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【J1:第28節 鹿島 vs 名古屋 レポート】タイトル争い生き残りを狙う鹿島。本来の勝負強さを発揮し、G大阪と勝ち点2差に(05.10.22)

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10月22日(土) 2005 J1リーグ戦 第28節
鹿島 1 - 0 名古屋 (15:04/カシマ/15,165人)
得点者:'59 本山雅志(鹿島)
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「自分たちのやりたいサッカーができなくてアントラーズもいやだったと思う」と秋田豊は言った。

かつての同じユニフォームを来て黄金時代を築いた先輩が話すように、前半の鹿島アントラーズは確かにリズムが作れず苦しんだ。決定機も前半14分、深井正樹からのクロスにアレックス ミネイロがゴール前で合わせたシーンくらい。ある意味、名古屋グランパスが主導権を握っていたのかもしれない。

しかし最終的には、鹿島の「優勝への高いモチベーション」が勝った。本山雅志の2ヶ月ぶりのゴールが決勝点となり、彼らが勝ち点3をキープ。首位を走るガンバ大阪との勝ち点差を再びに2に縮めた。

2005年J1も残り7試合。22日のカシマスタジアムでは、時折、小雨の舞う曇天の中、鹿島対名古屋の一戦が行われ、鹿島が1−0で辛くも勝利。勝ち点を52に伸ばした。

前節のジュビロ磐田戦の引き分けが響き、G大阪との勝ち点差を5に広げられてしまった鹿島。ここで敗れるようだとシーズン当初からの一大目標である『優勝』の可能性が一気に遠のくことになる。彼らはトニーニョ・セレーゾ監督の今季限りの退団を発表するという大ナタを振るってまで勝負に出た。

この日のスタメンはGK曽ケ端準、DF青木剛、岩政大樹、大岩剛、新井場徹、ボランチ・リカルジーニョ、フェルナンド、2列目・小笠原満男、深井、FW本山、アレックス ミネイロ。負傷から復帰したばかりのアレックス・ミネイロはベンチスタートかと思われたが、絶対に負けられない一戦ということで強行先発した。対する名古屋はGK楢崎正剛、DF増川隆洋、古賀正紘、ボランチ・クライトン、安英学、右サイド・杉本恵太、左サイド・大森征之、2列目・藤田俊哉、中村直志、FW中山悟志の3−6−1だ。

小気味いいボールポゼッションでチャンスを作りたい鹿島に対し、名古屋は高さと強さを兼ね備えた3バックを軸に分厚い攻めを見せる。相手のミスを誘い、中盤で奪ってカウンターを繰り出そうと試みる。

だが、フィニッシュに至る手前でミスを連発するなど詰めが甘い。出場停止の豊田陽平に代わってピッチに立った中山もクサビ役を十分にこなせず、2シャドウが飛び出すタイミングも乱せない。藤田も「攻撃が孤立してしまった」と悔やんだ。そんな名古屋を鹿島も圧倒することはできず、前半はほとんど見せ場のないまま0−0で終わった。

ハーフタイムに入り、G大阪の負けを聞いた鹿島イレブンは勝ち点3確保への意欲をより一層燃やした。そして後半開始早々、本山からのボールを左サイドに開いて受けた深井が鋭いクロスを上げ、飛び込んだアレックス ミネイロがフリーでヘッド。これはゴールネットを揺らしたかと思われたが、わずかにクロスバーを超えた。

だがこの一撃は常勝軍団の目を覚ますのに十分だった。迎えた後半14分、中央でボールを受けた本山が一旦新井場に展開。ぺナルティエリア少し手前で再びボールを受け、そのまま思い切り右足を振りぬいた。「毎日シュート練習をしているんだから1本くらい入んないかな」と思ったという彼のシュートはゴール右スミに突き刺さり、ついに均衡が破れた。鹿島にとっては喉から手が出るほどほしい先制点だった。

「1点取った後、しっかりとパスを回して不用意なことをしなかった。それもチームの成長の証だと思う」とトニーニョ・セレーゾ監督が語ったように、リードした後の鹿島は本来の正確なボールポゼッション取り戻した。無理にゴールを狙うこともせず、戦況を見つめながらボールを動かした。8月中旬のJ1後半戦突入後、非常に失点の多かった最終ラインも安定感を見せ、相手に危ない場面を作らせなかった。「今日は相手も前に出てこなかったし、余裕を持って守れた」と大岩も胸を張った。

連敗を阻止したい名古屋の中田仁司監督は20分過ぎに本田圭佑と山口慶を投入。前線を本田と杉本の2トップにして攻めの起点を作ろうと試みた。39分には山口から本田、そして中村へと速いパスがつながったが、中村がぺナルティエリアで思い切ってシュートを打つことができず、数少ない得点機も潰えた。名古屋の交代枠はもう1枚残っていたが中田監督はそれを使わず、パワープレーに出ることもしなかった。

最終的に名古屋は1点という厚い壁に阻まれ、前節の川崎フロンターレ戦に続く連敗。カシマスタジアムでの連敗を17に伸ばすという不名誉な記録まで作ってしまい、順位も11にまで落とした。

逆に逆転優勝を狙う鹿島にとっては非常に意味のある勝利だったに違いない。「この勝ち点3はチームの勢いにつながる」と岩政も力を込めて言った。「残り6試合全部勝って優勝したい」と殊勲の本山も強調した。この1勝を機に、首位・G大阪を追い詰めることができるだろうか。これからの戦いがさらに興味深くなってきた。

以上

2005.10.22 Reported by 元川悦子
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