5月4日(水) 2005 J2リーグ戦 第10節
仙台 0 - 1 山形 (16:04/仙台/19,128人)
得点者:'65 秋葉勝(山形)
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昨年の第42節、仙台スタジアムで行われた仙台vs山形の試合を覚えているだろうか。山形にとっては、単なる「みちのくダービー」以上の重さを抱えた試合だった。プレーオフ枠となる3位を賭けて、福岡と壮絶なデッドヒートを繰り広げていた山形にとっては、既に昇格が無くなっていた仙台からしっかりと勝ち3をもぎ取る必要があった。
しかし1点のビハインドで迎えた後半38分、山形はパスミスから仙台にボールを渡すと、そこからカウンターを受ける。そしてゴール正面25メートルからワンフェイクの後に放たれたシルビーニョのミドルシュートを浴び、致命的な2点目を奪われたのである。
この時パスをミスした張本人であり、さらにフェイントに引っかかりシュートを許した選手こそ、山形の背番号19番、秋葉勝だった。当時の彼は途中投入で試合の流れに乗られなかったどころか、自らのミスが招いた仙台のカウンターという激流をせき止めることも出来なかった。この敗戦で山形は4位に転落、そして最後まで、3位の座を奪い返すことは叶わなかった。秋葉の苦悩、想像は容易である。
今日、今季最初のみちのくダービー。秋葉は左サイドMFとして、今季初めてのスタメン出場を飾った。天候にも恵まれ、観衆はほぼ満員の19,128人。あの日の緊張が、蘇る。
そのせいか序盤は、試合後に鈴木監督が指摘したとおり秋葉に固さが見られたこともあり、山形の左サイド、つまり仙台の右サイドが良い循環を見せた。右サイドに並ぶ清水と森川のコンビが、前節同様に素晴らしい連係を見せ、メインスタンド側の仙台サポーターを沸かせる。
しかし山形にもつけ入る隙はあった。やはり前からボールを奪いに来る仙台は、サイドにスペースを空けることもしばしば。そこを右サイドの佐々木がたびたび狙う。前半だけで見たらシュート数は共に3本、内容としても拮抗し、緊張感を保ちながら試合はハーフタイムを迎えた。
後半も、両監督共に相手の出方を伺ってか、選手交代などで積極的に動くことをしなかったため、膠着が続く。
神経戦の様相を呈し始めた後半20分だった。中盤の底で持ちすぎた千葉から、チェックに来たチッコが強引にボールを奪う。ファールを疑った仙台の選手の足が止まった一瞬のうちに、山形は素早く左サイドへ展開。本橋から左45度でボールを受けたのが、秋葉だった。秋葉は二人のマーカーに囲まれながらも中央方向へ割って入ると、相手が寄せきらないうちに強引にシュート。変則的なタイミングで放たれたグラウンダーのシュートが、逆にGK高桑を欺く結果となり、山形サポーター側のゴールネットが揺れる。
残り時間は25分。そこからは一気にゲームが加速し、山形、仙台共に、矢継ぎ早に交代カードを切っていく。そして仙台・都並監督は残り8分で、三人目として大久保を投入。同時に富澤を最前線に上げ、その後方に大柴と大久保を配置。DFラインは残るDFで3バックとするスクランブル体制にシフトするも、山形・鈴木監督はその5分後、FW原を下げてCBのレオナルドを投入。富澤の高さを潰すという采配で仙台の反撃に冷静に対応する。その結果、4分半という長いロスタイムを経ても、スコアがこれ以上動くことは無かった。
0-1。ちょうど半年前、同じ場所で屈辱を味わった男が大きな仕事を成し遂げた一戦であった。
仙台のシュートは12に対し、山形は6。しかし、再三のピンチを防いだGK桜井の神懸り的なプレーも含め、通常の実力やその時の調子が何も意味を持たないところに、ダービーが特別視される由縁がある。
前回のシルビーニョのゴールが、仙台サポーターの記憶にいつまでの残る美しいものだとすれば、その要因を作ってしまった「影」の存在だった秋葉が、今度は山形サポーターにとってのヒーローとしてその名を刻んだ。巡り巡る因縁と感情、こうしてダービーの歴史は続いていく。
次回の対決は会場を山形のホームに移しての、6月25日第18節。その時両クラブがどういう局面を迎えていようとも、この対決の熱さは変わらない。
以上
2005.05.04 Reported by 佐々木聡
J’s GOALニュース
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