今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第33節 水戸 vs 鳥栖 レポート】10人での戦いを余儀なくされた水戸。伊藤のプロ初ゴールで、第4クールへの弾みと自信につながる勝点3を得る。(05.09.23)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
9月23日(金) 2005 J2リーグ戦 第33節
水戸 1 - 0 鳥栖 (13:03/笠松/2,189人)
得点者:'87 伊藤仁(水戸)
----------

「お金を取って見せる試合ではなかった。凡戦と言うしかない。その凡戦を演出してしまったのは我々だった」

そうゲームを総括したのは、鳥栖の指揮官・松本監督だ。「言い訳になるが羽田からの4時間の移動に加え、今日の天候、蒸し暑さもあり動きが重かった」と選手たちを擁護するコメントも見られたが、「第4クール、プロらしいプレーを求める指導をしたい」と敢えて厳しくコメントを締めくくった。故障者が多く、急遽3−5−2にシフトせざるを得ないなど、チーム状況が苦しい鳥栖ではあるが、それ以前に選手個々のメンタリティから改善しなければいけない現状。今後の建て直しには、相当な時間がかかるような気配を感じた。

前半は、穏やかに、とても穏やかにゲームは進行した。どのくらい穏やかかというと「分単位でのレポートができないぐらいに」と表現したらいいだろうか。水戸はファビオの1トップ。鳥栖はサイドバック不在ゆえの3−5−2。両者ともにリスクを負わない戦い。にわかに降り出した強い雨は、ゲームの穏やかさに拍車をかけた。鳥栖は水戸のワンボランチ・永井の周囲でのプレスを狙う。同様に水戸も、眞行寺がディフェンスに精力的に走り回り、高い位置でのボール奪取を狙う。お互い似たような狙いは『あからさま』で、危険を負わないためにロングボールでの展開に終始した。時折見せるサイドチェンジは、お互いのチームに同様のリズムを与えたが、それ以上のものにはならなかった。

後半、水戸が磯山を投入し2トップにすることでゲームは動いた。ファビオが『不運な退場』でピッチを去り10人対11人の戦いになるまでの13分間。水戸サポーターが『楽しいサッカー』を見ることを許された時間だった。

後半まず見せ場を作ったのは、その水戸。開始早々、左サイドに移った森田にファビオからのパスが通る。そして森田がクロス、磯山スルーの後、ファビオがシュート。鳥栖・ビジュが何とか防いだものの、水戸の攻撃の鋭さを印象づけるには十分だった。続く9分には、関のクロスを磯山がヘッドで鳥栖ゴールへ。しかしこれはオフサイドの判定。鳥栖ディフェンス陣が再び肝を冷やした一瞬だ。水戸は2トップにすることで、外から内という展開が明確になり攻撃にリズムが生まれた。「2トップにすると前でタメができるし、役割がはっきりしてやりやすい(水戸・森田)」と選手たちが確かな手応えを感じた時間だった。

しかし後半13分、ファビオが2枚目のイエローで退場。ここからは、当然ながら鳥栖のペースに移る。直後のFK、折り返しのヘッドが水戸ゴール前で混戦を生み、今にも水戸ゴールに吸い込まれそうなルーズボールを鳥栖・新居が押し込む。ボールはネットを揺らすも、この一連のプレーの中でオフサイドの判定が下りノーゴール。25分には濱田が決定的なスルーパスを通すも水戸・本間が必死の反応。鳥栖が決勝点を挙げるのは時間の問題とも思われた。しかし、数的優位となるサイドからのクロスは精度に欠き、決定的な場面を作るには程遠かった。このあたりが、鳥栖が勝てる試合をするための課題といえよう。

そして終盤、ゲームを決めたのは「スピードで一発勝負できる切り札(水戸・前田監督)」として28分に投入された伊藤と、同じく後半途中から投入された秋田だった。秋田は持ち前の運動量で粘り強くボールを追い、タッチラインを割ったボールをすぐさまスローイン。そのボールを須田がダイレクトで伊藤の前に浮き球で送り、伊藤がダイレクトでシュート。ドライブのかかった美しい弾道は、鳥栖・シュナイダーの手をかすめゴールに吸い込まれた。「気が付いたらファンのところへ走っていた。こういう形で結果が残せて素直に嬉しい(水戸・伊藤)」というプロ初ゴールが決勝点。このとき、残り2分とロスタイム。これだけの時間では、今日の鳥栖になす術はなかった。

今日のゲームで、水戸は何よりも苦しい状況で勝つことができたということが最大の収穫。若いチームだけに、プラスの勢いがついたままの状態で第4クールに入れそうだ。鳥栖の収穫は、自らに足りない根本的なものを思い知ることができたことにつきる。数少ない第4クールの戦いで、今後の鳥栖のサッカーに、そして各選手自身に何かを残せるのか否か。その鍵は各選手自身が握っている。

それでは最後に、今日の注目点のオサライを・・・。

まず水戸の新戦力・ファビオについて:
この18歳はかなりのもの。大きな期待をしてもいい素材。特にボディコンタクトによるボールキープ(当たられるのではなく一度相手にプレッシャーをかける)は秀逸で、このタイプはチームの攻撃に安定感を加える。多少厳しい状況でも相手をひきつけ、周囲に決定機を演出できるFW。

そして鳥栖の新戦力・濱田について:
世代の代表歴もある流石の素材。視野も広いし『嫌なところ』を知っているMF。左足でのフィードは松本監督の評価通りJ1のレベル。コミュニケーションが課題と本人は話すが、すぐに改善されるだろう。決定的な場面を作り出すポジションを、状況に応じて見極めることができるので、『濱田ならあそこに位置するはず』というチームの共通理解が備われば、中盤の欠かせない存在になる。

以上

2005.09.22 Reported by 堀 高介
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着