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【J2:第34節 山形 vs 京都 レポート】パウリーニョ、ハットトリック達成!京都が山形に格の違いを見せる。(05.10.01)

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10月1日(土) 2005 J2リーグ戦 第34節
山形 0 - 3 京都 (13:04/山形県/4,074人)
得点者:'8 パウリーニョ(京都)、'78 パウリーニョ(京都)、'87 パウリーニョ(京都)
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2節前にナイトゲームが終わり、山形の残りのホームゲーム6試合はすべて日中に行われることになるが、スタジアムでは早くも照明灯の復活となった。風 もなく肌寒さは感じないものの、曇り空からは冷たい雨が落ちていた。このどんよりとした敵地スタジアムを、自分のショータイムに変えていったのはパウリーニョ。タイプが異なる3つのゴールで、プロになって初めてというハットトリックを達成し、得点ランキングで甲府のバレーを抜いてトップに躍り出た。

開始8分、ボールをさらった中払が左サイドで一人かわして上げたクロスを頭で合わせ、まずは先制。
後半33分には、中央で山形のパスが合わずル−ズになったボールを斉藤が拾い、すかさず前のスペースへ放り出す。GK桜井も反応し、クリアしようとペナルティエリアから飛び出してきたが、パウリーニョが先に追いつき、無人のゴールにループシュートを放った。
さらに42分、中払のドリブル突破を、ボックスの一歩外、あわやPKという位置で得たフリーキックを決めた。味方が空けた壁の隙間からネットに突き刺すダメ押し点となった。

これだけでもマン・オブ・ザ・マッチ級の活躍だが、この試合では守備での貢献度も非常に高かった。ボールをキープする山形のボランチが少しでももたつけば、すかさず後ろから襲いにかかった。前半40分には、キーパーへのバックパスに飛びかかり、ファウルを取られなければ追加点というシーンもあった。これで山形は自陣でボールを扱う際に、大変な緊張を強いられることになった。

得点力のある2トップを擁する京都を相手に、山形がもっとも恐れていたことは、先制点を許すこと。鈴木監督は「(得点力のある京都を相手に)早い時間帯で1点を失うということは、かなりチームに負担が掛かるということで、『それだけは絶対にしないように』と話をして」送り出した。だが、その恐れていたことがたった8分で現実のものとなった。しかも、見ようによっては余計なミスで。

開始1分、レオナルドの縦パスが味方ではなく、中払の正面を突く。中払はしめたとばかりにドリブルで突破を図ろうとするが、これは慌てて飛んできた大塚がイエローカードと引き換えに阻止した。そして8分、レオナルドがパウリーニョのプレスをかいくぐり深い位置でボールを拾う。セーフティに前に蹴り出すことのできる場面でも、かわしてキープするのがレオナルドのいつものプレーだが、さすがにこの日はそれが仇となった。コントロールミスを見逃さなかった中払が奪うと左サイドに切れ込み、対応した臼井も抜かれ、先制につながるクロスを上げられた。立ち上がりからロングボールでディフェンスラインを下げ、スペースが空いたところでパスをつなぐ……1週間を掛けて準備したゲームプランは、たった8分で吹き飛んでしまった。

1点を先制されたあとは、引いてカウンターの態勢に入った京都が立ちはだかっていた。
山形の2トップは、スペースが狭められたディフェンスラインの近くにいてはボールが受け取れない。かと言って、中盤まで下りて受けようとすれば、米田、斉藤ががっちりと食らいついてくる。その苦しい状況の中、プロ初先発となった田中が前半に3本のシュートをすべて枠内に飛ばしたが、いずれも平井が落ち着いて対処した。

後半開始直後、左サイドで高橋、大塚、永井、内山が絡んでボールが回ったり、そのあとに高橋が中央でのドリブルから左サイドの阿部のクロスにつながったが、得点には至らず。10分過ぎからはカウンターを浴びる防戦となる。代わった田原のシュートを飛び出して至近距離で弾いた桜井の好プレーもあったが、後半33分と42分に失点した。

2強との2連戦、その初戦を黒星でスタートした山形は、甲府に得失点差でかわされ4位に後退した。
自動昇格への執念はあり、モチベーションが低いわけではなかったが、先制された後はほとんど為す術がないまま、ただただ格の違いを見せつけられるだけに終始。この試合の3失点で、J2最少失点の座も京都に明け渡すことになった。ミスがすべてを狂わせる。値のつけようもないほど高い授業料を支払うことになった。

11差に広がった福岡との勝ち点を再び8差に戻すため、次節、重い使命とともに敵地・博多の森に乗り込む。

京都は前節の4得点に続き、この試合でも3得点。最後には無失点にもこだわり、見事に成し遂げた。これで4試合連続の完封。J1復帰まで、最短で次節。意識するなと言うほうが無理であろうカウントダウンのなかで、しかしそれに振り回されない王者の風格が、今の強い京都には備わっている。

「本当に自分たちで昇格というものを手に入れたり、優勝というものを手に入れたときには素直に喜んでいいと思うんですけども、まだ何も実際には手に入れてない」

柱谷監督は、チーム全員が自分と同じ気持ちを持っていることを確信していた。もう逃げない、本当の歓喜をつかむ瞬間まで、京都は高い志で戦い続ける。

以上

2005.10.01 Reported by 佐藤円
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