6月4日(土)J2 第15節 仙台 vs 札幌(14:00KICK OFF/仙台)
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意気込みを持って望んだはずの九州2連戦で連敗。仙台サポーターの落胆は小さくない。
ただ、その落胆の主たる要因は、勝ち点6が消失した数字上の問題というより、特に福岡戦の前半に現れた壊滅的とも言える内容による。中でも問題なのは中盤。福岡戦ではトップ下に入った大柴も、前半途中にダブルボランチへとシフトチェンジするまでは、都並監督が期待していた「前への飛び出し」というより、守備のフォローのために戻ることに終始させられていた。
3試合ぶりにホーム、仙台スタジアムに戻ってくる仙台にとって、中盤の建て直しは急務。そこで仙台は今週、ダイヤモンド型の基本は変わらないものの、人員に変化を持たせた2つの策を試した。
1つは前節のスタメンを基調に、右サイドに財前ではなく熊谷を入れるケース。前節から復帰した熊谷は、もともと中盤でも守備的な役割を得意としている上に、球際での激しさも問題ない。前節終了後に仙台の選手たちが自ら口にしていた「精神面の課題」とは無縁とも呼べる選手だ。慎重に試合に入るのであれば、この布陣が有効だろう。
もう1つは、仙台サポーターが復帰を心待ちにしていたシルビーニョをトップ下に置き、スライドする形で大柴が右サイドへと移るという形。キープ力のある彼が前線近くでボールを持つことで、前からのプレスという札幌の意図そのものを無力化しようという試みだ。しかし当のシルビーニョ、反転や切り替えしなどの動作を見る感じではまだ身体の重さ残っていて、やはり起用は試合途中になりそうである。
さて、この仙台が苦しんでいた5月の後半、一方の札幌は3連勝を記録している。J2再降格から今年で3年目。それ以来、最も良い時期を過ごしていると言えるだろう。
こちらは仙台と対照的に、中盤の形が定まったことが結果に結びついている。前から積極的にプレスをかけ、奪った後は手数をかけずにサイドへ展開、素早いクロスからゴール前で勝負するというスタイルこそ、柳下監督が就任した昨年から変わらないが、今年は一味違う迫力を感じる。いや、昨年もツボにはまった試合(そしてそれはなぜか仙台戦が多かったのだが…)では、チームの目指すこうした意図がはっきりと見える時間帯があった。その「理想の時間帯」を増加、あるいは継続するための細かな部分が熟成されてきた…そう表現するほうが適当だろう。ワンボランチ気味の布陣もまた、このやり方で2年目を迎えたチームが見つけたひとつの答えといえる。
ところで、観戦が少し面白くなるかもしれない見どころを。札幌の左サイドには、ウイングバックとしてJ2屈指の攻撃力を持った韋駄天、和波がいる。迎え撃つ仙台の右サイドでは、彼を想定した人選も求められていた。
中盤の組み合わせでも、右サイドは懸案の一つだったが、サイド全体で考えれば右サイドバックもまた、ひとつ思案のしどころであった。前節後半から登場し、ショートパスの交換に参加できることで組み立ての一翼を担うことが出来た富田だけでなく、シルビーニョ登場時も想定して熊谷を右サイドバックに下げるというオプションも、今週の仙台は試していた。
だが木曜日の時点で、右サイドバックには森川が入っている。前節は攻守に中途半端なプレーが目立ち、前半のみの出場となってしまったが、なるほど、彼の俊足ならば和波にも太刀打ち可能だ。
札幌の持ち味である熟成の進む中盤と左サイドは、一方で仙台にとっては絶賛工事中の部分。「工期」は6月4日だが、果たして間に合うのか? それが今週末の一戦を大きく左右するだろう。
以上
2005.06.02 Reported by 佐々木聡
J’s GOALニュース
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