6月24日(金) 2005 J2リーグ戦 第18節
水戸 0 - 0 福岡 (19:01/笠松/1,542人)
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「前田さん話聞かせてくれ!」「勝つ気が見えないよ!」など・・・試合後、選手たちそして指揮官を乗せたバス周辺にサポーターの一部が集結。怒号や罵声、悲鳴にも似た叫び声など、様々な感情がその一角に渦巻く。その感情はエスカレートし、笠松を後にしようとするバスの進行を妨げるほど。笠松ではあまり目にすることのない光景だが、「選手や監督、それとサポーター間の温度差って結構あるものなのだな」という率直な感想を抱いた。もちろん、試合後の監督の記者会見や各選手のコメントなどを聞き、いろいろなことを客観的に見ることができる立場にいることもあるが、それにしてもその場面の違和感が、帰路についてなお、強い印象として残っていた。
水戸側の立場にたって今日のゲームを総括すると、『今シーズン最高の出来だった』という言葉になる。(と、私は思う。)水戸のスターティングメンバーは前節・仙台戦とほぼ変わりなく、トップにデルリスを復帰させ、永井を1ボランチに置く攻撃的な布陣。「今日は最初からどんどん行くつもりだった(水戸・須田)」というように高い位置でのプレス、サイドバックの積極的な攻撃参加が顕著に見られる。サイドバックの須田がその言葉どおりに幾度となく相手陣内に切り込みチャンスを作る。29分にはペナルティエリアの中にまで侵入し、惜しいシュートを放つ。福岡は防戦一方。圧倒的な水戸のペース。最終ラインと間隔が広くなろうとも、高いプレッシングラインを保つ水戸MF陣に対し、福岡は明らかに戸惑い、突破口を探せずにいた。ホベルトのゲームメイクも機能せず、ミスや不用意なパスからカウンターを喰らいパニックに陥いる。福岡にとっての前半は、正直、無失点でよく抑えたなという感じの内容だった。18分に訪れた前半唯一の決定機も水戸・本間の神がかり的な好守に阻まれ、水戸のペースのままに前半は終了した。今季笠松で、これほどアグレッシブで、かみ合った水戸は見たことがなかった。
後半に入っても水戸のペースは変わらない。後半18分、福岡はたまらず長身FWの太田を投入し、前線での基点を作る。と同時に、グラウシオをトップ下にし中盤でのイニシアティブを取りにかかった。しかしながら水戸・前田監督の対応も早い。「太田を入れてきたらはじめから3-4-3にシフトする予定でいた」というように、大和田、吉本、深津と高さに定評のあるディフェンス陣を福岡2トップの林と太田にマッチアップさせ、ボランチの位置に秦を下げることでグラウシオを封じにかかる。ウィングバックの左に吉瀬、右に須田という布陣。この両名は決して引いて守るだけにならず、高い位置でボールを拾い、あくまで攻撃を優先にした対応だった。前半の攻め疲れか、ゲーム終盤に水戸の足が止まり始め、徐々に福岡がペースをつかみかけるが、福岡に残された攻撃手段は「太田をターゲットにロングボール」しか残されていなかった。そこまで見越しての前田采配。すべてが水戸のプランどおりだった。「最後に決める決定力が足りない(水戸・須田)」というように、今日の水戸に足りないものはその一点。「得点できる雰囲気はあった(水戸・デルリス)」、「今日の試合をベースにすれば勝てるチームになる(水戸・森田)」という言葉に、選手間に芽生えている確かな手ごたえを感じる。「今日は見ているお客さんにも面白い試合だったのでは(水戸・デルリス)」という言葉に選手たちの充実感も感じた。
これだけの試合を見せたにもかかわらず、冒頭の一文になるのは何が要因か。それは、終了間際の磯山投入に起因する。結局、間際に投入された磯山は、自分のポジションについただけで、ただの一度もボールに触れることなくタイムアップの笛を聞くことになるのだが、それが水戸サポーターには「引き分け狙いの時間稼ぎ」に映ったようだ。確かに、そう取れば取れなくもないし、仮にそうだとしたら「最後まで勝ちを捨てないゲームを見せる(水戸・前田監督)」という、開幕前の壮行会でサポーターに約束したコメントに反する。しかし、本当にそうだったのだろうか?真実は前田監督しか知らないわけだが、私自身は違うと感じる。その理由は、(1)終了間際、磯山がピッチサイドに現れてから数分プレーが切れなかったこと。(2)森田のパフォーマンスが極端に落ち、とてもゴールに迫れる状態ではなかったこと。(3)磯山の状態自体(怪我からの復帰という意味で)長い時間のプレーは難しい状況だったこと。などなど・・・。今日の試合だけでなく今週の練習や、使える選手のクオリティ、台所事情などを実際に見た上で考えると、今節の全ての戦術・選手起用は最後まで勝ちに行ったその結果ではなかったのかという思いが強い。熱くなる(バスの進行を妨げるのは過度だと思うが・・・)サポーターを決して非難・否定するわけではなく、むしろその力がチームに活力を与えるものだと思っている。しかし、この選手や監督とサポーター間の温度差は、1ヶ月の間勝てていないチームが背負う、どうしようもない課題なのかもしれない。いつの日か同じ温度差で(というよりは同じ熱さで)喜びと充足を分かち合える光景を笠松で見てみたいし、近いうちにそういう日が来るだろうと、いろいろな意味で前向きに思える一戦であった。
以上
2005.06.24 Reported by 堀高介
J’s GOALニュース
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