9月11日(日) 2005 J1リーグ戦 第23節
川崎F 2 - 1 鹿島 (19:05/等々力/16,418人)
得点者:'22 我那覇和樹(川崎F)、'30 マルクス(川崎F)、'75 鈴木隆行(鹿島)
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試合後のミックスゾーンで箕輪義信が「ね、言ったとおりでしょ」と親指を突き立ててくる。箕輪は試合2日前の練習場で鹿島アントラーズのセットプレーや、上位食いと言われているチームのこと、気持ちの重要性、そしてお互いの守備陣がどこまで踏ん張れるのか、といった話をしていた。改めて振り返ると、確かにこの試合はその言葉通りの試合展開となった。
セットプレーから2点を失って敗れた前期のアウェイでの対戦をふまえ、川崎フロンターレの選手たちはこの試合におけるポイントとしてセットプレーを上げていた。関塚隆監督は鹿島の個人を特定し、ゴール前での動きや位置取りの特徴を分析。それを選手たちに伝えて対策を練っていた。
お互いに様子を見るような形で始まった試合は、中盤でのつぶし合いに終始した印象があるが、その理由として鹿島の両サイドハーフの動きが上げられるだろう。小笠原満男、深井正樹の両者がサイドから中央へと絞る動きを見せ、それが中央での窮屈さを生み出していた。あえて枚数の多い中央へとポジションを変えた小笠原は、その厳しいプレッシャーの中で埋没した形だが、そうした小笠原の動きについて中村憲剛は「予想の範囲内だった」と個人としてもチームとしても対応は万全だった事を示唆している。
両チームとも散発的な攻撃にとどまっていた前半の22分に試合が大きく動き始める。川崎Fが鹿島陣内で得たFKの場面。ほとんどの選手の意識がゴール前に集中していたその状況で、マルクスは逆サイドでフリーで待っていたアウグストへとパスを出す。アウグストは、ゴール前の状況を確認し精度の高いクロスを蹴り込んだ。
向かって左方向から来るクロスを想定して準備をしていた鹿島の選手たちは、大きくサイドを変えられたことによって対応をやり直す必要に迫られる。その一瞬の隙を突いて、我那覇和樹が飛び込んだ。「リーグきっての試合巧者」(箕輪)鹿島から、セットプレーによって先制ゴールを奪う想定外の展開に等々力は沸いたが、さらにその8分後には、角度のない位置からのFKをマルクスが豪快に蹴り込んだ。
2点をリードされて、ようやく鹿島は反撃の姿勢を打ち出すが猛攻を凌いだ川崎Fが2点差を保ってハーフタイムを迎える。
中村によると関塚監督は「守りの気持ちが出るとやられる。戦う気持ちが大事だ」と選手たちに指示を出したという。
その指示を受けてピッチに姿を現した川崎Fイレブンは、3点目を奪う勢いで後半をスタートさせる。関塚監督の指示を守った形だが、どうしても追加点が奪えないまま時間は経過する。もちろん、優勝争いを続ける鹿島がそのまま引き下がるべくもない。67分に2枚目のカードとしてアレックス ミネイロに代えて野沢拓也を投入したあたりから強引に流れをたぐり寄せた。常時トップに4名が張り付き、前へ前へとボールを動かすすさまじい攻撃を見せるが、守ろうとした時の川崎Fの守りは固い。75分に野沢からのシュート気味のクロスを鈴木隆行が押し込んで1点差に詰め寄られるが、川崎Fはそこで崩れなかった。
試合終盤。トニーニョ セレーゾ監督は大きなジェスチャーで最終ラインの選手たちに、前戦へ放り込む事を指示するが、選手たちはできるだけ繋ごうとしていた。
「相手は引いていたが、そこにボールを入れただけ。相手のディフェンスは高いので、ロングボールを入れても跳ね返された」(野沢)
「うちは放り込みには強い」(箕輪)
試合終了直前には、岩政を前戦に上げてスクランブル態勢を取る鹿島に対し、川崎Fはただ、前方へクリアするだけのサッカーになってしまった。中村は「後半は慌ててクリアする場面があった。ボールを奪ってホッとするんじゃなくて、気持ちを切り替えてパスコースを作らないと。全員がつなぐ意識を持たないとダメだと思う。クリアして拾って、クリアして拾っての繰り返しが続いていた」と反省の弁を口にしたが、そうした猛攻を受けることで守りのリズムが生まれたとも述べている。
猛攻に耐えた川崎Fは、4分のロスタイムの最後。岩政をターゲットとした攻撃でゴールを脅かされたが、最後まで同点ゴールを許すことはなかった。タイムアップの瞬間。『K点越え』を果たしたスタジアムの熱気は最高潮に達し、選手たちは喜びの感情を表現した。
クラブ史上初めて鹿島越えを果たした川崎Fは『K点越え』の余韻に浸ったが、優勝戦線から一歩後退した形の鹿島の選手は厳しい表情のままスタジアムを後にした。ただ、サポーターは試合後に頭を下げた選手に対して大きなコールを送っていた。「まだシーズンは終わっていない」というメッセージだった。
以上
2005.9.12 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
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