8月27日(土) 2005 J2リーグ戦 第28節
横浜FC 3 - 4 甲府 (19:04/三ツ沢/8,629人)
得点者:'5 池端陽介(甲府)、'42 奈須伸也(甲府)、'47 バレー(甲府)、'50 バレー(甲府)、'57 シルビオ(横浜FC)、'65 三浦知良(横浜FC)、'84 トゥイード(横浜FC)
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「帰ってくるのが遅いよ!」試合に先立って、新加入セレモニーのため、山口素弘がピッチに現れると、8,629人のファンで埋め尽くされた三ツ沢のスタンドからこんな声が飛んだ。7年ぶりの三ツ沢のピッチに戻ってきた山口は「言いたいことはたくさんあるんですが・・・。ただいま!」と挨拶すると、この日を待ち望んでいたかねてからのファンは割れんばかりの拍手とコールで彼を包み、その温かい歓迎に山口は「あのコールには思わず涙腺が緩んでしまうところだった。もう一度三ツ沢のピッチに立てるなんて想像もしていなかった。」と、自身もファンも彼の凱旋を心底喜んだ。
前2試合をアウェイで戦ってきた横浜FCは、山口・浮氣という頼もしい戦力を迎えた新たなチームを初めて三ツ沢のファンの前で披露する試合となった。「第3クールで首位」をチームの目標として大きく掲げる横浜FCだが、第27節を終えた時点での今クールの成績は2勝1分2敗。もうこれ以上負けられない。 迎え撃つは甲府。バレー、長谷川というJ2得点ランキングで上位に君臨する二人が居り、J1昇格の可能性が充分にある。それを確実なものにするためにも、甲府にとっても落とせない試合であることは間違いない。
横浜FCは右SBに岩倉、左SBに中島、CBにはトゥイード・浮氣、ボランチに山口・内田、そして2トップには城と三浦知のスタメンで試合に臨んだ。 その横浜FCは立ち上がりから積極的にフィニッシュまで持ち込む場面を作りながらも、前半5分、長谷川(甲府)のグラウンダーのクロスに池端(甲府)が足元で合わせて押し込み先制されてしまう。池端は「前日のセットプレー練習で、監督に点を取れと言われていた。あの1点でこっちの流れになった。」と、先制点のシーンを振り返った。 横浜FCにとっては立ち上がり直後の失点、いつもの悪い癖がこの試合でも出てしまった。 しかし、いつもであれば、ここからどんどんと悪い流れになりがちな横浜FCだが、この試合ではその雰囲気はさほど感じなかった。
細かく早いパス回しでボールをよく動かし攻め込んでくる甲府に対し、横浜FCは山口を中心に、積極的に相手に寄せてボールを奪いに行く場面も多く見られた。 前半14分には、ペナルティエリアでボールを持った三浦知がシュートを試みながら巧みなフェイントで相手を翻弄し、ゴール付近に駆け寄った小野智にパスを出すもタイミングが合わず。28分も左サイドから相手DFとの1対1をかわしクロスをあげるもまたもやタイミングが合わなかった。さらに前半40分、スローインから三浦知につながり、またしても左サイドから思い切り足を振り切るもバーに嫌われ、なかなかゴールを割ることができない。 前半終了間際の42分、甲府の左サイドからのCK。藤田が蹴ったボールを奈須がゴール真正面で頭で合わせ、最悪の時間帯に追加点を許してしまった。
2点ビハインドで折り返した横浜FCは、右サイドの佐藤を北村に替え後半に臨んだ。リードする甲府、「2-0は危険な点差。小さくなるな!」とハーフタイムに指示を出した大木監督(甲府)の言葉に促されるかのように、甲府は後半開始直後の2分、横浜FCは単純なクリアミスを石原に拾われ、それを受けた井上がシュート。菅野がはじいたこぼれ球を、つめていたバレーに右足で落ち着いて決められてしまった。さらにその3分後、またもやCKからバレーに決められ、点差はいっきに4点にまで広がってしまう。 ゲームをほぼ決定づけられる点差になるものの、ハーフタイムに「最後まで諦めず戦うこと」と選手たちにゲキを飛ばした足立監督は後半11分、内田に替えてシルビオを投入。交代直後、そのシルビオはボールを奪い北村へパス。そのまま自慢の俊足でゴール前へ走りこみワンツーで受けシュート。勢いよくネットに突き刺さり1点を奪うと、流れはそのまま横浜FCに傾き始める。
後半20分には、城が得た約25メートルのFKを三浦知が直接決め、「皆が期待していたし、自分自身も期待していた」と三浦知が語る移籍後初のゴールは、チームの貴重な2点目となり、会場はいっきに沸きあがった。 また後半39分にも、CKからトゥイードが決め1点差まで追いつく。その後もパスを繋いでフィニッシュに持ち込む場面を作るものの、GK阿部に阻まれネットを揺らすことができないまま、勝点を落としてしまうかたちとなった。
甲府は4点取ったことで安心してしまったのか、それを守ろうとしたのか。藤田は「前半完璧だったので、後半も前半の様に出来れば。4点取ってから5点、6点と取れそうな感じもあったが、守れなかった」と、試合を振り返った。こういった厳しい展開の試合の中でも確実に勝点3を取ることが、J1昇格にはなくてはならないものなのかもしれない。
絶望的とも思わせる4点差を1点差にまで追い上げたことは、横浜FCというチームの成長がそこに確実に表れていると言っても良いだろう。 しかし、試合開始直後の失点と後半開始直後の2失点。横浜FCの悪い癖がなかなか直らない。内田は「試合立ち上がり、集中することは皆で意識しているが、まだまだ足りないのかもしれない」と振り返り、その失点の場面について城は「セットプレーからの失点は、1対1のところで全て負けてしまっていた。」と、悔しさをにじませた。
凱旋試合を白星で飾りたかった山口も「セットプレーはゲームの流れが変わりやすい。それを痛感させられた」と静かに言葉を残した。 まだ連携にも不安が残り、4点差を1点差にまで詰め寄ることが出来たという小さな収穫を得ながらも、大きな課題を残した試合となった。
以上
2005.08.28 Reported by 浅野有香
J’s GOALニュース
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