8月27日（土） 2005 J2リーグ戦 第28節
鳥栖 1 - 2 湘南　（19:00／鳥栖／7,014人）
得点者：'5 柿本倫明（湘南）、'29 ビジュ（鳥栖）、'46 佐藤悠介（湘南）
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　相手より多く得点するのか、相手より失点を少なくするのか・・・結果は同じであるが、どちらを狙うかにより戦い方は変わって来る。今節の鳥栖は前者を狙い、湘南は後者を狙った戦い方になってしまった。

　鳥栖は、第8節ホームでの山形戦以降、敗戦のすべては1点差である。実に9戦続けて最小得点差で敗れている。湘南は、第8節ホームの水戸戦以降の勝利はすべて1点差。最小得点差で5勝をあげている。1点に泣き、1点に喜んでいる両チームである。

　この日の鳥栖は、センターのディフェンスにビジュと加藤が組んだ。本来、中盤の選手であるビジュをDFに起用したのは、出場停止や怪我による苦肉の策であった。しかし、この日のビジュは代役ではなく『ほぼ完璧』(鳥栖松本監督)なまでにDFをこなした。左サイドに流れる癖を持つ湘南FWの柿本をフィジカルで押さえ込んだのである。柿本と言えば、湘南のポイントゲッター。彼にボールを預けてフィニッシュとなるのが、湘南の攻撃パターンの一つである。このパターンを開始早々にヘディングで競り勝って以降、ことごとく潰していたのだから、この日の湘南はより多くの得点は望めなかった。しかし、先制点はその柿本から生まれた。鳥栖の右DF奈良崎のバックパスを柿本が拾うと、GKをかわして左隅に流し込んだのである。鳥栖が攻めに転じた一瞬の出来事であった。しかし、試合開始からまだ5分、鳥栖の反撃にはまだ十分な時間があった。

　鳥栖は、高い位置からのプレッシャーをかけ、奪ったボールに対し時間をかけずに前線に送り続けた。右MFの小井手は積極的に仕掛け、奈良崎はその外を追い越して前線のスペースを突いていく。新居が所狭しと随所に顔を出せば、空いたスペースに鈴木が走り込む。宮原からのパスが、ゴールに向う鳥栖の選手に通されるたびに、湘南DF陣は身体を張ってクリアし続けた。

　28分のCKでは、最終ラインから上がって来たビジュを湘南の選手は捕まえることをできずに同点弾を許してしまった。後半開始から、この流れのまま行くかと思われた鳥栖だが、キックオフで始めたにもかかわらず、簡単にボールを奪われ、湘南にFKを与えてしまう。キッカーは佐藤。左足で放たれたボールは7枚の壁を越え、シュナイダー潤之介の伸ばした手の先を通り抜け、勝ち越し点となってゴールへと吸い込まれた。

　残り時間を考えると、まだ鳥栖には反撃の時間が残っていた。鈴木に代えてアルレイを投入し、右サイドだけでなく左サイドからも好機を演出するようになった。56分に湘南DF戸田が退場となると完全にボールを鳥栖が支配するようになった。

　この時点から、鳥栖はより多くの得点を取ることに徹し、逆に湘南は失点を最小に食い止めようとし始めた。鳥栖は、攻撃的な下司と村主を入れて左右から攻め続けるが、湘南の選手はワントップのみを残し、必死に跳ね返し続けた。鳥栖は、ボールを支配するも『シュートを打たされた感じ』(鳥栖FW新居)で得点は奪えず、『バイタルエリアでなければ怖くない』(湘南MF佐藤)状況に追い込まれた格好だった。結局、後半だけで鳥栖は8本のシュート放つが、FWはゼロ。逆に湘南は立ち上がりのFK1本だけだが、勝ち越し点を奪い、守りきった。

　先制されても追いつき、勝ち越し点を奪われても、必死に攻撃し続けた鳥栖と勝ち越した虎の子を必死で守りぬいた湘南。ボールポゼッションやシュート数などで、圧倒的に優位だった鳥栖だが、結果的に湘南の試合運びにはめられた感がある。第17節の両者の対戦で、終了間際に佐藤の中央からのFKで、勝ち越し点を奪われたことを鳥栖の選手は覚えているだろうか。後半戦に入って、失点の多くはFKが起点になっている事を忘れずに、試合に臨んでいるのだろうか。1点差の敗戦続きの原因はこう言う所にあるのかも知れない。

以上

2005.08.28 Reported by サカクラ ゲン