守る浦和の3バックを突破することはできていなかった。前半、鹿島の決定機と呼べるシーンはセットプレー以外では皆無。浦和も19分にエスクデロが一瞬の隙を突いてマークを外したシーンを除くと、ほとんどチャンスらしいチャンスは作れていなかった。前半のシュート数は鹿島3本に対して、浦和2本。数字が象徴する通りの試合内容であり、「互角」の戦い。しかし、それは鹿島の狙いに沿った「互角」だった。
後半に入っても試合の流れに大きな変化はない。両チームともに守備陣が集中を切らすシーンが散見されるようになり、何度かチャンスは生まれたが、それが実際に得点という形に結びつく瞬間はなかなか訪れなかった。ようやく試合に「変化」が生まれたのは後半22分のことである。鹿島CB後藤のミスからFW鈴木竜基(1年)が敵陣でボールをインターセプト。もう1人のFWである沢口泉(3年)へ絶妙のパスが通る。沢口が利き足でない右足から放たれたシュートはGK杉原一貴(3年)の手をかすめて、ゴールの枠を外れた。浦和にとってこの試合の最大の決定機。膠着した試合が崩れるのは往々にして守備陣のミスか、セットプレーだが、この日がまさにそうだった。このシーンで奪ったコーナーキックをMF萩尾勇真(2年)がセット。右足から放たれたボールに185cmのDF野島康宏(2年)がヘディングで合わせて、ゴールネットを揺らす。浦和が待ちに待った先制点を獲得した。
しかし、この失点に鹿島は慌てなかった。メンタル面の強さを感じさせる今年の鹿島だが、この日も全盛期のトップチームを思わせる勝負強さを発揮。後半31分、「取られるとしたらセットプレーだと思っていた」という浦和・村松監督(代行)の危惧通りに郡司のコーナーキックから後藤がヘッドで決めて、鹿島が追いつく。それまで守備面で活躍の目立った郡司が、普段は蹴らないコーナーキックを蹴ったことで生まれた見事なゴールだった。後半38分に浦和側がこれまたセットプレーから得た決定機も、ゴールライン上での山本の奇跡的なクリアに救われ、そのまま試合終了。決着はPK戦へと委ねられることになった。浦和の1番手・川嶋のシュートは横っ飛びしたGK杉原に防がれる。以降の9人はすべてキックを成功させ、5-4で終了。粘り強さと勝負強さを発揮した、巧者・鹿島が浦和を下し、6年ぶりとなる決勝の舞台へ駒を進めた。
【準決勝第二試合】サンフレッチェ広島ユース vs ヴェルディユース
2004年12月23日(木・祝)13:30 Kick Off/長居第二陸上競技場
広 島 2-0 東京V
■得点者:7分平繁龍一(広島)、51分森脇良太(広島)
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「三冠」を狙う王者・広島に対したのは名門東京V。10月の高円宮杯では0-6の記録的な大敗を喫してしまっただけに、東京Vのこの試合に賭ける意気込みは強かった。不動の11人が4-3-3のフォーメーションを組む広島に対して、この大会を最後にJ2仙台の監督へ就任することが決まっている都並敏史監督は策を凝らしてきた。
「都並監督も『魂』のある方なので」と広島・森山佳郎監督が振り返ったように、東京V側のこの試合に対する意気込みは強かった。「よく研究されていた」ことはエース前田俊介に対する徹底した応対でも明らかだった。「1枚抜いても、もう1枚」と森山監督が形容した多重の守りでこの稀代のファンタジスタに対抗する。コンパクトな布陣で選手間の距離を保ち、ドリブルのスペースを与えない。ある程度狙い通りの守りができていただけに、余計だったのは開始7分で喫した失点だった。左DF大屋翼(3年)のスローインを受けた木原正和(2年)がファーサイドへ放り込む。全体のゾーンが右へと寄り過ぎていた東京Vは待ち受けていた平繁龍一(1年)を完全にフリーにしてしまっていた。ヘディングシュートがゴールを揺らし、広島が先制する。前半、広島の決定機はセットプレー以外ではほとんどなく、それだけに大きな悔いの残る守備のミスだった。
後半も試合が動いたのは開始早々だった。「広島相手なのでスーパーサブとなれる選手が欲しかった」(都並監督)ことから温存していたU-17日本代表MFの弦巻健人(2年)をハーフタイムに投入。勝負に出た東京Vだったが、またしても余計な失点でその狙いは阻まれてしまう。後半6分、大屋が左サイドから放り込んだFKにDF森脇良太(3年)がヘディングで合わせる。この一撃がゴールネットを揺らしたことで勝敗はほぼ決した。東京Vは守備面で健闘が目立ったものの、くさびのパスが入らず攻撃面ではほとんど機能しておらず、2点のビハインドを跳ね返すだけの力はなかった。
試合を通して東京Vが記録したシュートはわずかに3本。何とか同点に追いつこうとFWエルサムニー・オサマ(1年)ら攻撃的な選手を次々と投入した時間帯では、失点にこそ至らなかったものの、逆に次々と決定機を作られてしまった。広島の守備は前線から中盤も見事に機能していたが、DF藤井大輔(3年)を中心とした最終ラインもまた見事だった。数少ない決定機もGK佐藤昭大(3年)がファインセーブでしのぎ、無失点で試合終了。「三冠」を狙う王者・広島が磐石の試合運びで名門東京Vを下し、連覇へ王手をかけた。
以上
2004.12.24 Reported by 川端暁彦
J’s GOALニュース
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