
ナビスコカップ予選リーグ第1節大分戦を3−1で制し、順調なスタートを切った千葉だが、予選リーグ第2節柏戦は1−2の逆転負け。市原臨海競技場でのJリーグ公式戦不敗記録が途切れて嫌なムードになりかけたが、予選リーグ中断が奏功した。予選リーグ第3節F東京戦では、体調不良や負傷で出遅れた新外国籍選手のMFポペスクが初スタメン。引き気味で守るF東京に焦らず対応した千葉は、後半のF東京の反撃に耐えてポペスクの値千金のゴールを守り、1−0の勝利で柏とともに首位に立った。この一戦を引き分けていたら、千葉の選手は自信を得られず、予選リーグ第4節柏戦の5−1という大勝はなかったかもしれない。予選リーグ第5節大分戦は決定力を欠き、1−1に追いついての引き分けだが、首位の座を守った。だが、予選リーグ第6節F東京戦は集中力の欠如からミスが出て、前半に2失点。しかし、立て直しを図った後半に3点を奪って逆転勝利した。
磐田との準々決勝の第1戦は3−2で競り勝ったが、第2戦はMF羽生直剛が出場停止に加え、FWハースが負傷欠場。2度のリードを追いつかれたが、磐田に逆転は許さず2−2で試合を終えた。千葉にとって決勝進出の最大の難関は準決勝で対戦する浦和だった。オシム監督が就任した2003年以降、千葉は浦和戦での勝利がなかったからだ。第1戦は浦和の猛攻を粘り強くしのぎ、試合開始早々に先制点を奪ったFW巻誠一郎の追加点、ポペスクのダメ押しゴールで3−1。1点差負けでも決勝進出となる第2戦は浦和の気迫に圧倒され、前半に2失点した。しかし、千葉が修正を図った後半に浦和が退場者を出したこともあり、MF阿部勇樹の得点で2−2の引き分けに持ち込み、決勝進出を果たした。
千葉の魅力はピッチにいる11人全員が連動して展開する『攻撃サッカー』だ。個人技に長けた選手が少ない分、オシム監督はサッカーの基本である『走り』の量と質を高めることを選手に求めた。そして、千葉は2列目以降の選手が次々とFWを追い越してゴール前に走りこみ、ダイレクトパスをつないで波状攻撃を仕掛けるサッカーを構築してきた。
その攻撃面では昨シーズンからいくつかの変化が見られる。これまでの阿部は中盤のバランスを意識して、自ら点を取りに行くプレーをセーブすることがあった。しかし、ダブルボランチを組むMF佐藤勇人との連係がより一層強化された今シーズンは、積極的に前に上がって得点している。また、セットプレーのキッカーといえば阿部だったが、今シーズンは新加入のハースやDFストヤノフを含めた複数の選手がキッカーを務める。プレースキックを蹴ることが少なくなった阿部がゴール前にいて得点というシーンも珍しくない。
さらに、ボールキープ力に優れたハースの加入によって「ペナルティエリア内でのプレーが増えた」と話す巻は、今シーズンの得点数が示すようにストライカーとして成長した。そして、これまでもDFの攻撃参加が度々見られた千葉だが、今シーズンは特にストヤノフやDF結城耕造のオーバーラップが目立つようになった。中盤の選手の前線への飛び出しは各チームに研究されてきたが、『全員攻撃』のバリエーションを増やしている。
その一方で、リスクを冒しながら人数をかけて攻める分、千葉は失点が少なくない。だが、リーグ戦第23節東京V戦、第24節大宮戦のように、相手のシュートミスに助けられた点もあるが、試合内容は悪くとも集中力を維持して無失点に抑え、1−0で勝つ試合ができるようになった。さらに本来の3バックだけでなく、4バック、さらにスクランブル状態での2バックでのプレーも可能と、システムに対する選手の柔軟性も高まった。
また、ナビスコカップでの敗戦は1試合のみ、リーグ戦では第28節終了時で首位のG大阪、2位の鹿島と同じ6敗と、今シーズンの千葉は負け試合が少なくなった。同点弾を許して引き分けてしまった試合もあるが、前半の出来の悪さを後半にきっちり修正し、引き分け、あるいは逆転に持ちこめる粘り強さが身についてきたといえる。
とはいえ、爆発的な攻撃力を持つG大阪と打ち合って勝てるほどの攻撃力は備わっていない。昨シーズンのリーグ戦は2試合とも追いつかれて2−2で引き分け、今シーズンのリーグ戦第8節は3−1で勝利というように、G大阪に2点以上取られると勝ちきれない可能性が高い。決勝戦はハースが出場停止で欠場することもあり、G大阪の猛攻に粘り強く対処して失点は1点以下に抑え、決定機を確実にモノにする戦いがベストだ。2−1、欲をいえば3−1が千葉の勝ちパターンだろうか。オシム体制3年目で磨きがかかった千葉のサッカーをしっかりと体現すれば、悲願の初タイトル獲得が夢に終わることはない。
2005.10.25 Reported by 赤沼圭子
















