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【J2:第13節 湘南 vs 札幌 レポート】勝利はあくまでゴールの数。少ないチャンスをものにした札幌が湘南を制す。(05.05.21)

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5月21日(土) 2005 J2リーグ戦 第13節
湘南 0 - 3 札幌 (14:00/平塚/5,220人)
得点者:'15 上里一将(札幌)、'37 相川進也(札幌)、'71 田畑昭宏(札幌)
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 その瞬間、彼は自分の目を疑った。パスカットから素早く切り替えて攻めてきたとはいえ、ディフェンスの人数は揃っていた。だが飛び出してボールを受けた選手には味方の誰ひとり、マークについていなかった。何故だろうと思う間もなく左足が振り抜かれ、ボールは引いて守っていた守備陣の間隙を縫ってゴール右隅、すなわち彼の左側に突き刺さった。

「コーチングしてるんだけど、どうしてもマークがずれるんです」湘南GK小林弘記が首を傾げるのは前半15分、札幌の先制の場面である。湘南のパスをカットして前線へ繋ぎ、最後はFW相川進也が送ったパスを上里一将が決めた。
 守備の問題はその後も続く。タッチラインを割ったリスタートから、右サイドの徐が大きく逆サイドへクロスを放る。ゴールライン際でボールに追いついた中山元気は、マークが離れたところをすかさず折り返し、中央に詰めた相川がボレーシュートを見舞った。37分、クロスバーを叩いてゴールへ吸い込まれた札幌の追加点である。

「前半は悪くなかった」と佐野裕哉が振り返ったように、湘南は立ち上がりから積極的に仕掛けた。徳島戦の後半に見せた佐野と鈴木良和によるコンビネーションなど、右サイドを中心に、ときには左サイドでつくりつつ手薄となった右へ展開するなど、攻めていく。8分にはインサイドに切れ込む鈴木のドリブルから、流れて相手DFを振り切った加藤望がシュートを放ち、ゴールネットも揺らした。無情にもラインズマンの旗が上がりゴールこそならなかったが、先制弾が幻と消えても集中力を切らすことなく、敵陣へ押し寄せた。
 ただ札幌の切り替えも、攻守にわたり速かった。マイボールとなったときにパスを送る場所が見当たらない。最終ラインに戻し、攻め手を失ったところで縦へのロングボールに頼るシーンが、幾度か湘南には見られた。

 後半に入り反撃に転じたい湘南だったが、立ち上がりに主導権を握ったのは札幌だった。前半と同じようにトップ下の砂川誠と上里がパスワークの肝となり、サイドチェンジや前線へのスルーパスなど緩急の手綱を操作する。5分過ぎにはショートコーナーから砂川、そして上里へ繋ぎ、その上里がゴールポスト直撃弾も放っている。湘南も後半から池田昌広を左サイドハーフに起用し、また鈴木に代え高田保則を投入、ディフェンスを3枚にして追撃を目論んだが、負の連鎖を断ち切ることはできない。逆に後半26分、札幌は奪ったPKを田畑昭宏が沈め、湘南の息の根を止めた。

 アウェイに乗り込み、しかも3-0という大勝にも、指揮官は頬を緩めない。「今シーズン最悪の試合。月曜から厳しいトレーニングをまた始めます」柳下監督は、ともすれば生まれそうな気の緩みをあらかじめ排除するかのように、厳しい口調を崩さなかった。一方の上田監督は、「メンタル面だけでなく技術面、戦術面でも問題があると思います。分析してつぎに繋げたい」と、口惜しさを噛み締めた。

 3失点を喫した小林は言う。「自分たちのミスからすべて始まっています。たとえばペナルティエリアにいる相手から絶対に離れないなど、もっと気持ちを強くもってプレーしないといけない。課題はたくさんあります」
 1週間後にはもう次の対戦が待っている。すぐに修正するのは厳しいかもしれない。ただし、目前に迫っている次節に向け、すぐに顔を上げなければならないのも事実である。「落ち込んでいる場合じゃない」小林の最後の台詞が、チームの気持ちを代弁していた。

2005.05.21 Reported by 隈元大吾
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