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【J1:第15節 磐田 vs C大阪 レポート】どしゃぶりの雨の後に待っていた磐田のショータイム。華麗なサッカーで、C大阪を完封。(05.07.10)

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7月9日(土) 2005 J1リーグ戦 第15節
磐田 3 - 0 C大阪 (19:04/ヤマハ/9,858人)
得点者:'51 前田遼一(磐田)、'55 前田遼一(磐田)、'70 前田遼一(磐田)
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梅雨というより大雨と言ったほうが近い激しい雨の中、前半と後半で別々の試合を見せられたような一戦。だが、終わってみれば、磐田サポーターにとっては非常に観て楽しく、雨のうっとうしさをスカッと弾き飛ばしてくれるようなゲームとなった。

 試合前になって急に強さを増した雨の中、前半はC大阪のゲーム。
 風上に立ったC大阪は、まず少し引いた位置に守備のブロックを作り、ボールを奪ったら早めに1トップの黒部に当てて、シンプルに速く攻める雨の日らしい戦いを見せる。西澤や久藤の欠場で出番を得た徳重や苔口らが精力的に動いて主導権を握り、開始0分に黒部のポストから森島がいきなり決定的なシュートを打ったが、これはGK川口が何とかストップ。
 それに対して、磐田はしっかりパスをつないで自分たちのサッカーにこだわる。どしゃ降りと言っていい雨の中でもあれだけつなげる技術はさすがだが、裏を狙うボールが少なく、クサビのボールもC大阪にうまく封じられて、中盤でボールを回してもC大阪から見れば恐さがあまりなかった。前節で活躍したトップ下の西も、腰を痛めている中での強行出場で精彩を欠いた。逆に、そのつなぎの過程でボールを奪われ、C大阪のカウンターを浴びる場面が多くなった。
 C大阪のほうは、右サイドの苔口がスピードを生かしてスペースにどんどん上がっていき、素早くボールを右に展開して何度もチャンスを作る。しかし、17分には苔口の深い折り返しに合わせた徳重のヘッドがバーに当たるなど、少なくとも5回は大きなチャンスがあったが、フィニッシュの精度不足やGK川口の好セーブなどで決めきれない。
 C大阪としては、前半のうちにリードしておかなければいけない展開だった。逆に磐田の側から見れば、前半のうちに自分たちで問題点をいくらかでも修正できなかった点は磐田らしくないが、GK川口を中心にして劣勢に耐え、なんとか0-0で折り返したことが後半の逆襲へとつながった。

 後半、山本監督は中山から前田、西から服部へと一気に2人を代えて修正を図る。
「まず裏を狙って(相手の守備のブロックを)バラけさせて、スペースができたところへクサビを入れていくということが前半はできていなかった。後半はそれを徹底し、うまく修正できた」(山本監督)と言うように、中盤での細かいつなぎにこだわらず、早めに縦に入れる形を多くして、C大阪にカウンターを食らう場面も少なくなった。苔口の上がりに対しても、左のボランチに入った服部がしっかりと見張り、村井をうまく動かしてつけいるスキを与えない。
 また、スタメンから外された悔しさを晴らすために燃えていた前田と、西の代わりにトップ下に上がった名波のところでしっかりとタメを作り、「後半、相手が疲れて絶対にいける」と思っていた右サイドの太田の上がりをうまく引き出して、立ち上がりからチャンスを作った。
 そして6分、太田の右クロスからファーに流れてDFのマークを外した前田が、むずかしい体勢からヘディングをゴール左にうまく叩きつけて磐田が先制。その4分後の2点目も、ほとんど同じ形。太田の右クロスから前田が滞空時間の長いヘッドを今度は右に決めて突き放した。クロスに対して交差しながら入ってくるカレンと前田につききれていなかったC大阪の守備も、小林監督は試合後に反省点として挙げた。
 こうなると、磐田の左サイド・村井からの攻めも活性化して、25分には村井の低い折り返しに対して前田がニアに飛びこんでGKの股間を抜き、見事に初めてのハットトリックを達成。あれだけの雨量でもほとんど水が浮いてこないヤマハスタジアムの素晴らしいピッチも、サポーターとともに選手たちを後押しした。

 後半なかばからは雨もウソのように小振りになり、あとは名手・名波を中心とした磐田のショータイム。
「今日は名波にやられた」と柳本が悔しがった通り、バイタルエリアで名波がしっかりとタメを作り、キレキレの前田ほか、カレン、村井、太田らの動きを巧みに引き出し、磐田らしい速いテンポのつなぎで華麗なチャンスメークを数々演出した。名波自身も、観ていて「うまい!」と思わずうなるような職人技を何度も披露し、後半だけで3得点の前田も、ストライカーとして大きく成長した姿を鮮烈にアピール。追加点こそ奪えなかったが、勝敗がほぼ決まった後も、磐田サポーターは美しいサッカーを堪能できた。

 試合後、名波自身は「今日は苦肉の策で(後半は)自分が入ったが、トップ下は西や成岡がやらないと将来的には意味がない」と強調。山本監督のチーム作りとしても、後半の形を続ける可能性は低いが、名波の健在ぶりは強烈に見せつけられた。
 悪天候の中、わざわざ大阪から駆けつけてくれたセレッソ・サポーターには大変気の毒だが、磐田サポーターたちにとっては、雨具に身を固めて雨風に耐え続けたことに対して、十分以上に見返りのある幸せなゲームだった。

以上

2005.07.10 Reported by 前島芳雄
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