●7月30日(土)コカ・コーラ フィオレンティーナジャパンツアー2005
広島 0-1 ACFフィオレンティーナ(イタリア) (18:00/広島ビ/21,421人)
得点者:85' マルディン・ヨルゲンセン(ACFフィオレンティーナ)
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ファンティーニのキックフェイントによって、アタックを仕掛けた西河翔吾の体勢は完全に崩された。それでも西河は追いすがるが、ファンティーニはそれをものともせず、完璧なクロスを放つ。その先にいたのは、ヨルゲンセン。ヘッドは、下田の指先をかすめ、ネットに吸い込まれた。
その瞬間、ヨルゲンセンは力強くガッツポーズ。そこに、猛然とチームメイトが走りよる。まるで公式戦の時のような喜び方に、彼らのこの試合に懸ける気持ちが表現されていた。しかしそれは、広島の健闘によって彼らが精神的にも追い込まれていた証明でもあった。
前半の立ち上がり、広島は中盤でボールを支配した。森崎和のパスを起点に、ベットと大木がチャンスをつくる。9分、服部の突破で得たFKから森崎和が放ったヘディングシュートは、わずかに枠をとらえなかったものの、セリエAのチームを慌てさせるに十分な手応えをもっていた。
15分、フィオレンティーナが動く。サイドに広く張る3トップにエルゲラを中心とした扇形の中盤でスタートしたのだが、この形だとどうしても中盤でスペースを与えてしまう。そこでプランデッリ監督はシステムを4-4-2に変更。ギグーとヨルゲンセンを左右に張らせ、中田とエルゲラにセンターハーフをつとめさせた。
このシステム変更は当たった。中田とエルゲラの粘り強い守備で、ベットや大木の「ゴールに直結するプレー」を封殺。中盤の主導権を奪うと、そこからサイドに素早くボールを供給した。左のヨルゲンセン、右のギグーにサイドバックのウイファルシが絡んだサイドアタックは迫力満点。強い筋力を活かした破壊力のあるクロスが、広島のゴール前を襲ってくる。
しかし、フィオレンティーナもフィニッシュの精度に欠けた。ジニーニョや下田の奮闘があったとはいえ、せっかくチャンスを量産しながら、ゴールになりそうなシュートは28分のヨルゲンセンのシュートがバーに当たったくらい。C大阪戦で2得点をあげていたトーニがいれば、と何度も思わせた。
後半、小野監督は19歳のテクニシャン・高萩洋次郎を右サイドに投入し、3-5-2に変更すると、これが機能する。攻撃の起点となっていたヨルゲンセンや中田に、右センターバックの西河と高萩が積極的にアタックをしかけ、何度かボール奪取にも成功。そこから運動量を活かして前に飛び出す高萩のプレーに、広島の選手たちは勇気づけられた。
22分、ガウボンのパスを受けた高萩が、右足のアウトにかける技巧的なシュートを放つ。フレイとのGK争いに燃えるセーハスが驚異的な反応ではじき飛ばしたものの、入ってもおかしくないシュートだった。そして、ここから広島のシュートラッシュが始まる。
23分、CKから小村がヘッド。29分、ベットのシュートを佐藤寿がヘッドですらす。「普通は反応できない」(小野監督)シュートだったが、またもセーハスがビッグセーブ。さらに、服部のクロスに西河がヘッドで合わせる。35分には、高萩のロングパスに飛び出した茂木が、身体を反転させた勢いそのまま、ダイレクトボレー。強烈なドライブがかかったボールは、惜しくもバーに当たった。
後半、広島が放ったシュートは9本と、フィオレンティーナの4本を大きく凌駕。チャンスの数では広島が圧倒していただけに、残り5分での失点が非常に悔やまれる。今季のリーグ戦で、広島は「最後の5分間」に13失点中3失点を喫し、そのために「勝ち点6」を失っている。その課題がこの日ももろに出てしまった。
この試合、フィオレンティーナの選手たちは、厳しいポジション争いの中で、少しでも監督にアピールしたいという気持ちが前面に出ていた。キックの質、切り替えの速さ、絶妙のポジションどり。そういう技術・戦術面もさることながら、何よりも一つの試合にかける気持ちの強さは、さすがに世界トップリーグのプロ、というべきだ。そして、そういうチームに対して一歩もひかずに立ち向かった広島の姿勢が、このプレシーズンマッチを楽しいものにしてくれた。特に、後半出場した若い選手たちが多くの可能性を見せつけてくれたことは、広島にとって大きな収穫だろう。
試合後、小野監督は「負けて本当に悔しい」と語った。しかし、後半の若者たちの躍動に話題が及ぶと顔がほころび、目を輝かせて彼らのプレーに対し、熱弁をふるっていたのである。
以上
2005.07.31 Reported by 中野和也
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