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【J2:第20節 仙台 vs 京都 レポート】驚異的なテンションで、首位京都に正面から挑んだ仙台。ホームで意味の大きな一勝(05.07.10)

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7月9日(土) 2005 J2リーグ戦 第20節
仙台 3 - 1 京都 (19:04/仙台/18,112人)
得点者:'32 シルビーニョ(仙台)、'70 星大輔(京都)、'73 梁勇基(仙台)、'85 梁勇基(仙台)
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前半13分、仙台のセットプレーが失敗に終わる。直後、それまでリスクを犯さない戦いに終始していた京都が一気のカウンター。この日初めて攻めあがってきた米田にパスが通り、GK高桑と1対1の場面を迎える。ところが、濡れるピッチでコントロールを誤ったのか、ゴール隅を突いたはずの米田のシュートは、枠を僅かに逸れていく。

この試合は立ち上がりから、仙台が攻勢に出る流れで進んでいた。仙台のこの選択に間違いはないが、こうして一発のカウンターに、しかも早い時間で沈んでいたとすれば、それはまさに最悪の展開。全てのプランが崩れていただろう。

だが、喉下に突きつけられた刃は、寸前のところで逸れて行った。

仙台の選手はこの場面から、裏を取られる不安ではなく、自分たちに宿っている「ツキ」を感じたのか。以降仙台は、トップ下のシルビーニョやFWの二人がしっかりキープできることで、引いて守る京都の守備をもろともしない、ポゼッションを高めた積極的な攻めを継続する。左右のサイドで面白いようにパス交換が続き、沸き返るスタジアム。

そして32分、仙台は中央の梁から前線のバロンへ浮き球のスルーパス。バロンと飛び出したGK平井が交錯し、こぼれたボールにシルビーニョが詰める。仙台先制。前半はこのまま、仙台が押し切って終えた。本当に前半の仙台は、一人一人に気迫が溢れる、まさに鬼気迫る戦いぶりだった。となると試合の焦点は、この仙台のテンションが、体力、精神力双方において、どこまで保たれるかへと移る。

その不安は、現実になりかけていた。京都は後半、GK平井が大当たり。大柴、バロンのそれぞれ一度の決定機をファインセーブで止めるなど、乗ってきた感があり、仙台としては「攻め疲れ」が不安になってきた。ならばペースをセーブすれば良いかと言われれば、そう単純な問題ではない。まして京都ベンチにはパウリーニョがいる。彼を投入し一転して攻勢に出るに違いない京都に対し、変に受身に回るのはまた危険だ。つまり仙台は、もうこの流れに90分間乗り続ける以外に方法がなかった。

そんな中、訪れた後半25分。京都は星がゴール前からシュート、跳ね返ったボールを再び拾った星がもう一度放ったシュートが、今度は混戦のゴール前をすり抜けてネットへ。これで試合は振り出しに。張り詰めて戦っていた仙台にとっては、単なる同点ゴール以上の意味を持つ、緊張の糸が切れかねない痛恨の失点。

しかし、このピンチを梁が救う。失点から3分後、ゴールに遠い位置からのシルビーニョのFK。ゴール前に入ってきたボールをバロンがヘディングシュート。このシュートは相手DFに当たるが、コースが変わった先には梁がフリーで立っていた。その梁が頭でボールを押し込み、仙台が再び勝ち越しに成功。断線しかけていた糸を紡ぐ、本当に大きなゴール。

このゴールがもたらした勇気と気力が、どれだけ仙台の選手にとって大きかったことか。足が止まってもおかしくないはずの状況だった中盤に、熊谷を筆頭に再び機動力が宿り始める。テンションは、落ちない。

そして後半40分。名実共に試合を決めるゴールを決めたのは、再び梁だった。中盤でボールを奪った仙台は、左に流れた大柴へパス。そこで溜めた大柴からの横パスを受けた梁が、ゴール正面から持ち込んでいく。そしておよそ30メートルの位置から、GK平井の位置を良く見たループ気味のシュート。これがゴール右上隅に美しく決まって、3−1。本当に死力を尽くし戦い、サポーターと共に、苦しい時間も乗り越えてきた仙台だが、これで決まった。

試合後、京都の柱谷監督は「長いシーズン、負けることはある。内容は悪くなかった」と、淡々と振り返る。しかし仙台にとっては、単なる一勝と考えるにはあまりに内容と気持ちの詰まった、現時点で今シーズンのベストゲームと呼べる一戦であった。

最後まで熱く戦った仙台、選手とサポーター双方を冷やすかのように、雨は試合後も、静かに降り続いていた。

以上

2005.07.10 Reported by 佐々木聡
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