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【J1:第27節 F東京 vs 広島 レポート】F東京、脅威の粘りで2度の同点劇。広島は勝ち点1の悔しい試合。(05.10.15)

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10月15日(土) 2005 J1リーグ戦 第27節
F東京 2 - 2 広島 (15:04/味スタ/20,136人)
得点者:'55 前田俊介(広島)、'76 阿部吉朗(F東京)、'82 佐藤寿人(広島)、'83 馬場憂太(F東京)
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2度のビハインドを追いついて引き分けに持ち込んだF東京の選手たちを、ゴール裏はいつもの歌で出迎えた。
「Walk on, walk on with hope in your heart, and you'll never walk alone, you'll never walk alone.(歩き続けよう、お前らの希望と共に。お前ら一人じゃないぜ。どこまででも俺たちはついていく)」

F東京は2度先行される苦しい展開を強いられた。
特に82分に広島・佐藤寿人に決められた場面では、その佐藤自身が「あの時間帯に点が取れたので大丈夫だと思った」と振り返るように、一気に苦境に追い込まれた。最近では失点は増えて来つつあるが、ただサンフレッチェ広島の守備力には定評がある。原博実監督自身も「広島は非常に失点が少なく、やることがはっきりしているチームですし、守備が固い」と印象を述べているほどだ。その広島の前半の試合内容を思い浮かべれば、残された短い時間のうちにF東京が1点を追いつくのは難しい仕事に思われた。
ただ、そうした追い込まれた場面の中でF東京は底力を見せた。
「集中して相手のキックオフを迎えたんですが、横パスとか下げさせなければらならないところでタテに行かれたのが残念でした」(広島・佐藤)
83分、F東京が2度目の同点ゴールのきっかけをつかんだのは鈴木規郎によるタテへの強引な突破。キックオフ後のボールをつなぎ、タテに抜けた鈴木がマイナスに折り返したボールを馬場憂太が落ち着いて右足で合わせた。スタジアムは劇的な展開に大いに盛り上がった。

前半は退屈ですらあったが、大きく試合が動くきっかけとなったのは、55分に広島が奪った1つのゴールだった。この得点は、起点となった森崎和幸のプレーが全てだった。中盤でプレスに来た選手をボディーバランスだけでかわして展開。トップの佐藤に入ったボールを森崎自身がフォローし、最後は前田俊介が精密な左足でねじ込んだ。
1点のビハインドを追いつくために、F東京・原監督はカードを切っていく。56分の鈴木の投入に続き、66分には宮沢正史に代えて金沢浄を投入。右サイドバックで先発した今野泰幸をボランチに戻している。また71分にはルーカスに代えてササ サルセードをピッチに送り出し、反撃の体勢を整えた。
76分の阿部吉朗による美しい1度目の同点ゴールは、その直前にピッチに姿を現していたササの頭を経由したものだった。
「彼(ササ)を入れる場合には細かくつなぐよりもシンプルに使う方がいいと、最近になってわかってきましたので、よけいな事はせずにシンプルにサイドから入れさせる。その時にはルーカスよりも阿部の方が狙っていくだろうと思い、またルーカスはちょっと疲れていたこともありますし、阿部を残しました」(原監督)
まさに原監督の読み通り。

82分に佐藤に奪われた勝ち越しゴールは、CKのクリアボールが鈴木の後頭部に当たるという不運な形がきっかけとなっていた。その失点の直後、F東京は「痛み」の残るその鈴木が起点となり、馬場に合わせて同点に追いついたのである。言葉は悪いが、F東京にとってはある意味自作自演のような試合だったとも言える。ただ、2度先行されながら追いついた試合展開に対して、ゴール裏は支持を表明した。ポストを2度叩く場面があるなど、勝つチャンスは十分にあったし、原監督の采配も悪くはなかった。そうした試合展開を評価しての反応だったのだろう。思うように勝ち点は伸ばせないでいるが、こうした苦しい時期を経験しておくのは、長い目で見ればチームを成長させるという意味で悪くはない。

一方、2度のリードを守れなかった広島は、徒労感の残る試合だったと言える。特に2度目の同点劇の対応に悔いが残る。ただ、来季以降を見据えた時に、ここで踏ん張って上位に顔を出すことに意義はある。勝ち点を40に乗せ残留は確実だと思われるが、こちらも長期的なチームの成長のために上位を目指した飽くなき挑戦を続けてほしいところだ。


以上

2005.10.15 Reported by 江藤高志
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