10月1日(土) 2005 J2リーグ戦 第34節
鳥栖 2 - 0 仙台 (14:04/佐賀/6,722人)
得点者:'2 新居辰基(鳥栖)、'83 鈴木孝明(鳥栖)
----------
ホームゲームの優位性はどこにあるのか…。使い慣れたピッチ、サポーターの後押しなど色々な要素が考えられる。今節の鳥栖は使い慣れた鳥栖スタジアムではなく、佐賀県総合運動場陸上競技場で仙台を迎え撃った。ピッチも違えば、サポーターの声援もいつもより遠い位置から聞こえてくる。そのうえ、10月に入ったとは言え、試合開始前には32度を超える暑さになってしまった。選手にとっては、恵まれた環境とは言いがたい。
しかし、その逆境を鳥栖は見事に跳ね返した。その理由はどこにあるのか。
鳥栖は、試合開始から2分で得た左サイドからのCKというファーストチャンスをものにした。高橋から放たれたボールは弧を描いて中央で待ち受けた矢野のヘディングを経由して新居のオーバーヘッドキックを生んだ。この1点は、仙台の出鼻をくじく先制点となり、鳥栖の戦い方を明確にした。
「暑さは敗戦の理由にはならない」と仙台の菅井は試合後に語ってくれたが、今節の仙台は前節に見せた見事なサイド攻撃が見られなかった。気候のせいだけではないだろうが、パスがつながらず単調な攻撃に終始してしまった。都並監督は様々な手を打って流れを引き寄せようと試みたが、最後まで叶うことはなかった。
試合開始から数分後には、サイドDFに高めに位置するように指示を出した。鳥栖の右サイドにスペースができると見ると、左右のMF大柴と財前を入れ替えた。鳥栖DFビジュが負傷退場すると大柴をさらに前線に上げて3トップ気味にして追いつこうと試みた。
後半に入ると、FWシュウェンクに代えてMFに梁を投入。MF千葉を投入してシルビーニョを前掛かりに配置した。中盤に厚みが増した分、ボールは支配できた。さらにDF村上に代えてFWに萬代を入れることで、より攻撃的に攻め立てた。が、サイド攻撃で崩すことなく、長短の縦攻撃に終始して鳥栖の必死のクリアを受けることで終わってしまった。前節見せてくれたパスをつないでのサイド攻撃は、数えるほどしか見せることができなかった。
鳥栖は良く耐えて反撃する機会を狙っていた。多様な手を打ってくる仙台の攻撃に、選手一人一人が冷静に対処した。
前線では新居がボールを追い続け、パスコースを限定して行った。中央では井手口がボランチの位置でパスカットを試みた。ロングフィードには矢野がヘディングで跳ね返した。バロンの高さには、加藤が必死に食い下がった。飯尾はDFラインをコントロールして仙台FWをフリーにすることはなかった。サイドに流れたボールには、山道と立石が持ち前のスピードで対応した。最後までシュナイダー潤之介はゴールを許さなかった。
最後まであわてることなく、局面を一つずつ跳ね返していった結果、今季の対仙台戦3試合目の無失点ゲームを演じた。対仙台戦で失点したのは、前回の対戦で0−1と敗れた試合だけである。
試合後に松本監督は仙台戦に試みた作戦の一部を披露してくれた。仙台の生命線である「攻撃のホットラインを寸断すること」(松本監督)を選手に伝え、選手が応えた結果、3勝1敗で仙台との今季の対戦が終了した。
暑さで仙台のペースが狂ったわけではなく、鳥栖が仙台の攻撃を狙った形ではめ込んだのである。「鳥栖の狙った戦い方にはまってしまった」と試合後に都並監督はコメントせざるを得なかった。
シュート数はわずかに11本対8本で鳥栖が上回った。CKは仙台の方が多かった。鳥栖の得点は、開始早々のCKと終了間際のPKである。集中力の差が出たのかもしれない。FKの数は、鳥栖の31本に対して仙台は16本と、仙台は流れを掴むきっかけを鳥栖に圧倒的に与えていた。昇格を狙うチームには取りこぼしは許されないが、この日の仙台は自らの手で流れを手離してしまった観がある。次節の結果次第では、昇格の椅子が一つ決まってしまう。
この試合の内容を両チームはポジティブに取るのかネガティブに取るのか…。7位に浮上した鳥栖は「まだ可能性が残っている」といえ、3位と勝ち点3差の6位に後退した仙台は「痛い星を落とした」と言える内容だったかもしれない。
以上
2005.10.01 Reported by サカクラ ゲン
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第34節 鳥栖 vs 仙台 レポート】第4クール初戦、狙った形で白星発進した鳥栖と術中にはまってしまった仙台。(05.10.01)













