9月17日（土） 2005 J2リーグ戦 第32節
湘南 0 - 0 京都　（18:04／平塚／5,265人）
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前節の試合で6得点を叩き出した首位・京都を平塚に迎えたこの日、湘南は新戦力の加入に伴う中盤の布陣変更だけでなく、最終ラインにもてこ入れを図った。ケガによって戦線離脱した田村雄三に代わりセンターバックに入ったのは、戸田賢良でもなく村山祐介でもなく、城定信次だった。スタメンに限ればレフティの城定は左サイドバックに起用されることが常だったが、破壊力を誇る京都の攻撃を封じる新たな対策として、上田監督はセンターにバリシッチと城定を並べ、左に村山を置く布陣を敷いたのである。城定を中央に据えたDF陣は果して、指揮官の期待に応えることとなった。

京都は序盤、とくに右サイドの星大輔や鈴木和裕を起点に、パウリーニョとアレモンの2トップにボールを集めた。5分にはアレモンのミドルシュート、続いて星からのクロスをパウリーニョが頭で合わせるなど、湘南ゴールに迫る。対する湘南も村山がアグレッシブな守備でボールを奪い、ゴーランや佐藤悠介との連係で攻め上がるなど同じサイドに活路を見出すが、ポゼッションは京都に譲った。

　パスを回し機を窺う京都だが、しかし2トップにつねに目を光らせる湘南DF陣と、コンパクトに距離を保つ中盤に対し、次第にリズムを失っていく。「最初の15分は押し込まれて不安もあったが、ラインコントロールすることで徐々に落ち着いた」と城定が振り返ったように、湘南の組織的な守備に手を焼き、攻めあぐねた。ボールが動いても人が動かなければ、組織としてのリズムは生まれない。時に垣間見せるパウリーニョのスピードは脅威を示すものの、パスを読まれ、また停滞した攻撃でパスミスを自ら誘発すると、流れは湘南に傾いた。

　湘南は鈴木良和と加藤望の連係により右で起点をつくり、サイド攻撃を目論む。また左の佐藤からの大きなサイドチェンジ、押し上げたゴーランのFWへのスルーパスなどチャンスを幾度か演出した。ゴーランの動きは速度を上げ、アクセントとなる。一方の京都も、最終ラインでゆっくり回しながら時折り見せるリカルドの縦への鋭いパスで、シフトアップを図る。だがいずれも停滞感は否めず、決定機に至らぬまま45分を終えた。

　後半に入り、55分に美尾敦、61分に加藤大志と、京都は両サイドを一新する。また69分にはアレモンに代えて田原豊を投入し、さらに攻撃の活性化を図った。加藤（京都）は右サイドをドリブルで裂いてチャンスを生み出し、田原も積極的にゴールへ向かう。リカルドも素早い攻守の切り替えからペナルティエリアまで侵入してラストパスを送り、ロスタイムには加藤（京都）のクロスからシュートも放った。しかし前掛かりになっても守備の人数を省かない湘南の組織力に、ゴールは遠い。逆に湘南も、ゴーランや吉野智行の攻撃参加、佐藤や梅田直哉のシュートによって競技場を湧かすが、最後までゴールを割ることはできなかった。

「互いに気迫のこもった素晴らしいゲームだった。チャンスを決められなかったのはもちろん残念だが、順当な引き分けだったと思う」アウェイでのスコアレスドローに、柱谷監督は及第点をつけた。「絶対に0点に抑える」というハーフタイムのコメントどおりゲームを運び掴んだ結果は、ホーム＆アウェイの戦いを熟知する指揮官の思惑に叶ったといえよう。過去4試合しかない無得点という結果に終わっても、ダメージを最小限に抑える強度、首位を独走する貫禄を京都は見せた。

「勝ちたかった。でも無失点に抑えたことはよかったと思う。今日のような守備を続けながら、攻撃のかたちを詰めていきたい」センターバックに入り、DFリーダーとして最終ラインを統率した一方の湘南の城定には、無失点の手ごたえと無得点の口惜しさが交錯する。ただ今シーズンの過去2試合、ともに2失点を喫し敗れている首位・京都に対し、最後まで集中を切らさず完封した事実は紛れもない。仙台、福岡と控えている上位チームとの対戦に向け、「続けること」がこの日得た勝ち点1の意味を肉付ける。残り12試合、リーグ戦はいよいよ佳境へと突入する。


以上

2005.09.17 Reported by 隈元大吾