5月21日(土) 2005 J2リーグ戦 第13節
草津 0 - 3 京都 (14:04/群馬サ/3,287人)
得点者:'35 アレモン(京都)、'89 田原豊(京都)、'89 リカルド(京都)
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最終的には3−0というスコアになったが、終了間際の京都の2点は草津がリスクを負って攻撃に出た結果でもあり、「1−0」で終わってもおかしくないゲームだった。首位・京都は3点差をつけて一応のカタチはつけたし、最下位・草津も終盤まで1失点で粘り奮闘はした。だが、全体としては何か物足りなさを覚えた内容だった。
前節から3バックに変更し、「アクションサッカーからリアクションサッカーに方向転換」(手塚監督)を図った草津は、京都のサイド攻撃を封じるために、3−4−3のシステムを採用。京都の両サイドバックの攻撃参加を警戒して、左右にFWを張らせた。対する京都は、出場停止処分が解けたアレモンと、パウリーニョのコンビが4試合ぶりに復活。強力2トップへのフィードと、サイド攻撃でゲームを組み立てにかかる。
前回の対戦でブラジル人コンビに痛い目に合わされた草津は、籾谷がアレモンを、小川がパウリーニョをマンマーク。特に、籾谷はアレモンとの制空権争いにおいて「高さ」を発揮、このターゲットへのフィードをことごとく弾き返した。また、草津の弱点とされたサイドのカバーも、改善が見られた。特に、京都の左サイドに対しては、右ハーフの山崎とボランチ・鳥居塚の連携が取れ、危機的な状況になる前にそのスペースを埋めた。「草津のサイドハーフが引き気味だったので、思うように攻撃ができなかった」(美尾)。京都は攻め手を失いかけていた。
試合の流れを大きく変えるスーパーなゴールが決まったのは、草津がリズムを掴みかけた35分。京都は、草津の判断ミスから中盤で奪ったボールを右SBの鈴木がセンタリング。左サイドを駆け上がった斉藤がふわりと折り返したボールはゴール前で一度バウンドし、アレモンの胸元へ。アレモンが、後ろに下がりつつも投げ出した右足で捕らえた鮮やか、且つ、アクロバティックなボレーシュートは、そのままゴールへと吸い込まれた。スタジアムは一瞬にして静まり返った。「完全にやられた。うちのチームにはない武器。あれさえなければ分からなかった」と籾谷は悔んだ。
草津は後半、1点を追って、がむしゃらな姿勢を見せ始める。しかし、決して出来が良いとはいえない京都に対して、持ち前の運動量を活かした攻撃が繰り出せない。「最後まであきらめずに攻めたが、ゴールへの予感はなかった」と小島が嘆くように、京都のゴールは程遠かった。草津は、酒井、堺など攻撃的な選手を投入したが、タイミング、ポジションに違和感があり、決して効果的とは言えなかった。「速い攻撃を意識する余り、あせって前に蹴るばかりになってしまった」(山崎)。3バックに変更して守備面は安定してきているものの、攻撃に関してはコンビネーションが悪く、一度リセットされてしまったようだ。サポーターは、前節・横浜FC戦のような土壇場の同点劇を期待したが、奇跡は2度続けて起こらなかった。
勝ち点3を手にした京都だが、ここ3試合のゲームを見る限り、絶対的な強さを誇示しているわけではない。次節からの、湘南、山形、福岡の上位陣との3連戦が、京都の力が本物かどうかを判断する格好の舞台となる。京都の独走を許すか、阻むか、今季のJ2の山場とも言える。
この日の結果で京都は勝ち点32。一方の草津はJ2唯一の一ケタ台の勝ち点5で最下位。その差は27。物足りなさを感じた要因は、両チームの「出来」以外に、今日のゲームからは、この大きな差の理由をハッキリとは感じ取れなかったことだ。京都が力で草津を圧倒してくれれば、逆にすっきりとしたかもしれない。首位と最下位の差が、アレモンという最終兵器の「飛び道具」だけだとしたら、なにか虚しく思えてくる。
2005.05.21 Reported by 伊藤寿学
J’s GOALニュース
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