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【J2:第39節 甲府 vs 湘南 レポート】自動昇格も射程距離に入った甲府。強烈なラストスパートで夢のゴールテープを切る(05.11.06)

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11月6日(日) 2005 J2リーグ戦 第39節
甲府 5 - 2 湘南 (14:04/小瀬/6,324人)
得点者:'41 長谷川太郎(甲府)、'52 倉貫一毅(甲府)、'58 長谷川太郎(甲府)、'60 バレー(甲府)、'65 藤田健(甲府)、'85 中町公祐(湘南)、'86 柿本倫明(湘南)
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今期、一番流れのいい時期を甲府は迎えている。バレーの復帰後3連勝、それも12ゴールと攻撃力の高さを最も高いレベルで発揮。2位・福岡が2連敗と足踏みをしており、ホームでの直接対決(第43節)までの3試合で、今の勝ち点差5を3に縮めることが出来れば、自動昇格の2位は現実的になる。逃げる福岡の方がプレッシャーが大きいだけに、可能性は充分にあると言っていいだろう。

雨のゲーム、立ち上がりは甲府以上の運動量を発揮する湘南を攻め切れなかった。サイドからクロス、センタリングを入れるものの、180cmを超えるディフェンダー4枚に跳ね返されるばかり。繋ごうとしても、早い戻りで数的有利な状態を作る湘南のゴール前では、なかなか前を向かせてもらえない。湘南ボールになれば、サイドの坂本、加藤がディフェンスラインの裏とGK阿部の間に、速くて低いアーリークロスを突き刺し、梅田、柿本の大型ツートップが積極的に飛び込んでくる。湘南は来季に繋がる意図のあるサッカーの片鱗を見せた。

これまでの甲府なら湘南が先制する可能性は充分にあった。しかし、今の甲府は攻撃力だけではなく、守備力も高まっている。アライール・秋本のセンターバック、杉山・山本のサイドバックの4人が、高いラインと身体を張って跳ね返し続ける。井上の代わりに左サイドに入った山本は、前節、奈須の代わりに中盤の底でプレーした選手だが、自身の対応能力とチームの選手層の厚さを証明するプレーを見せた。毎試合、プレーすることに飢えた選手たちが甲府の点火剤となっている。チャンスを貰えば闘える自信のある選手が何人も控えているのか強みだ。

そして、30分を過ぎるとゲームの流れは徐々にカウンターの応酬となっていく。その中で目立ったのは甲府・藤田の身体を張ったプレー。テクニシャン・藤田は激しい身体接触があるプレーを多く見せないが、このゲームは違った。湘南のダブルボランチ(佐藤、吉野)に対して強いプレッシャーをかけて、「守」から「攻」へのきっかけを何度も作る。相手のボランチから奪ったボールは即、甲府のチャンスに繋がった。主導権争いは徐々に甲府に傾きつつあった。そして、41分にバレーが蹴ったフリーキックを長谷川が触って、コースの変わったボールが湘南ゴールに突き刺さる。この先制ゴールは後半に甲府が魅せるゴールショーの予告となる。

雨が更に強くなってきた後半。中盤の支配権を徐々に確立していた甲府は、52分に倉貫が中央突破からゴールを決めて2−0。6分後には、長谷川が2得点目を決めて3−0。更に2分後、長谷川→倉貫と繋いで、最後はバレーがディフェンダーを振り切るドリブルから4点目を決める。バレーのスピード・強さ、藤田、倉貫、長谷川のテクニックが光った4得点だった。そして、5点目は「守」から「攻」へのダイレクトな意識が生み出す。65分、甲府ボールになった瞬間、石原がワンタッチのロングパスを長谷川に出し、ドリブルで左サイドに切れ込んだ長谷川が入れた低いクロスが5点目のゴールに繋がる。石原は長い距離を走って、そのボールに飛び込んだが、届かず、ファーに入った藤田が決める。石原は甲府のオフェンシブプレーヤーの中で唯一ゴールを決めることが出来なかったが、長谷川へのロングパスはゴールに匹敵する判断だったと言っていいだろう。

甲府は得失点差でも有利になる5点差で勝つはずだったが、終了間際に2点を失う。最後の5分間に失った2得点(85分・中町、86分・柿本)は、湘南の意地でもあり、来期への希望でもあった。甲府の選手が気を抜いたとは言わないが、足が止まり、数少ない湘南の前線の選手に対するマークの意識が曖昧で、数的優位でも明確にマークをしている選手は誰もいないという状態だった。2失点目はクロスを入れた加藤への寄せも甘いし、ゴール前では3人のディフェンダーに対して湘南の選手は柿本一人だったが、彼の周りにいただけで誰も身体を寄せて競っていなかった。

点差が広がっていなければこんなことはなかっただろう。それだけの信頼感はある。しかし、大木監督は記者会見で「今日は残念なゲーム」と不満を最初に表した。連勝を伸ばしてJ1を掴み取るまで、大木監督は「それでいい」という言葉は殆ど使わないだろう。選手を追い込んで、最後の京都戦までチームを成長させなければ生き残れないからだ。今の甲府は好調なのではなく、第4クールでも成長しながら戦っているだけだ。1年をかけて、大木監督、クラブ、サポーターが育ててきたチームが、栄光の瞬間を迎えるまで甲府は成長しながら勝っていくことができるのか。残り5ゲームは全てが決勝戦だ。

以上

2005.11.6 Reported by 松尾潤
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