10月1日（土）J2 第34節 山形 vs 京都（13:00KICK OFF/山形県）
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　第4クールは、これまで積み上げてきたものの最終結果が確定する期間。自動昇格2チームと、「J1・J2入れ替え戦」に臨む3位が確定していくが、その間、ひとつひとつロウソクの火が消えていくように、昇格の可能性が完全に消えていくチームも次々と確定する。その恐怖心を振り払い、つかむべきJ1昇格という目標に向かって、選手たちは最後まで勇敢に立ち向かう。ともに戦うサポーターにとっても、しばらくは胸が絞めつけられるような日々が続く。

　開幕からひとり旅を続けてきた京都の関心は、「昇格するかどうか」から「いつ昇格するのか」に移っている。連敗でスタートした京都の第3クールは、それまでの勢いも止まり、さすがに勝ち疲れが出たかと思われたが、第31節・草津戦では6−0、湘南戦の0−0をはさんで、前節の札幌戦でも4−0と大勝。4年前と同じあの歓喜が待っているであろう第4クールに向けて、すでにギアをトップに入れた感がある。現段階で昇格マジックの対象チーム・山形と対戦することは、モチベーションを保つためにも絶好の機会だろう。

　前節は、柱谷監督が「前半は特に完璧だったのではないか」と語る内容で、京都が己の最高最強の形を遂に見つけた試合でもあった。右サイドの加藤がスペースを利用してドリブル、中へのクロスと縦横無尽の動きを見せれば、前線ではアレモン、パウリーニョが豊富な動きで常に有利な態勢でボールを受ける。そしてその攻撃の手綱を、中盤の斉藤がしっかりと捌いていた。

　大量得点の陰に隠れてはいるが、最近3試合で無失点を続けていることも、目標到達をより確実なものにしている。前節の試合後、米田は「守備に関しては、パウリーニョが引き気味だったので助かった」、鈴木和裕は「フォワード、中盤からディフェンスしてくれたのが大きい」と話しているが、全体のバランスがいかに取れているかをうかがい知ることができる。

　3位・山形は今節の京都に続き、次節では2位・福岡との対戦が控えている。上位との直接対決は、一気に差を縮める可能性がある反面、結果次第ではそのまま引導を渡さる要素もはらんでいる。この機会をチャンスにするか、ピンチになるか。それはまさに自分たちのサッカーを貫けるかどうかに懸かっている。そして、この2連戦をもっともいい形で乗り切ったとしても、山形にとってそこはゴールではなく、次なる戦いのスタート地点に過ぎない。第3クール終了時点で2位・福岡との勝ち点8差、さらに4位以下に続くチームとの僅差を考えれば、一歩も足を踏み外せない綱渡りのような状態が、おそらくシーズンの最終盤まで続いていくことになる。

　第3クールでは、安定した守備を背景に勝ち点を着実に積み重ねてきたが、前節の徳島戦では1−2と敗れた。ボールポゼッションやシュート数で相手を上回りながら勝てない試合はこれまでもあったが、この試合では、スコア以上に失点パターンに不安を残している。2点ともサイドを割られ、人数を掛けて対応しながらゴール前にボールを入れられ、さらにゴール前の対応でも後手を踏んでいる。最近では見られなかった、完全に崩されての失点に、「守備面でバランスが悪く、ボールの奪いどころが定められなかった」と鈴木監督は試合後に話している。首位・京都から勝ち点3を奪うのであれば、J2最少失点の誇りと自信を取り戻していなければならない。

　過去の直接対決では、京都２連勝のあと、山形が一矢を報いている。山形が勝利した第3クールの対戦は、前半19分にセットプレーで挙げた1点を、中断期間を掛けて再構築した守備で守りきったもの。その試合でさえ、押し込んでいたのは京都のほうだった。恐らく今節も、「押し込む京都・しのぐ山形」の図式が予想されるが、スコアが動くことで、試合は違った展開を迎える。注目すべきは試合の序盤。前半15分と言わず、前半5分、いや、キックオフの笛が鳴ったときの空気に、90分間の行方を占う何かが見えるかもしれない。

以上

2005.09.30 Reported by　佐藤円