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【J2:第36節 鳥栖 vs 草津 レポート】一つのプレーで流れをつかんだ鳥栖と先制点を生かしきれなかった草津。勝利の影には輝かしいメモリアルゴールが・・・。(05.10.15)

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10月15日(土) 2005 J2リーグ戦 第36節
鳥栖 4 - 1 草津 (14:00/鳥栖/5,122人)
得点者:'30 チカ(草津)、'44 濱田武(鳥栖)、'44 鈴木孝明(鳥栖)、'48 新居辰基(鳥栖)、'62 鈴木孝明(鳥栖)
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第4クールを連勝で発進した鳥栖。目標は「第4クールをリーグ最高の成績で終了する」(松本監督/鳥栖)こと。その言葉どおり、今節もホームで見事な逆転勝ちを見せてくれた。その勝利を導いたのは、第32節から移籍加入した濱田の右足だった。

試合開始から、両チームとも前線にボールを送り続けた。鳥栖は、左右のMF高橋と濱田が自由に動き回り、パスコースを作っていった。できたスペースにはFWの新居と鈴木が飛び込んではチャンスを狙った。その甲斐あって、立て続けにFK・CKを得たが、先制点のチャンスを生かしきれず自分たちの形を次第に崩していった。
草津も奪ったボールを積極的に前線へ放り込んだ。樹森を走らせ、佐藤の頭上を狙って行った。しかし、精度が悪くバイタルエリアで勝負する事ができない。両チームとも間延びし始め、互いに相手ゴールの近くにボールを運んでは蹴り返される無策の時間が経過して行った。

このような状態を打破する戦術と技術が無い場合には、セットプレーかカウンターで得点する事が考えられる。言い換えるとワンチャンスからの失点は、相手に流れを渡すだけでなく楽に戦わせてしまうことになる。この日の試合は、このワンチャンスの生かし方で勝敗が決した。

両者の対戦での決着は、セットプレー(第9節・第16節)とカウンター(第23節)からの得点が決勝点となっている。それだけに松本監督は練習の中でセットプレー対策に多くの時間を裂いていた。しかし、先制点は草津のセットプレーから生まれた。30分に右CKからチカの打点の高いヘディングが決まったのである。これで、優位に立てるはずの草津だったが、ゲームを支配できる強さは持ち合わせてはいなかった。得点前と同様にひたすら前線にロングフィードを繰り返していた。そうなると鳥栖にもセットプレーのチャンスは訪れる。その中にこの試合のターニングポイントになったFKがあった。

前半終了間際の44分、草津ゴール正面25mのところにボールはセットされた。草津の壁は5枚、GK岩丸は壁の隙間からキックを覗き見るが、鳥栖の巧妙なプレーに阻まれた。井手口と新居が壁の前に片膝を付いて視界を遮ったのである。蹴る瞬間が見えないとGKの反応は遅れてしまう。濱田の蹴ったボールは何事も無くゴール右隅で同点弾となって突き刺さった。「全く見えなかった」(草津GK岩丸)と嘆かせる技ありのFKだった。

鳥栖は、ここから草津との違いを見せた。草津は得点後も単調な攻撃を繰り返したが、鳥栖は立て続けに攻撃を仕掛けロスタイムにCKを得た。このCKは草津に一度はクリアされたが、危険回避とはならず高橋の中央からのシュートを受けた。DFに当たってこぼれたボールは、ゴール前で待ち受ける鈴木が簡単に右足で流し込んだ。
同点弾からわずかに1分後の逆転弾である。同点後に草津が冷静に対応していれば、展開が変わっていたかもしれないだけに草津には悔やまれる失点だった。

後半に入ると完全に流れは鳥栖に傾いていた。後半3分には濱田からパスを受けた新居が冷静にGKとの1対1を制し3点目をあげると17分にはこの試合2点目となる鈴木が技ありのゴールを決めた。
「気持ちを切り替えないままに後半に入ってしまった」(鳥居塚/草津)と草津は成す術を見つけられないまま、後半は一方的に鳥栖に押し切られてしまった。

鳥栖は後半に入った高林がワイドにボールを散らす事で、草津の守備を混乱させた。濱田に代わって入った佐藤は、第16節の草津戦以来の出場でスタジアムを喜ばせた。加藤の代わりに入った一柳は、草津のシュートチャンスの芽を確実に摘んでいった。一方の草津は、後半から山口を入れて起点を作ろうとしたが、思うようにプレーをさせてもらえなかった。依田も有効打を放つことなく守備に追われた。パワープレーを喫して入れた宮川はシュートを打つことなく終了を迎えた。鳥栖は、掴んだ流れを選手交代で確実にものにする事により、時間と共に勝利を確定付けて行った。

濱田の移籍後初ゴールの影になってしまったが、逆転弾となった鈴木のゴールは鳥栖のJリーグ通算300ゴールであり、新居のゴールはJ2リーグ全チームから奪ったものとなった。いずれのゴールも今季を振り返るときに語らずには居られないものである。勝利の影には輝かしい記録も残っている。若いチームが少しずつ自信をつけて行っていると感じさせる試合であった。

以上

2005.10.15 Reported by サカクラ ゲン
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