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【2006FIFAワールドカップドイツ大会 アジア地区最終予選 日本代表 vs 北朝鮮代表:レポート】ジーコ采配的中。2点に絡む大黒の働きで日本代表がW杯本大会への出場権を獲得!(05.06.09)

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2006FIFAワールドカップドイツ大会 アジア地区最終予選
6月8日(水)19:35キックオフ(日本時間)
北朝鮮代表 0 - 2 日本代表
得点者:柳沢敦(後半28分)、大黒将志(後半44分)
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 大黒将志という選手は、日本人には珍しく積極的に責任を背負っていくタフさを持っている。

 パスで逃げられる場面でも、臆することなくシュートを選択。その選択が結果に結びつくのは、左右の強烈なシュートを持っていたからだ。練習での彼のシュートは、その力強さではチーム一だった。

 そうした基本的な能力に加えて、彼は気持ちの面でも常に向上心を忘れなかった。大黒はいつも「もっと点が取れた」と繰り返し、だから「もっと練習したい」とコメントを締めくくった。出場機会についても「それは監督の仕事。出してもらえたときに備えて常に準備しておく」と決して腐る事はなかった。

 そのゴールへのメンタリティは、ポジショニングにも端的に表れていた。常にピッチ中央の最前列に位置し、マークに入る相手選手と、ボールを保持する味方選手の位置関係を確認しつつ、裏を狙い続けた。相手の最終ラインにとっては本当にいやらしく、やっかいな選手に思えることだろう。ただ、点を取るためには相手ゴールに最も近いところにいるべきだという基本を考えれば、最も合理的な位置取りだとも言える。

 大黒が持つ数々の良さが生きたのが柳沢敦の先制ゴールの場面だった。後半28分の事だった。

 そもそもFIFAによる北朝鮮への制裁によって無観客で行われた試合は、どことなく淡々と流れるように進んでいった。ピンチやチャンス時の、スタンドを揺るがすような盛り上がりがなく、緊張感に欠けるような印象を受けた。このままズルズル行くのかとも思われたハーフタイムにジーコ監督が手を打つ。

「アップが始まった時に『後半から行くかもしれんから』と言われて、前半の途中から自分なりに固まらないようにストレッチとかしていたし、いい準備はできていたのでちゃんと準備してて良かったなと思いました」と大黒はその状況を振り返る。クサビを受けてポイントにはなっていたが、柳沢とのコンビという部分では十分に機能していたとは言い難い鈴木隆行からの交代だった。

 後半から実現した柳沢、大黒の2トップに関しては、5月31日にバーレーンのマナマで行われた紅白戦が思い出される。柳沢という稀代のパサー、と言うと語弊があるが、常に回りを意識できるFWの柳沢と大黒のコンビは、彼らお互いの良さを引き出し合う効果があるのだろう。31日の紅白戦では、先発組を相手に押し気味ですらある試合を見せた。その時のイメージがジーコ監督に残っていたのかもしれない。そして45分ものチャンスを与えた指揮官の采配はぴったりと決まった。

 投入直後からチャンスを作り続けたこの2トップコンビの努力は、後半28分に結実した。日本ボールのFKの場面で、小笠原満男が稲本潤一に軽くボールを出すと大きくゴール前へフィードする。

「1点目はぼくが裏に飛び出して、そしたらDFもついてきてクリアした。(そのこぼれ球が)うまいこと(柳沢への)落としみたいな形になった。それが1点になったのは良かったと思う」(大黒)

 大黒が常に見せてきた、前に出て行く気持ちが呼び込んだ先制ゴールだった。

 1点を失った北朝鮮は、31分に10番のホン・ヨンジュから、18番キム・ソンチョルへとつないで強烈なミドルを見せてきた。枠をとらえた強烈な一発で肝を冷やされたが、それ以外の場面では怖さはなかった。力の差は歴然で、日本の選手たちは北朝鮮選手たちの元気のなさを感じていた。

 そんな試合展開において、その後も大黒が持ち味を発揮し続けた。後半34分、36分と微妙なタイミングの飛び出しがオフサイドの判定にあい、43分には速攻で作った1対1のシュートをGKにはじき出された。その直後にはショートコーナーからのクロスを頭で合わせるが枠をとらえきれない。

 試合終盤になるにつれてラフなプレーが目立ってきた北朝鮮は、まだ同点ゴールを諦めていないように感じられた。前回の埼玉での対戦でもそうだったように、北朝鮮は侮ることのできない決定力を持っている。もう一点取れれば、という思いがボールキープを奪い返したいという焦りとなり、それがラフプレーにつながったのだろう。

 試合は完全に支配していたが、1点のリードでは心許ない状況が続く日本代表が勝利を確実にしたのが44分のことだった。

 田中誠が判断良く北朝鮮ボールへアタックを仕掛け、ボールを奪う。前に一人で残っていたのは大黒。北朝鮮のディフェンスのギャップを利用してオフサイドをかいくぐり、相手ゴールへ向かって独走をはじめる。

「その前に2発くらいチャンスあったんですが、それを入れられなかったので次は絶対にいれなアカンと思っていた。前のチャンスでは力が入りすぎていたからちょっと力を抜いて冷静に。そこでGKが出てきたのでドリブルでかわしてね、あとは入れるだけでした」

 勝負ありの2点目。「自然となんか勝手にベンチに走ってました」というゴールパフォーマンスは、試合に出られない選手への気持ちの表れでもあった。

「出られない選手もいるわけで、伸二さん(小野)もケガしたりとか、後はベンチにも入れない選手もいるわけで、そこで出してもらったわけやから、そこで結果を出さないとダメやと思うし、その中で結果を出せてすごく良かったと思います」

 ロスタイムが1分経過して試合が終了した瞬間、ベンチにいた控え選手たちから大きな声援が沸き上がった。勝ってW杯出場を決めた格別の喜びが彼らを揺り動かした。「ジーコファミリー」が苦しんだ末にようやくW杯ドイツ大会へのチケットを手にした。

2005.06.09 Reported by 江藤高志
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