9月17日(土) 2005 J2リーグ戦 第32節
鳥栖 1 - 2 山形 (18:04/鳥栖/5,909人)
得点者:'13 永井篤志(山形)、'25 ビジュ(鳥栖)、'69 林晃平(山形)
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仲秋の名月がほのかにスタジアムを照らし、試合開始にはさわやかな夜風が吹いていた。が、この日の鳥栖スタジアムに訪れたサポーターは、ゆっくりとひいきチームを応援できる余裕はなかった。
鳥栖は、第31節までチームを牽引した司令塔の宮原が抜け、得点ランキング4位(第31節時点)の新居が出場停止。怪我人も多く、ベストの布陣が組めないまま臨んだ。山形は、順延された第27節のが水曜日に行われ、中2日の日程で今節を迎えた。どちらも目指すサッカーを行うには、ハンディーを背負った形だったが、結果を分けたのは局面でのプレーの質だった。
鳥栖は前節、札幌に3得点をあげ快勝していた。しかも18試合ぶりの無失点と、今節に向けての気合は充分のはずである。試合前のウォーミングアップでもそれは充分に見て取れた。
宮原の代わりには新加入の濱田が入り、新居の代わりには昨年5月以来のスタメンとなった下司が入った。加入して間はないが、濱田はU-23日本代表にも選ばれたことがある逸材である。下司もスピードを持ったFWで、「自分らしさを出せば問題はない」(岸野ヘッドコーチ)と信頼は厚い。この日も鳥栖らしく前線から早いプレッシャーをかけてボールを奪いに行った。
山形は連戦のため、DFに太田を14試合ぶりに起用し、佐々木はベンチスタートとなった。29試合出場の臼井は、この日は登録メンバーから外れた。試合開始こそ鳥栖に押し込まれたが、得意とする細かなパス回しで徐々にペースをつかみかけ、コンディションが悪くメンバーの入れ替えこそあっても、自分たちのサッカーを試みようとしていた。水曜日の札幌戦でのミスの目立った中盤の意識は修正されていた。
試合が動いたのは、前半13分のこと。右サイドに展開した山形が、中央でフリーとなった阿部にボールを渡した。阿部は迷わず鳥栖のゴールに向かってドリブルを始めた。マッチアップしたのはセンターバックに入っていたビジュ。シュートコースは切っていたのだが、走りこんで来た永井が全くのフリーとなっていた。阿部のフワリと浮かしたボールに対し、永井は思いっきり右足を振り抜き鳥栖のゴール上部に先制弾を突き刺した。ここまで目立った動きのなかった永井が存在感を示した一撃であった。
この直前にはインターセプトしたボールで、本橋を経由し阿部がシュートを放っていたので、流れは山形だったと言える。19分には、鳥栖右サイドDFの小井手が負傷退場となり、さらに流れは山形へと傾いていった。
2ndボールが拾えず、中盤でボールが落ちつかない鳥栖は後手に回っていた流れを取り返すべくセットプレーに活路を見出た。22分に続き25分にもCKのチャンスを得たのである。この3分間の間には、ゴールを狙うビジュとマークする内山との駆け引きが行われていた。激しい接触プレーに内山が冷静さを欠いて一瞬の隙でビジュがマークを外しフリーになった。左CKから村主の蹴ったボールはビジュのヘディングシュートを呼び込み同点となった。
同点とした鳥栖だったが、細かなパス回しを行う山形に対して出所を捕まえきれないままに前半を終了した。
後半に入り両チームの監督が采配の冥利を見せてくれた。
65分には、山形・鈴木監督が疲れの見えたFW原に代えて林を入れた。この交代の4分後に林が決勝点を奪った。前節も交代した選手が直後に決勝点を奪っているだけに、選手の技量とゲームの流れを的確につかんでいる鈴木采配は見事だった。
一方の鳥栖・松本監督も、4バックからリベロを置いた3バックに変えて、山形ゴールに襲い掛かった。サイドDFから飯尾がボランチの位置へあがり、中盤を厚くして波状攻撃を仕掛けたのである。しかし、1点のビハインドを取り返すには残り時間が短すぎた。4分のロスタイムも山形DFが身体を張って守り抜いた。結果、鳥栖は11試合目の最少失点差負けを喫し、山形は水曜日の試合に続いて最少得点差で勝ち点を得たのである。
自分らしさを出せずに終わった鳥栖。怪我人が多いとはいえ、コンディション不十分な山形にいいようにあしらわれてしまった。一方の山形は、キレはなくとも得意とする細かなパス回しを見せてくれた。
長いシーズンの中で、耐えないといけない時が必ずある。鳥栖は今、その時を迎えている。
「自分らしさ」をもう一度振り返り、「できることを出す」ことで苦境を乗り越えてもらいたい。
以上
2005.09.17 Reported by サカクラ ゲン
J’s GOALニュース
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