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【J1:第21節 磐田 vs F東京 レポート】主力の相次ぐ負傷退場で絶体絶命の磐田。崔の磐田初ゴールで盛り上がるが、F東京の執念で追いつかれ、痛み分け。 (05.08.28)

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8月27日(土) 2005 J1リーグ戦 第21節
磐田 1 - 1 F東京 (19:05/ヤマハ/15,735人)
得点者:'80 崔龍洙(磐田)、'81 栗澤僚一(F東京)
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服部、鈴木、川口、福西、西らがケガ、前田は出場停止と、主力6人を欠いて戦わなければいけない磐田。一方のF東京も何人かが発熱や風邪でのどの痛みなどを訴えており、両チームとも万全な状態とは言えない中迎えた第21節。夏場に一週間で3試合という過密日程の過酷さが浮き彫りとなってしまった。

ケガ人続出の磐田は、4月13日第5節千葉戦以来4ヶ月半ぶりに崔龍洙を先発起用し、決して得意とは言い難いF東京の「カウンターサッカー」撃破にかける。
ヤマハスタジアムを5戦5敗で「鬼門」とするF東京は、前節右ひざを負傷したDF金沢の代わりに今野を左サイドバックとして起用し、カウンターの要である守備の徹底を図る。本来今野が務めるボランチには三浦、ルーカスのワントップで一発を狙う。
前半の立ち上がりからボールが激しく動く。F東京・石川のドリブルは磐田・茶野、名波がカット、磐田・河村、成岡、カレンとパスをつないでの攻撃にはF東京・茂庭が対応し、奪ったボールをF東京・ルーカスがシュートと、両チーム目まぐるしく攻守の切り替えが行われる。

この試合、磐田に待っていたのは更なるアクシデントの連続であった。

まずは前半16分。F東京・三浦の深いスライディングが茶野の足に入り、タンカで運ばれる。ピッチに戻るのに時間がかかりヒヤリとさせられたが、なんとかプレーを続行する。
しかしホッと胸をなで下ろしたのも束の間。26分には、ここまでどの選手よりも運動量の多かった磐田の要・名波が自らベンチへ向かってバツサインを出して交代。磐田は誰よりも失いたくなかった柱を失ってしまった。代わって2年目の船谷が、「チャンスだからアピールしたい」と意気込んでトップ下へ入る。名波のいたボランチにはトップ下から成岡が下がった。

磐田にとって痛すぎる名波の負傷退場で試合はどうなるかと思われたが、成岡・船谷は難なく機能し、逆に船谷は投入直後から2発のシュートを放つなど、磐田のF東京ゴール前でのシーンが増えて来つつあった。
ところが… 磐田の悪夢はこれで終わりではなかった。
磐田に流れがかたむきつつあった前半39分、後方からの相手タックルを受けたMF成岡が腰を痛めピッチを去ってしまう。ここで登場したのは中山。カレンがトップ下、船谷がボランチへ下がった。この布陣でかく戦うのか?勝負の行方は後半へと持ち越されていった。

後半先に手を打ってきたのはF東京だった。52分、三浦に代えてFWササを早くも投入し、先制点を奪いにいく。また、カレンの動き、河村、船谷らに中盤でボールを拾われることを嫌がり、今野を真ん中、鈴木規郎を左サイドバックへとずらし、バランスも修正する。
「0−0でいきながら、後半ササ、馬場、あるいは宮沢を勝負どころで使って点を取りたいと思っていた」という原監督の目論見通りに試合は展開していくが、両チーム共に足が止まった時間帯、80分についに均衡がやぶれる。

歓喜に沸き返ったのは磐田だった。河村が中央でボールを持ち、ペナルティエリア付近から崔龍洙へスルーパスを送る。
韓国の英雄、日本での実績、鳴り物入りで今シーズン磐田に移籍してきたがここまで無得点。何度決定的チャンスを逸し、サポーター、そして自分自身にため息をつかせてきただろう。だが、ようやく磐田での初産を迎えた。「河村選手の出すパスは精度がいいので、足下にパスが来ると信じていた」という日頃の練習から培ってきたコンビネーションからの右足シュートをゴール左へ決め1−0。チームにとっても、そして誰よりも崔本人にとって大きな、大きな1点を奪った。
すぐさまサポーターの前に走り寄り、喜びを全身で爆発させる崔。アシストした河村をはじめチームメイトの誰もが崔の元へ行き、自分のことのように喜び祝福をする。

残り10分。さあ集中して守ろうとリスタートを迎える。
ところが、夏休み最後の「忘れられない思い出」には、まだ続きがあった。わずか1分後の81分。「後から思えば、やっぱり隙があったんだと思う」(磐田・GK佐藤)マーキングのズレからの失点だった。F東京は馬場の直接FKを受けた栗澤。右足シュートが相手に当たって方向が変わり、あっさりと同点ゴールを決める。栗澤は第4節での同カードでJリーグ初得点。磐田戦連続2発と「磐田キラー」となった。

死闘を尽くした末の1−1。まさに痛み分けと言える試合だった。
名波・成岡という主力中の主力2人の負傷のダメージは大きいが、山本監督は「若手がすごくアグレッシブに戦う姿勢をみせ、責任をもってやってくれたことが、監督としては結果抜きにしてうれしい」と、未来へつながるチーム全体の底上げに手応えを口にした。
また、追いついた原監督も「金沢がしばらくかかりそうなので、鈴木規郎が左サイドバックでも十分やれる目処がたったのが、チームとしての収穫」と、こちらも若手の成長にこの試合のプラス点を見出した。

だが、中山は「新たに入った選手が頑張っただけに結果が欲しかった」と80分のFW崔龍洙のJ1で642日ぶり先制点から1分後に喫した失点を悔やむ。勝たなければ意味がない。

磐田はケガ人続出だが、逆にチャンス到来の選手に今後の期待が集まる。
そして、ようやく結果を出した崔。「ケガなどいろいろあり、これまでに無かったベンチメンバーという立場から、ものすごい勉強ができました。サッカーは個人のスポーツではない。先発とか関係なく、これからどんどんチームのために力を出したい」 磐田で精神的に一皮むけた韓流ゴールハンターの目がキラリと光った。

以上

2005.08.28 Reported by上岡真里江(ビットマイスター)
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