5月28日（土） 2005 ヤマザキナビスコカップ 第4節
Ｇ大阪 3 - 2 川崎Ｆ　（14:00／万博／5,391人）
得点者：'0 黒津勝（川崎Ｆ）、'7 アラウージョ（Ｇ大阪）、'41 フェルナンジーニョ（Ｇ大阪）、'49 中村憲剛（川崎Ｆ）、'89 前田雅文（Ｇ大阪）
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　ナビスコカップ第2戦、J1リーグ第3節がそうであったように、明暗を分けるドラマはまたしてもロスタイムに起きた。

　ガンバ大阪にとってはキックオフから1点のビハインドを負ってスタートしたようなもの。開始から0分、オフサイドにも見えた川崎FW黒津のゴールが認められ、ファーストプレーで先制されてしまったのだから。それでも、その7分後。すぐに追いつくあたりに今のG大阪の攻撃陣の好調ぶりが伺えると言っていいだろう。FWフェルナンジーニョが中央から左に出したスルーパスにMFアラウージョが反応。右足で落ち着いてゴールに流し込み、G大阪が試合をふりだしに戻す。

　以後は一進一退の展開。互いが攻守にバランスをとりながら、機を見て前線にボールを運び、ゴールを目指すという時間帯が続く。G大阪はアラウージョ、FW吉原、フェルナンジーニョが前線を駆け回り、ボールを動かしながらゴールを目指そうとするが、27.1度という蒸し暑さに邪魔をされたか、あるいは、個々がボールを持ち過ぎるせいか、いつものガンバらしいキレのある突破が見られず。ゴール前まで運んでは、相手の守備に捕まり、なかなかフィニッシュを打たせてもらえず。川崎もカウンターによる前線への飛び出しから相手のファウルを誘い、ペナルティ付近でFKのチャンスを幾度か得たり、サイドから崩してクロスボールを前線に入れるなどして、ゴールチャンスこそ作り出すものの、ゴールネットを揺らすことはできない。

　だが、両者共にこれと言った決定機を見出せぬまま前半を折り返すかと思われた41分、G大阪によって試合が動く。アラウージョの突破を止めようと川崎DF陣がたまらずファウルを犯したことで、G大阪がゴール前中央、20メートルくらいの位置でFKのチャンス。これをフェルナンジーニョが右足で豪快に蹴り込み逆転弾を叩き込む。ゴールが決まった瞬間、一目散に西野監督のもとに駆け寄り「俺がいる！」といわんばかりに胸を叩いて喜びを露わにしたフェルナンジーニョ。これにより、前半終了間際に貴重な追加点を得たG大阪が2−1と優位に立って前半を折り返す。

　1点を追う川崎にとって、1分、1秒でも早く相手に追いつくことで、再び試合をふりだしに戻すことがまずもっての使命となった後半。だからこそ、G大阪は立ち上がりの入り方に十分注意を払わなければいけないはずだったが、49分、FWジュニーニョから出されたパスに反応したMF中村に思い切りのよいミドルシュートを決められ、2−2。前半とは逆の形で川崎が追いつき、再び試合をふりだしに戻す。

　それを受け、G大阪は57分、右サイドのMF渡辺に代えて、MF前田を投入。対する川崎も65分、FW黒津に代えてFWフッキを投入。共にフレッシュな顔ぶれを前線に置き、点を取りにいこうとする姿勢を示す中、69分、そのフッキがゴール前中央からシュートを放つも、G大阪のGK松代の好セーブに阻まれゴールならず。その直後のMF長橋のシュートも再び、ゴールマウスに立ちはだかる松代に弾き出される。対するG大阪は71分、フェルナンジーニョに代えてDF青木を投入。「マンマークはとったことがないし、自分としては不本意な戦術だったが、青木を投入して、そのメッセージを選手に送ることで、逆に吉原、前田のシンプルな動きを引き出したかった（西野監督）」という言葉にもあるように、西野采配にしては珍しく、青木を川崎の前線のターゲットとなっていたジュニーニョにマンマーク。いつものガンバならより前がかりになるところを、敢えて、守備への意識を高めながらゴールを目指すが、なかなか好機を見出せず。時計の針は80分を過ぎ、残り時間が10分をきる。

　その10分も過ぎ、残り2分と表示されたロスタイムも終わりに近づいた頃。西野采配がズバリ的中する。途中出場以降、再三にわたりカウンターから好機を見い出そうと、裏を突いたり、中へ切れたりと、走り回っていた前田がMF二川の縦への浮き球に素早く反応。絶妙のタイミングで前線に詰め寄り、右足を伸ばしてゴール！　『10000ゴール男』の異名を持つ男が、またしてもドラマチックに逆転ゴールを決めたのだ。結局、これがラストプレーとなり、3−2で試合終了。J1リーグ第3節に続き、またしてもロスタイムで川崎を突き放したG大阪が予選Bグループ首位の座を守る、貴重な勝点3を手に入れた。

2005.05.28 Reported by 高村美砂

以上