11月12日（土）J1 第30節 鹿島 vs Ｆ東京（16:00KICK OFF/カシマ）
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　10月30日の前節、苦手・セレッソ大阪戦を相手に首尾よくドローに持ち込み、首位・ガンバ大阪との勝ち点差を1に縮めた鹿島アントラーズ。11月3日の天皇杯4回戦・ホンダロック戦（7−0で勝利）を挟んだが、チームとしては2週間の十分な調整期間を得ることができた。怪我に苦しんでいた小笠原満男、リカルジーニョ、フェルナンドら主力たちも揃って復帰。ほぼベストメンバーでF東京戦に迎えられそうだ。その間、首位を争うライバル・G大阪はナビスコカップ決勝、天皇杯と過密日程を強いられ満身創痍の状態。鹿島にとってはまさに首位再浮上のビッグチャンス。ここで勝ち点3を奪い、悲願のタイトル奪取に向けて一気に加速したいところだ。

　2005年J1もあと5試合。第29節を終わった現時点では、鹿島が勝ち点53の2位、F東京が勝ち点38の9位。鹿島にしてみれば首位がすぐそこに見えている状態だが、浦和レッズ、セレッソ大阪らに追走されているのも事実。もはや取りこぼしは絶対に許されない。残り5試合を鹿島での6シーズンの集大成にしたいトニーニョ・セレーゾ監督はこの2週間、終盤戦に備えてじっくりとチーム状態を整えた。天皇杯では疲労の濃い青木剛、新井場徹、深井正樹らを休ませ、出場機会の少なかった選手にチャンスを与えた。それによって改めてチーム内の競争意識を煽るとともに、主力の連携を強化したのだ。

　10日の紅白戦では小笠原、リカルジーニョ、フェルナンドも復帰。小笠原と深井が2列目を担い、リカルジーニョとフェルナンドがボランチに入る形をテストするなど、臨戦態勢は整いつつある模様だ。「体を休められたし、次のゲームはいい状態でのぞめると思う」と小笠原も前向きだ。アレックス・ミネイロの決定力、本山雅志の意表をついたプレーも健在。先制点さえ確実に取れれば、勝ち点3確保にグッと近づきそうだ。

　とはいえ、対戦相手のF東京は侮れない。10月22日の東京ヴェルディ1969とのダービーマッチを制し、30日のG大阪戦でも勝利するなど、彼らは一時の低迷から完全に脱した感があるからだ。今季のF東京は総得点36に対して失点が35と、ここまでは守備が非常に不安定だった。日本代表の茂庭照幸はコンディションの波があり、加地亮も右足関節炎で長期離脱を余儀なくされていた。それでも彼らの状態は確実に上向いてきた。加地は3日の天皇杯・アビスパ福岡戦後半からピッチに登場し、今はプレーに支障のない状態だ。逆に左サイド・金沢浄が負傷してしまったが、バックアップには原博実監督も太鼓判を押す守備のオールラウンダー・藤山竜仁がいる。「彼の存在は非常に大きい」と指揮官に言わしめるベテランが鹿島の右サイドからの攻めを封じるキーマンになるだろう。

　さらにJ屈指のボランチ・今野泰幸の動きも注目される。彼は巧みなポジショニングと運動量を駆使して相手のエース・小笠原を封じようとするだろう。8月の東アジア選手権で日本代表としてともにプレーした2人だからお互いの特徴は熟知しているはず。彼らの攻防も大事な一戦の勝敗を大きく左右する。上り調子の相手に対し、鹿島がやるべきなのは、F東京の堅守を的確に攻略するとともに、相手の素早い攻めを出させない集中した守りを見せることだ。それが勝利への早道といえる。

　まず攻撃面では、鹿島の持ち味である的確なボールポゼッションで相手の守備システムを崩し、より積極的にチャンスを作りたい。深井のスピード、本山の機転をきかせた動きなどが数多く出れば、主導権を握れるはずだ。そして守備面ではルーカスや阿部吉朗らの速さを自由に出させないことが大事だろう。左MFに入るとみられる鈴木規郎のスピードも要注意だ。鈴木と藤山を両方見ることになる青木は守備的なプレーを強いられるだろうが、リカルジーニョらが彼をサポートし、鹿島らしい粘り強く組織的な守りが出れば、そう簡単には失点しないはずだ。

　明日のスタメンを予想すると、鹿島はGK曽ケ端準、DF青木、岩政大樹、大岩剛、新井場、ボランチ・リカルジーニョ、フェルナンド、2列目・小笠原、深井、FW本山、アレックス・ミネイロの4−4−2。F東京はGK土肥洋一、DF加地、ジャーン、茂庭、藤山、ボランチ・梶山陽平、今野泰幸、右MF阿部、左MF鈴木、トップ下・馬場憂太、FWルーカスの4−2−3−1でくるだろう。こちらも現状での最強布陣だ。

　12日16時のキックオフ時の予想天気は晴れ、気温17度。しかし北から強い風が吹きそうで、ピッチ上の選手たちにも多少は影響があるかもしれない。いずれにしても明日は、両者ともに闘志溢れるアグレッシブなゲームを期待したい。

以上

2005.11.11 Reported by 元川悦子