起伏なく、平地が続くオランダ。アムステルダム中央駅から鉄道で約2時間半、肥沃な大地には牧場がどこまでもひろがり、緑と水のゆたかな土地が続く。色彩としては緑、その上に白黒のホルスタインが点在、間隔をおいて赤、青、黄とカラフルでセンスのよいかわいらしい駅が続く。そんな景色を眺めているうちに終点の街・ヘーレンにたどり着く。そこは既にドイツとの国境にほど近く、オランダらしい平面から山がちな景色に変わりはじめている。
そのヘーレンで、FIFAワールドユース選手権に向けて直前キャンプを張るU-20日本代表。6月3日に現地入りして5日目の7日、ワールドユースでの初戦となる10日の3日前、最後の紅白戦が行われたた。
2日に成田市内に集合、3日にオランダ入り。ここまで、U-20日本代表は既に様々な『事件』を乗り越えてたどり着いた。
まず3日。出発直前に高柳一誠(広島)が急性肝炎で大会を辞退することが決定。オランダ、オーストラリアが3トップで試合に臨むであろうという情報のもと、4バックを試してきた日本代表にとって、左サイドバック、ボランチの両方をこなせる高柳の離脱は誤算だった。「チームとして誤算であるというのもあるが、本人がかわいそう」と、大熊監督は高柳を思いやった。
オランダに到着した3日、アムステルダム・スキポール空港には定刻に着くものの、最初のキャンプ地バールスまでの移動で大渋滞に巻き込まれ、予定外の3時間以上もかかるはめに。バスでの移動中、『爆睡』していた選手たちは、到着直後に約30分ランニングを行い、その後夕食、そしてすぐさま眠りについた。しかし、それでも20人中8人は時差ぼけで夜中に目を覚ましたという(監督談)。
4日、高柳に代わり『敗者復活』でU-20日本代表入りした柳楽智和(福岡)が合流。「新潟で落とされた時はショックだった。それまでは落ちるかなあと思ってたけど、前日の紅白戦でビブス組に入ったので」とメンバー発表を振り返った。「それでもひきずらないで福岡で頑張ろうと思っていた」そうだ。再招集を知ったのは3日の朝8時半。クラブ職員から携帯電話に連絡が入った。「電話が来て『お前行くことになったから、でもアビスパの練習に出てから行ってね』って言われて、午前練習して、午後移動して4日の飛行機に乗りました」。チームに遅れること丸24時間、強行スケジュールで合流した彼を、福岡でも一緒の中村をはじめとするU-20日本代表のチームメイトたちはサポーターさながらの「ナギラ!」コールで迎えた。
4日、5日、はフィジカル系をメインとする2部練習。
5日は「もうあげられるのは(体力を追い込むことができるのは)最後だからな」と監督の檄が飛び、コート全面を使ったサーキットトレーニング(新潟合宿時と同様の)にも、これまでにない集中で臨んだ。1周を終えて心拍数が120まで戻ったところで次の周回へ向かうこのトレーニング。身体能力、体調、回復力の差が如実にでる。トップで走るのは、伊野波雅彦(阪南大)、水野晃樹(千葉)、そして兵藤慎剛(早稲田大)が続いた。
これまでスーパーサブとして起用されてきた水野が猛烈に先発出場へアピールする。そして、これまでに比べ向上しているのが森本貴幸(東京V)。もともと東京Vでは走りをメインにするトレーニングがあまり多くなく、本人も瞬発力を持ち味とするため持久力系のトレーニングを苦手としてきた。が、これまでのように最後尾につけることはなく、伸び盛りの17歳であることを再認識させられた。
6日からは、本番直前モード。
もう体を追い込むことはせず、練習も午前午後の2部練習から1日1回に切り替わった。そしてこの日、アウェイの洗礼ともいうべきハプニンブが起こる。ホテルを出発時間になってもバスが来なかったのだ。結局約1時間待った末、しびれをきらしてタクシー6台に分乗。
「日本じゃありえない!」と怒りぎみの指揮官。しかし、頼もしかったのは選手たち。「いやー、別に普通ッスよ、日本じゃないんだし」と増嶋竜也(F東京)。若いためか、海外経験が少なくないためか、「案外、動じないのだな」とこちらが驚かされたシーンだった。
しかし不思議なのは、なぜバスがこなかったか? その答えは、運転手が道中でお茶をしており、さらにその後に携帯電話がつながらなくなったからだという。本当に日本では信じられないハプニングだった。
練習はセットプレーの際のゴール前での相手のつかみ方などを確認した後、フォーメーション練習を行った。4-3-3で来る攻撃的なオランダの中盤を、ボランチとサイドバックとで追い込む。追い込んでも出されるボールのケアを、もう一枚のボランチが戻って行うことを入念に確認した。
7日は現地直前キャンプで、最初で最後の紅白戦。キックオフ時間も初戦に合わせて、本番と同じシチュエーションで行われる。次回レポートは、その紅白戦の様子をお届けします。
以上
2005.06.07 Reported by 了戒美子
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