6月12日(日) 2005 J2リーグ戦 第16節
水戸 1 - 2 山形 (14:04/笠松/2,936人)
得点者:'4 内山俊彦(山形)、'21 本橋卓巳(山形)、'60 森田真吾(水戸)
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今日の笠松は晴れ。心配された雨に降られることもなく、梅雨前線は熱気と湿気をピッチに運んできた。気温は26度を超え、水気を含んだピッチ上は息苦しささえも感じさせるものだったろう。ピッチの状況もお世辞にも良いとは言えず、一部はげあがった部分に応急処置的に色の違う芝生がかぶせられているようなものだった。現に、30cm四方の芝生を水戸GK本間が主審に促されて元通りにおさめる一幕も見られたほどだ。
その悪コンディションにすばやく適応しペースを引き込んだのは、アウェイの山形だった。開始早々から山形は「ピッチコンディションも悪いのでロングボールで組み立てた(山形・鈴木監督)」という狙い通りロングボールでペースをつかむ。ディフェンスラインの背後のスペースをついたボールに対し、水戸DF須田がたまらずファウル。そのFKを山形・内山が押し込んで前半4分に早々と先行し、ゲームのイニシアティブは山形が握った。
ここで注目しなければいけないのは、山形は単にロングボールで敵陣深く押し込んでいたのではなく、一定の約束事を忠実に守りながら、水戸のディフェンス陣の崩壊を誘ったという点。前線に張った3人のうち2人は、絶妙なタイミングで水戸のワンボランチ栗田の周辺に引いてくる。それと呼応するように2列目からサイドの選手が飛び出し、最前線で1人残ったFWがその飛び出したサイドの選手と2トップのような形になるというものだ。こうすることによって、ロングボールを入れた後、セカンドボールを拾うこともできるし、キープした前線やサイドの選手を孤立させることもない。
21分の山形・本橋による追加点は、このような攻撃の繰り返しがじわじわと水戸に効いてきて、ゴール前のど真ん中を、フリーに空けてしまう結果を招いてのものだった。さらに付け加えるのならば、この日の水戸は、『今季最悪のゲームの入り方』と言っても過言ではないほど、選手の連動性、集中力、積極性と確実性、全てにおいて良くなかった。「いつもとぜんぜん違って集中できていなかった。みんなの動きがバラバラだった。(水戸・吉本)」という内容だった。
2失点後、前田監督はワンボランチの栗田に替えてFWの磯山を投入。「2トップにして点を取りにいった。リスクが大きくなるのは仕方ない。(水戸・前田監督)」ということだったが、この交代により水戸は徐々にペースをつかんでいく。磯山が入ることによって前線でタメをつくることができ、敵陣深いところでゲームをすることが可能になった。それにより水戸ディフェンス陣も山形の攻撃に落ち着いた対応ができるようになり、森田が投入された後半はイニシアティブを完全に取り返すこととなった。
後半15分に生まれた水戸の得点は、相手のカウンターをしのぎ、大きく速く展開したことにより山形ディフェンス陣を完全に翻弄、決して大きな選手ではないその森田がヘディングで決めたというものだった。「興輔(須田選手)とも練習していて、あの時も目が合った。偶然ではないゴール。(水戸・森田)」と言うように、これが水戸の本来の形であろうゴールだった。
2点というリードを山形に許すことにより、急遽トップの一翼での起用となった森田。実際のところ、今日は「ボランチの可能性もあった(水戸・森田)」らしい。しかしながら、今日の起用、そして得点により、水戸は新たな攻撃の形を手に入れたことになる。1−2で敗れはしたものの、この1点が今後を戦うにあたり大きな収穫となったような気がする。試合後の監督会見で「攻撃陣は心配していない」とコメントし、決して沈んだ表情ではなかった水戸・前田監督を見ると、確かな手ごたえを感じていたように思えてならない。
ここまで、チーム得点王のデルリス頼みだった展開を、違ったプランで「勝ちにいけるチーム」にするにはどうすればいいのかというヒントが垣間見えたゲーム。前田監督はそういう風に感じていたのだろう。しかしながらパワープレーで押し込まれたときのディフェンスは応急処置の必要がありそうだ。システムをいじるのか、それとも選手を入れ替えるのか。戦術的な部分に手を加えるのか。どのような改善がなされるか今後注目すべきところだ。
山形はこれで2位・福岡と勝点2の差となった。首位・京都は昨年の川崎F並みの独走だから、まだちょっと背中が見えない感じがするが、2位までは完全に射程に入れたことになる。そして意気揚々とホームでの2連戦に臨む。今日のようなロングボールでの組み立てと、山形本来のつなぐサッカーの組み立てをうまく使いこなしていくことができれば、大崩れすることは考えにくいし、上位争いの主役となっていくことは間違いないだろう。
一方の水戸は、次節、山吹色一色に染まる仙台スタジアムでのアウェイに臨む。敵地で、今日の後半のようなアグレッシブな戦いができる、そんな強いハートを持てるかがまず当面のそして大きな課題になる。
以上
2005.06.12 Reported by 堀高介
J’s GOALニュース
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